POSITISM

適度に適当に。

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スラッシュ\パーティ - /30 -


ハコニワノベル

「し、静香ちゃん?」
「はよ答えてんか? 移動コストなしで、この大広間を出たいねんけど」
「いや、あの、今はバラバラになるよりも、参加者全員で協力をしていくべきだと思いますよ」
「そんな悠長なこと、言ってられへん」
「というか静香ちゃんって、関西弁でしたっけ?」
「細かい話はええ、移動コストなしでここから出られんの? 出られへんの?」

 塗紙一の襟首を揺さぶりながら問い詰めていると「塗ちゃんがタジタジとか、マジウケルー!」という声が聞こえた。

「ねぇねぇ、塗ちゃんってロリコン? それとも何か訳ありとか? これどういう状況なの?」
「舞子ちゃん、これは別に何でもないんだけど、そうは見えないだろうね」
「無理無理ー。これが訳ありじゃないなら、何なの?」
「ちょっと状況は飲み込めてませんがこちらのお嬢さん……、静香ちゃんが移動コストなしでこの大広間から出たいそうなんです」
「ふーん。都合のいい事ばかりとかー、マジでガキっぽいしー」
「関係ないやろ」
「すぐ噛み付いてくるとかー、まさしくガキだしー。理由はあんの?」
「だから関係ないやろ!」
「これだからガキは困るー。目的とかー、理由の説明もできないのにー、自分のしたいことだけ主張する。しかもそれが通らないとなると逆ギレだしー」
「あんたと話はしてへん! なぁ、移動コストなしで移動できへんの?」
「あの、静香ちゃん。少し落ち着いて」
「これが落ち着いてられ……」

 三度目だ。柔らかい。今度は人前か、ってそれこそ一大事だ。早く、一刻も早く引き離さないと。なんでこんなことになるんだろう。

「わー、大胆だねー」
「バ、バンチョ! み、見ちゃ、だだ、駄目だよ」
「いきなりキスするとか何これー、突然過ぎてウケルんですけどー」

 力が入らない腕をなんとか伸ばして、やっとのことで爽太を引き離すことに成功した。もう叫ぶ力も残っていない。視界の先にいる爽太はヘラヘラと笑っている。「お前、なにすんね……」言いかけたところで、静かにするように爽太が「しー」とジェスチャー付きで表したので黙ってしまった。そんな私を満足そうな顔で見てから、爽太はかなりきわどいドレス、いや布切れを着たチャラチャラした女の方へ向き直った。

「僕の静香が失礼しました」
「僕の? なにそれ、あんた彼氏ー?」
「いいえ、静香と一生一緒にいる人です」
「あはは! 婚約者とかそういう系? なんかドラマチックなんですけどー」
「それはどうも」
「別に褒めてないしー。なにこいつ、超面白いんですけどー」
「ありがとうございます」
「だから褒めてないって。まぁいいや、で? 何か用とか?」
「ん?」
「いや、ん? じゃないしー。そっちから話に入ってきたしー」
「え? そうなの?」
「なんなのこいつ、記憶障害って奴とかー?」
「そうなの? ねぇ、静香」
「うちに聞くなや」
「また何かした?」
「したけど教えへんわ。あほらしい」
「まぁ、いいか」
「ちょっと、ちょっとー。ほんとなんなの? 突然話に入ってきて、微妙な空気なんですけどー」
「あ、そうだ思い出した。ねぇ、静香」
「なんや」
「落ち着こう」
「お前に言われたくないわ」
「漫才? ねぇ、これ漫才なの? マジウケルー!」

 悔しいけど、落ち着いてしまった。それよりも悔しいのが自分で自分をコントロールできなくなっていたことだ。いい加減取り乱し過ぎな部分をなんとかしないと、無駄に犠牲を増やしてしまいそうだ。今できることをしっかり考えて、着実にこなしていかなければ。とりあえず、今はこの大広間から出る手段を探そう。

「なぁ、塗紙さん」
「なんでしょう?」
「本当にあらへんの? 移動コストなしでこの大広間から出る手段。もしくは、十枚の力でそれを可能に出来るとか」
「割ちゃんだったら出来るしー。というか、既にやってるしー」
「割ちゃん?」
「割紙氏のことですよ。先程、最後に挨拶した男です」
「あいつか」
「おや? ご存知で?」
「この大広間に入る前にちょっと……。で、その割紙さんはどこに?」
「だからもうこの大広間にはいないしー。割ちゃんがどこにいるとか、誰にも分からないしー」
「なんやねんそれ」
「でー? どうして大広間から出たいとか言ってんのー? 別に出るだけなら移動コスト20分だしー」
「知り合いを助けたいねん」
「お知り合いを? それは静香ちゃんどういう意味ですか? そのお知り合いを助けるのと移動コストに何の繋がりが?」
「……」
「そこをちゃんと説明しないとか、マジでいい加減にしろって感じー」

 横目でバンチョの顔を見た。バンチョは小首をかしげてこちらを見返してくる。眼を閉じて、息を吐き出してから視線を前に戻す。

「この余興、この時計を外したところで終わらへん。たとえ腕時計を外せても意味がないねん。とにかく残り寿命は極力残さないとあかん。移動コストなんかで寿命を減らされたら、生き残ることなんかできへん」
「ちょ、ちょっと、しーちゃん? それどういう意味かなー」
「バンチョ、爆発してるんわ腕時計じゃないんよ。それとこれ見てみ?」
「これって私の腕時計? ってあれ? なんで数字減ってるのこれ? 外れたら止まるんじゃないの?」
「止まらへん。あの尻紙とかいう奴が言っていたルールは嘘や」
「あの、静香ちゃん? どうしてそう言い切れるのかな?」
「最初にあの尻紙とかいう人に爆破された人は無作為に選ばれてへん。その証拠に、現時点でパートナーが爆発したという人はおらん。確認出来る範囲の円卓を確認してみたけど、かならず偶数人数が消されとる。しかもパートナーとペアで爆発してる。それから爆発の仕方、まるで腕時計が爆発するかのような説明やったけど、爆発した人を確認すると全員綺麗に上半身のみが消し飛んでる。体格差や、爆発時の姿勢によっては上半身すべてが消し飛ぶなんておかしいやん」
「あ、あのしーちゃん。それだったら一体何が爆発してるの?」
「小早川さん、まだうちにも何がどう爆発してるのかは分からんけど、体内で爆発は起こってると思う」
「体内? それって爆発物が既に体内に入れられてるということですか、静香ちゃん」
「そうや」
「全員にそんなこと出来ないしー。いつの間に全員の体内に入れたって考えてる訳?」
「……紅茶や」



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