| POSITISM | - 前向き親バカおとーさんの素敵な妄想エッセイ集。 - |
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第07回も無事に書き上げました。よし!
本当に時間がなくて大変だったわけですが、目標まで残り5本!
いよいよ後半戦に突入なのです。頑張るぞ。
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以下、盛大にネタバレしていきますので、読んでない人はご注意!
今回の物語はともさんから頂いた
【終わりははじまり】というキーワードを元に
同じく志津さんからの【不滅の愛】
それからまごすけさんからの【届かない想い】
という3つのキーワードで世界感を作り上げました。
それからそろそろハッピーエンドじゃない物語も書けるかな?という挑戦が
今回の物語の中心部分だったりします。
今回は特に明確な登場はしていないのですが
藤山国立病院、有栖川といった部分でちょっと登場して頂いています。
今回キーワードを投稿して頂いたのは15名。
なので15個のキーワードが集まりました。
それぞれについて軽く。
■逆まわりの時計(ミッチーさん)
タカアキの心情描写に使わせて頂きました。
残された時間の中で時計が逆に回ったなら…と思いますよね。
ちなみに、単純な構造の時計なら電池を逆さまに入れると逆まわりになります。
小学生のときに教室の時計をそんな風にしたことがあります。(するな)
■向日葵のマンション(あやさん)
タカアキとカナエが一緒に住むマンションに使いました。
全然関係ないですが、ひまわりの種を小学生の頃にモリモリ食べてました。(ほんと関係ない)
■不滅の愛(志津さん)
上にも書いてますが、物語の根底部分のひとつです。
ほら、不滅の愛だったでしょ?
■カブト(なつめさん)
タカアキの子供時代を思い浮かべるカナエの想像上で登場させました。
これがカブトムシなのか、鎧兜なのか、そもそもどうやって使おうかと悩みました。
■セミの抜け殻(kayoriさん)
季節の描写で使いました。
先日、職場近くでセミの抜け殻を発見!と思ったら中身が入ってまして
早朝の羽化に失敗して落下してたんです。
数年間を土の中で過ごして、出てきて羽化に失敗。
きっと彼はそのままセミとしての運命を終えるのだろうなと思ったら
妙に悲しくなりました。
■夕立ち(まるりーんさん)
涙の描写で使いました。
夕立ちって夏に降ると
夏らしい香りに世界がなりますよね。
■終わりははじまり(ともさん)
物語の根底部分のひとつで
まさに物語を終わりからはじめました。
こういう手法をまだ書いたことが無かったので
大変勉強になりました。上手く描けてるといいなぁ。
■届かない想い(まごすけさん)
物語の根底部分のひとつで
タカアキとカナエの本心です。
相手を想うがために、自分の想いが届かなくなる。
切ないなぁ。ほんと。
■レアメタル(黒さん)
これはクロム(という金属)がレアメタルなんです。
タカアキとカナエがしていたペアリングですね。
指輪なんて結婚指輪しか買ったことないや…。
■4日目のカレー(RUTYさん)
カナエが大量に作ってしまったカレーの末路(笑)
カレーは一度冷ましてから、再度熱すると味が沁みこむので
二日目のカレーはうまい!ということになるらしいです。
高校生の頃、三日連続で朝昼晩とカレーづくしだったことがありますが
案外嫌じゃなかったなぁ。
■ウサギ模様の浴衣(るどさん)
カナエが夏祭りに着てくる浴衣です。
最近、夏祭りが多くて仕事帰りなどに浴衣姿を見かけます。
あーさんとちぃさんにも浴衣買おうかなぁ。
■ビードロ(ずまさん)
長崎の旅行中に一瞬出てきます。
中学の修学旅行が長崎で、その時の記憶を搾り出しましたが
なんだかもうあやふやです。また行きたいなぁ、長崎。
■鳴らなくなった鐘(來弥さん)
これも長崎の描写で。
昔あったものが無くなっていくのは
なんとも言いがたいほど悲しいですよね。
それを護り続けることも大変なのです。
■朝焼けと夕焼け(春野ひなたさん)
沖縄旅行中のシーンで出てきます。
沖縄は、学生の頃に11連泊だか、7連泊だかで行きました。
海の綺麗さよりも、太陽の綺麗さを覚えてます。
いや、海も最高に綺麗だったんですけどね。
■ソーダ(タイキ≒蓮火さん)
炭酸水。として出てきます。
炭酸といえばですね、コーラぐらいなら1.5リットルを一気飲みできます。
コツは鼻呼吸ですよ。(誰も聞いてない)
それから、タイキ≒蓮火さんは音楽をされる方でして
今、やってるM線上のアリアでも動画や曲を作られてます。
その曲の中の1曲を、しのめんが勝手に歌ってmixi上にアップしてる噂。
しのめんの歌声が聴きたい!なんて人は聴いてみてね。→こちら。
第07回も皆さんのおかげで書き終えることが出来ました。
ありがとーごじゃーます!ありがとーごじゃーます!
