POSITISM

適度に適当に。

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スラッシュ\パーティ - /33 -


ハコニワノベル

 ――ガッシャーン!
 何かが破裂するような騒音が収まると、さっきまで爽太が立っていた目の前に守紙真がいた。突き出した肩が積み上げられた機材を粉々に粉砕していて、あたり一面は機材の破片と埃が巻き上がっている。

「いきなり全開すぎだしー。これじゃもう粉々でご臨終ー」
「仕方ないだろう。これが我々攻守二枚の仕事だ」
「……」
「あぁー、アタイは別にさー、こういうことがしたくてあんたを呼んだわけじゃないから。不可抗力ってやつー? ま、そもそもあんたが、マコちゃんに素直に話さないからこういうことになるしー」
「これで邪魔者はいなくなったな。おいお前、これが最後だ。この状況は尻紙が意図的に作っているのか?」
「……」
「答えもせず黙るか。ならばもう一度……」
「あのー? さっきも言ったんですけど、僕の静香をいじめないでもらえませんか?」
「なにぃ?」

 守紙真の後ろにいる槍紙舞子、更にその後ろに爽太がいた。槍紙舞子は「いつの間にだしー」とか言っている。
 私はさっき首を掴まれていた影響で酸欠状態なのか、どうしても立っていられなくなってその場に座り込んでしまった。

「避けただと?」
「ん?」
「この俺の攻撃を避けたのかと聞いている」
「んー? それが何の話か知りませんけど、静香をいじめちゃだめです」
「なにこれー、マコちゃん完全に手玉に取られてるしー。マジウケルー」
「あ、そうだお姉さん。これ返します」
「はぁー?」

 そう言いながら爽太が差し出したのは、槍紙舞子が着ていたはずの布切れだった。よく見ると槍紙舞子はなぜか下着姿になっている。「ちょ、なっ! ?」とか言葉にならない声をあげてから、槍紙舞子はその布切れを乱雑に奪って慌てて身につけた。

「お前マジ何者ー?」
「だから何度も言ってますけど、静香と一生一緒にいる男です」
「ほんとこいつ意味不明なんですけどー」

 視線だけで槍紙舞子がこちらに疑問を投げかけてくる。

「アホか。うちにも意味不明やわ」
「あはは! なんかもうバカバカしいしー。やっぱりマコちゃんじゃ、話になんないじゃん。ここからはアタイが話すしー」
「……すまんな」
「えっとー、一応謝っておくけどさー、マコちゃんは気が短いから、聞かれたことはさっさと答えた方がいいよー」
「さいですか」
「でさー、さっきあんたが言ってたこと。つまりはー、腕時計を外しても余興は終わらない。爆発するのは腕時計じゃなくてー、最初の紅茶に入っていた何かってことは、間違いないの?」
「……間違いない」
「それは何を根拠に言っている?」
「もー、マコちゃんは黙ってなよ。話がややこしくなるしー」
「……すまん」
「もう一度聞くけどさー、あの映像で尻紙が説明していたことは嘘でー、腕時計を外しても命の危険は変わらないってことは、間違いない?」
「正確に言うなら、そうじゃない」
「どう言うことだ!」
「マーコーちゃーん?」
「……わ、悪かった」

 さっきからなんなんだろう、この守紙真という男。あれだけ傍若無人で圧倒的な力を持っているというのに、まるで槍紙舞子の言いなりだ。あんなチャラチャラした女一人を捻り潰すことなんて、さっきの一撃からしても容易いだろうに。何か弱みでも握られているのだろうか。

「でー? なにがそうじゃないのー?」
「あの映像で説明された余興のルールは、嘘じゃなくて本当や」
「あれー? それならキーを見付けるだけで、参加者の半分は助かるしー」
「時計を取り外すことが出来れば、この余興をクリアすることができる。あの映像で言われたのは余興のクリアだけや。それに、キーを見付けても二人に一人は助からない。二人に一人は助かるとも言ってへん。その証拠に、外れた時計はずっと動き続けてる」
「つまりどういうことー?」
「この余興を仕掛けてきた奴は、うちらに助かる道なんて残してないんや」
「……ふーん。じゃ、あんたはそんな助かる道のない状況で、何をしようとしてたわけー? 移動コストだっけ? そのペナルティなしで、ここから出てどうする訳?」
「そんなん決まってるやろ。この余興を仕掛けてきたやつを捕まえて、この余興を終わらすねん」
「……なーるほどねー」

 槍紙舞子はうんうんと頷いてから「だってさー、どうするマコちゃん?」と、黙り続けている守紙真に尋ねた。守紙真は「なるほどな」と言うだけで、それ以上は何も言わなかった。そのまま二人は小声で何やら会話を始めてしまった。

「静香、大丈夫?」
「ぼちぼちやな。ちょっとだけお花畑見えたけど」
「しーちゃん、ほんとに大丈夫?」
「ごめんね、私たちじゃ助けることも出来なくて……。どうなることかと思っちゃったよ」
「そんなに心配しなくても大丈夫やって、意識はあるし、どこも怪我とかしてへんから」

 と言って立ち上がろうとすると、ふらついて立つどころじゃなかった。気付いたときには既に爽太に支えられて、かろうじて立っている状態になっていた。「お昼寝タイム?」とか聞いてくる爽太に支えられているのを、なんとか拒否したいところだけど、残念ながら今は自力で立つことはできそうにない。さっき守紙真は自分の握力が二百を超えてるとか言っていたっけ。そんな握力で首を握られていたと思うと寒気がする。それからもう一つ気になること、確か我々攻守二枚とかなんとか言っていた。これは塗紙一が言っていた役割の序列のことかもしれない。あと、わざわざ我々と言っていたのだから、守紙真と槍紙舞子がその攻守二枚ということだろう。

「じゃ、それで決まりだしー」

 小声で会話をしていた槍紙舞子が、コツコツコツという足音を立てながら近付いてくる。

「アタイら、あんたに乗っかるしー」
「は?」
「あんたの話の信憑性はいまいちだけど、現時点での状況から判断すれば辻褄はあいそうだしー。それに、アタイらに対して挑戦的な十枚の新入りには、きっちりお仕置きしないとだしー」
「あんたらの都合なんかどうでもええけど、とにかくここから出られんの? あんたらだけの出入口とかあるんか?」
「今はないしー」
「それやったらどうすんねん……って、今は?」
「そ。その出入口は今から作るしー」



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