POSITISM

適度に適当に。

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スラッシュ\パーティ - /37 -


ハコニワノベル

 意識が遠のく気がする。何かに引っ張られるように、自分が後ろ向きに倒れていくような感覚。いや、感覚ではなく本当に倒れてしまっているらしい。身体に力が入らない。あぁ、このまま倒れるんだなと確信しするのと同時に、背中を受け止められていた。「お昼寝タイム?」という爽太の声で我に帰った。
 反動を付けて支えている爽太を跳ね除けながら、なんとか自分の足だけで立つ。頭を振ってから両手で軽く頬を叩く。こんなことで打ちのめされている場合じゃない。見えていた未来がどういうものだったかを思い出せ。思い出せ。思い出せ。念じるように自問自答しながら思い出していく。

 ――繋がれた手、抱き合うように近い距離、片方には腕時計がなく、もう一方には腕時計、957、黒煙。二人の顔、御影龍彦と金原麻衣子。

 まだ御影龍彦の時計は958と表示されている。このまま二分以上が経過すればあの未来にはならないはずだ。それから、金原麻衣子をこの部屋の中に入れないようにすればいい。なんだ簡単じゃないか。まだ未来に抗う術は残されている。一度息を吐き出してから、金原麻衣子の方へ振り返った。怯えるような顔をした金原麻衣子が見える。その他に何か白いものが視界の奥に見えた気がして、ピントを視界の奥に合わせたが、無機質に廊下が続いているだけだった。

「御影君!」

 遠くを見ている間に駆け込もうとした金原麻衣子を「ちょい待ちぃ!」と無理やり引き止めた。

「何するのよ! 御影君が、御影君が!」
「あかん。絶対にこの部屋には入らせへん。知らんやろうけど、腕時計が外れても命の危険からは逃れられへんねん。だからあんたも危ないんや」
「なんでそんなこと分かるのよ! 私は腕時計外れてるから大丈夫に決まってる。離してよ、このままじゃ御影君が!」

 暴れた金原麻衣子に引きずられる形になった。引っ張っている腕を力任せに振り回されて、今にも腕を離してしまいそうになる。このままじゃ、部屋に飛び込まれてしまう。そうだ爽太にも手を貸してもらおう。それを伝えようとすると「手を貸すよ」と、どこからか聞こえた。その声に「おおきに、助かるわ」と返事をしてほっとした途端だった。視界の先で、金原麻衣子が半回転して私の腕から逃れて部屋に飛び込んでいった。
 脇目もふらず御影龍彦に抱きつく金原麻衣子が見える。御影龍彦の腕時計の表示が957に切り替わると、突如二人から黒煙が立ち上る。

「……」
「……」

 何も言えないまま御影龍彦を見ていると、向こうも何も言わずに視線だけ投げかけてきていた。そしてそのまま目を閉じて、開けたままだった部屋の扉をゆっくりと閉めた。閉じていく扉の隙間に二人の姿が飲み込まれていく。

 そして、扉が閉じるのと同時に爆発音。

 瞬きすら忘れていた。それなのに気づいたときには目の前に爽太がいて、辺りは扉の残骸が飛び散っている。少しだけ首を動かして爽太の向こう側を確認すると、吹き飛んだ扉の向こうで、下半身だけになった二人が寄り添っているのが見えた。
 後頭部の髪の毛が逆立っているんじゃないかと思うほど、ざわざわと自分の中に何かが渦巻いていく。爽太の腕に捕まって立ち上がってから、それを手にとった。

「お前、何者や?」

 出来るだけ感情を抑えて問いかける。質問に対する返答は得られなかった。今にも爆発してしまいそうな感情を無理やり抑えつけながら、再度問いかけた。

「お前、何者やねん」

 また返答はなかった。問いかけるのを辞めて、振り向きざまに矢を放った。自分の後ろ側、窓の近くに背中をもたれかけている、白いパーカーを着た何者かに向けて。
 矢は一直線に飛んだ。こんな心境の中でも狙い通りに。矢は白いパーカーを着た何者かがかざした右手に突き刺さった。いや、突き刺さったはずだった。視線の先で小さな黒煙が立ち上ると、矢は燃え尽きてから床へと落ちた。
 三本目の矢をセットして、白いパーカーを着た何者かに向ける。三度問いかけた。

「あんた、何者や?」

 フードを被っているため、顔がはっきり見えない。うっすらと見えるその口元が不気味に笑っているようにも見える。

「えーと、今はなんだっけ? あぁ! 思い出した。尻紙一族のトップってやつだ」
「……お前か」

 弦を引く右手に力を込める。そう言われればあの映像の中に出てきた白いパーカーを着た人物に見えなくもない。ただ、そんな憶測よりも確実に、目の前の奴が尻紙一族のトップであるという確信があった。こうして矢を向けられているというのに軽々しく答えたこと。一矢目を燃やして防いだこと。そしてなによりも、さっき金原麻衣子を私の腕から離して部屋に押し込んだのが、コイツだからだ。
 こちらの行為を意に介さないかのように、窓際からまるで知り合いに出会ったかのように、そいつは近付いてきた。

「それにしてもさっきのは良かったね。せっかく忠告してくれている人がいるのに、自分たちの欲望だけで動いちゃってさ。挙句の果てにボン! だもんね。アハハ! 傑作だよ」
「なんやて?」

 さっきよりも距離が短い。腕で防ぐことの出来ない速度で、今度は射ぬいてやる。そう決めて矢を放つ間際に、目の前の何者かはこう言った。

「それよりもさー。ねぇねぇ七ノ宮ちゃん。なんで腕時計が外れても命の危険が続くってこと知ってるの?」
「は? あ? え?」
「あれ? こっちではまだ自己紹介してなかったっけ?」

 そう言いながら目の前で、何者かはフードを下ろした。その素顔を見て目眩がした。若草色のドレス、二人の下半身……、あれはなんだったんだ。寒気を感じるように身体が震えている気がする。もう、弓矢を構えることすら出来なくなった。かろうじて口を開いて小さく叫んだ。

「なんで生きてるんや、島崎先輩……」

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COMMENT

●樹さん

お久しぶりという書き込みから更にお久しぶりで
コメントレスをしてしまいますが、お久しぶりです!w

展開はいいところまできてるのですが
この更新以来忙しくて、ほとんど書く時間が取れていない状況です。
時間が取れるようになったら、またぼちぼちと書いていこうかなと思います。


●カラーさん

コメントありがとうございます。
絶賛放置中にコメント頂いて、嬉しいのと申し訳ないので
なんとも言えませんが、コメント頂けたことで
きちんと書き終えようという気持ちを再認識しました。

今は時間が取れないので
時間が取れるようになったらぼちぼちと書き進めていこうと思います。

続きが気になります!

おひさしぶりです。
わーーー、ど、どんな展開に!ドキドキドキドキ。
  • 2010.12.27[月]

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