そんなこんなで今月ももうすぐ終わり、8月になってしまうわけです。
ということは第08回のハコニワノベルもやってくるわけです。はい。
ただ、8月はちょっと色々忙しくてですね
M線上のアリアのアレコレだとか
そういうことを宣伝とか告知したいはずなんです。いや、きっとそうに違いない!(何がだ)
なので、開催はするのですが
その他にお伝えしたいことが山盛り出てくるはずなんです。
なのでどうしようかなと考えてる最中です。
もしかしたら別の場所で連載する、かもしれません。
またその辺はお伝えするようにします。
キーワードの募集は8月前半(たぶん8/1)に行うので
お時間が合いましたら、またキーワードの投稿をお気軽にどうぞ。
| 第一話 第二話 第三話 第四話 第五話 第六話 第七話 第八話 第九話 第十話 第十一話 第十二話 第十三話 第十四話 第十五話 最終話 |
| ・逆まわりの時計(ミッチーさん) ・向日葵のマンション(あやさん) ・不滅の愛(志津さん) ・カブト(なつめさん) ・セミの抜け殻(kayoriさん) ・夕立ち(まるりーんさん) ・終わりははじまり(ともさん) ・届かない想い(まごすけさん) ・レアメタル(黒さん) ・4日目のカレー(RUTYさん) ・ウサギ模様の浴衣(るどさん) ・ビードロ(ずまさん) ・鳴らなくなった鐘(來弥さん) ・朝焼けと夕焼け(春野ひなたさん) ・ソーダ(タイキ≒蓮火さん) |
| ※この物語はフィクションです。 実在する人物、団体、その他とは一切関係ありません。 |
右肩が、いや右半身が軋む。きっともうすぐその時は訪れるのだろう。カナエは怒っていたな。まぁ、それも当然だけれど。本当はあの笑顔が見たかった。時計が逆さまに回るなら、もう一度だけ。だけどこれでいい。これでいいんだ。自分に言い聞かせるように歩く。
仕事を辞めて自分の最後の場所を探した。自分が最後に眠りに付く場所を。そこへ向かって歩く。一歩進むごとに右半身が軋む。もう既に軋む音しか聞こえない。痛みすら感じない。医者の話では右半身の骨はもうほとんどなくなっているらしい。どうせなら全て綺麗に無くなればいいのに。
また一歩進む。今振り返ればカナエが見える。きっと泣いてるだろうな。カナエはウソを付くのが下手だ。きっとカナエは僕に何が起こっているのかを全部知っている。知っていて僕に合わせてくれたのだろう。自分の感情を抑えて、僕の幼稚な芝居に乗せられたふりをしてくれたのだろう。彼女のことが解るから、彼女の考えていることが解るからこそ、僕は今振り返ってはいけない。泣いてる彼女を見てはいけない。何も知らず、彼女を騙しきったと思いながら振り向かずに進むしかない。
――自分が最後に眠りに付く場所で
君と解り合えているという、これ以上ない幸福感を抱いて眠ろう。
雑踏の中の雑踏へ
人込みの奥の人込みへ
孤独の先の孤独まで。
タタンタタンタタン。トトントトントトン。
電車が線路を奏でる音が響く。
タタンタタンタタン。トトントトントトン。
僕を越えて、もうすぐ君の元へ。
タタンタタンタタン。トトントトントトン。
まるで心音、僕と君を繋ぐシグナルのように、続く。
タタンタタンタタン。
トトントトントトン。
完。
「会って、話がしたい」
彼がいなくなってから一ヶ月が過ぎようとしていたころ、それまで音信不通だった彼から連絡が入った。彼に指定された公園へ行く。日差しがジリリと暑かった。一ヶ月ぶりに見る彼は酷く痩せていて、とても小さく見えた。彼は軽く手を上げながら話し始める。
「やぁ、久しぶり」
「……」
「単刀直入に言うね、別れよう」
この一ヶ月、ずっと彼のことを考えていた。彼は癌に侵されている。それは藤山国立病院で結婚する予定だなんだと言って、無理やり聞き出したので確実だ。彼は自分が癌であることを、私には知られていないと思っているだろう。私はずっと考えていた。どうして家から出て行ったのか。そしてある結論に辿り着いた。彼は私に”何も背負わせないようにした”ということ。残り少ない自分の人生を賭けて、私のこれからの人生を辛くないものにしようとしてくれているのだろう。そんなことされても私は何一つ嬉しくなんてない。だから彼を張り倒してやろうとも思っていた。
――だけど、彼はきっともうすぐその命を終える。その彼自身の心残りが悲しんでいる私だとしたら、彼は安らかに眠れるだろうか?だから私は決めた。最後の最後まで、彼に騙されている私でいることを。だから涙は絶対に流さない。抱きついて泣きたい気持ちを振り切って、少し怒りながら切り出す。
「ちょっと待ってよ。そもそも何も言わずにどこに行ってるの?」
「ごめん。だけど、僕はもう君とは付き合っていけない」
「そんなの意味が解らないよ」
「ごめん」
「謝らないでよ……私が悪いみたいじゃない」
「……」
長い沈黙を破るように、電車の音が聴こえた。私達は公園を出て向かい合う。彼は「じゃぁね」と小さく言ってから手紙を差し出した。
「読み終わっても、振り向かないで」
彼はすれ違うように私の背中方向へ歩いていく。私は涙を堪えるので精一杯だった。それでもゆっくりと、ゆっくりと手紙を開く。
◇
カナエへ
突然君の前から消えて
突然現れて別れを告げたこと、ごめん。
僕は君を嫌いにはなれなくて
だけど僕は君に相応しい男でもない。
勝手に決め付けて
自分の事ばかり考えてしまう
弱い僕を許してください。
だけど、僕は君の前から消えます。
自分勝手でわがままで、弱虫の僕なんかより
君には相応しい人がいるはずです。
だから、僕のことなんて忘れてください。
ありがとうと愛してる。
それから、さよなら。
タカアキ
◇
私はその手紙をそっと胸に押し当てて、真っ直ぐ前を見つめる。我慢しきれずに一筋の涙が零れ落ちた。今すぐに彼を追いかければ追いつくことが出来る。ここで追いかけなかったら二度と、本当にもう二度と彼に会うことは出来ない。だけど、追いかけてしまったら彼はきっと凄く悲しみを抱えたまま眠りについてしまうのだろう。彼のことが解るから、彼の考えていることが解るからこそ、私は振り向けずにただ涙を流した。
タタンタタンタタン。トトントトントトン。
背中側から電車が線路を奏でる音が聴こえた。私はその場にへたり込んで泣いた。声はあげず、ただただ涙を流して泣いた。
手紙を胸に抱いて泣く。
立ち去る彼に聞こえませんように。
聞こえませんように。
――三ヶ月前。
彼との同棲生活が始まった。今までより早起きして彼の朝食、それからお弁当を作るようにした。彼の寝顔をしばらく堪能してから彼を起すのが幸せだった。だけど彼は元々早起きする人で、私が目を覚ますと同時に起きようとする。私はそれを無理やり寝かせるようにした。そうでもしないと彼の寝顔を堪能できないから。
心配事が二つほどある。一つは彼がたまに右肩を痛そうにしていること。肩こりだとは言っていたけれど少し心配。もう一つはなんとなく彼が私に隠し事をしている気がすること。それは最近彼が心の底から笑っていない気がするから。彼自身の中で何か心配ごとがあるのだろうか。もしかすると大量に作ってしまったカレーが、四日目に突入したことに怒っているのかもしれない。
「ねぇ、タカアキ。その、怒ってるの?」
「ん?なにを?」
「いや、ほらカレーばっかりでさ」
「ううん。僕、カレー好きだから大丈夫」
「それならいいんだけどさ」
「……おいしいよ」
「ありがとう」
なんとなく無理においしいと言わせた気がして悲しくなった。彼は食事のあといつもこっそり何かを飲んでいる。胃薬だったらどうしよう。いや、きっとサプリメントかなにかだろう。そう思っていた。
最近彼は無口になった気がする。常に何かを考えているような素振りをしている。やっぱりなにか悩み事があるかもしれない。相談したい悩みなら、きっともう相談されてるはずだから、きっと相談の出来ない悩みなんだろう。そう思うとこちらから聞くようなことは出来なかった。
――一ヵ月後。
いつものように仕事を終えて家に帰ると、何か変な気分になった。買ってきたものを片付けて、テレビの電源を入れる。ソーダ水をコップに入れてソファに腰掛けた。
「なんだろう、なんか変だよね」
独り言。何が変なのか解らない。ただ、家中が妙に片付いている気がする。部屋着に着替えるために着ていた服を洗面所にある洗濯カゴに放り込んだ。部屋干ししていた洗濯物に目が行った瞬間、私は気が付いた。何が”変”なのかに。彼の下着だけが無くなっていた。
「ウソ、でしょ?」
慌てて寝室へ走る。ない。彼の机や仕事で使う物。タンスを開ける。ここにもない。彼の服、下着、クリーニングから返って来ていたスーツもシャツも。台所へ走る。ここもだ。彼の持ってきたグラス、食器もない。玄関。靴、サンダルもない。もう一度洗面所。歯ブラシもない。彼の物が全て綺麗に無くなっていた。もう一度見回すと引越し後の部屋のように、家中が片付いている。それが妙に悲しかった。
携帯電話で彼に連絡してみる。――繋がらない。まだ会社にいるかも知れない。昔の知り合いである事務員へ電話をした。
「もしもし、久しぶり」
「香苗、久しぶりどうしたの?」
「えっと、孝明……近藤さんいる?」
「え?近藤さんって、香苗が付き合ってた近藤さん?」
「付き合ってたって何よ?今も付き合ってるわよ」
「ウソ……だって近藤さん随分前に別れたって、送別会のとき言ってたけど?」
「え?送別会?」
「知らないの?近藤さん先月でうちの会社辞めてるよ」
「そんな……」
電話を切ってから私は力が抜けた。彼は一ヶ月前からこうすることを決めていたんだろう。何が悪かった?何がいけなかった?私は彼に苦しい思いをずっとさせていたんだろうか。そう思うと胸が苦しくなって、我慢していた涙が溢れ出た。
随分泣いて、あまり得意じゃないお酒を飲んで気分が悪くなった。なんとか気分を変えようとソーダ水を取りに冷蔵庫を開けた。冷蔵庫からソーダ水を取り出すして扉を閉めようとしたその瞬間。彼の物がなにもかも無くなったこの家の中で、たった一つ彼の物が残っているのを発見した。それは酷く慌てて入れられたらしく、ぐしゃぐしゃに冷蔵庫の隅の隅へと押し込まれていた。藁をも掴む気持ちで私はそれを引きずり出した。
――紙袋。藤山国立病院の文字。内容物:シスプラチン。
私はこの発見をしなければ良かったのだろうか。それを調べなければ良かったのだろうか。インターネットの検索エンジンに打ち込まれた”シスプラチン”という文字。そして検索結果に表示されている”抗悪性腫瘍剤(抗がん剤)”の文字。
彼の右肩、彼が私に隠し事をしている気がする。二つの心配事が不必要に繋がってしまった。
彼は、癌だ。
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