POSITISM

適度に適当に。

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スラッシュ\パーティ - /28 -


ハコニワノベル

 ステージが近付くほどに、ピーという機械音が何度も聞こえる。「早くしろ」だの「こっちはまだ試してないぞ」という野次も聞こえてくる。その人だかりを避けるようにして、ステージ横へ。「ちょっと待っとって」と三人を待たせてステージに上る。

「おやぁ、これはこれは静香ちゃん。無事でなによりです」
「まぁ、なんとかですが」
「カードキーの確認に?」
「それもあります。それとは別に、これを渡しに」
「おぉ、これは! なかなかやりますね、我々十枚が探しても四枚しか見つけられていないカードキーを三枚も。ちなみにどこでこれを?」
「厨房」
「外に出られたんですか? それはちょっと危険過ぎますよ。もう少し慎重に行動しないと」
「私もそう思います。とにかく、お渡ししましたので」
「ありがたく頂戴しますよ、静香ちゃん」
「あと、一つ聞いておきたいんですが」
「なんでしょう?」
「尻紙とかっていう十枚の残り一人は、どんな人なんですか? 男なのか女なのか、どういったことをしてるだとか、この黒煙はどうやって立ち上っているのだとか」
「それを言われるとですね、ちょっと弱るんですよ」
「なぜですか?」
「実を言うと、我々十枚も今の尻紙一族のトップとは会ったことがないんです」
「どういうことですか、それ?」
「つい最近、トップが入れ替わったんですよ。そして、我々としても今日が初めての顔合わせでもありましたし」
「ということは、誰にもどんなやつなのか分からないということですか……」
「そうなりますね。あぁ、でも尻紙一族について言えることは、絶対に関わらないことです」
「関わらない?」
「十枚には単純な順番である序列とは別に、役割の序列というものが存在してましてね。まぁ、詳しくは言いませんが、尻紙一族と関わるとろくなことにならないことは、間違いないですから」
「そうですか。でも、既にその尻紙一族のトップが初めた余興に関わってますから、どうにもならない部分はありますよ」
「これはこれは、手厳しい」
「ちなみに、この余興のことは主催者側で認識していたことですか?」
「いいえ。どうやら尻紙一族のトップが独断で行っているようです。なので我々十枚は参加者の皆さんをサポートしていくつもりですよ」
「こちらも協力できることは協力します」
「それは頼もしいですね。こちらこそよろしくお願いします」

 カードキーを塗紙一に渡し、ステージから下りる。
 十枚の人間でさえ、今の尻紙一族のトップがどんな人物なのか知らないということらしい。最近トップが入れ替わったということは、以前の尻紙一族トップはどこに行ったのだろう。グループ内でトップ争いをしているという話は、パーティ開催前に聞いていたけれど、どんなふうにトップ争いをして、なにをもってトップが入れ替わるのかまでは分からない。それと、尻紙一族には絶対に関わらないことという言葉も気になる。役割の序列というのが関わっているのかもしれない。

「しーちゃん、あの人と知り合いなのー?」
「あぁ、あれはパーティ開催前に……」
「この泉のパートナーですわ」
「うわ、生きてたんか……」
「皆さんも参加されていたのですね。ご無事でなによりですわ」
「へぇ、紫ノ宮さんも参加してたんだー」
「紫ノ宮さんは無事?」
「伴さん。この泉こそ、パーティにふさわしいのですよ。それと小早川さん、泉は無事ですわ。ご心配なく」
「別に心配してへんわ」
「あら、七ノ宮さん。そちらの男性はどちらさまで?」
「僕は爽太だよ」
「爽太さんとおっしゃるんですね。この泉、いえ私は紫ノ宮泉と申しますわ」
「綺麗な人だね。静香の友達?」
「あら、なかなか正直な方ですわね。七ノ宮さんとは同じクラスで、学級委員長をしております」
「どこが綺麗やねん。今日はいつも以上にケバいわ。……まぁ、無事で良かったけどな」
「少しアクシデントが続いてますが、ご心配なく。この泉のパートナーである塗紙さんが、なんとかしてくれるはずですわ」
「そうなるとええけどな」
「あぁ、そうですわ七ノ宮さん」
「なんや?」
「泉、この煙に見覚えがある気がしますの」
「……それは、気のせいやろ」
「そうでしょうか……。まぁ、今はそんなことを考えても無駄ですわね。泉としたことが申し訳ございませんわ」
「そういえば、あんたの取り巻き二人は無事なんか?」
「龍彦と麻衣子には、まだ出会えていませんの。無事でいてくれると、この泉、信じてますわ」
「あんた、ええ性格してるわ」
「もちろんですわ!」
「まぁ、褒めてへんけど」

 紫ノ宮泉と会話をしつつ、十枚が集めた四枚のカードキーを試す順番を待った。
 適当に相槌や否定をしつつ、さっきの会話の中で浮上した疑問を考える。全国で多発している人が燃える事件、確か瑠衣さんが言っていた話の中で、大半は放火魔みたいな奴が人に火を付けているけれど、中には”そうじゃない事件も起こっている”というのがあった。そのそうじゃない方の事件は私の知る中で駅前の大型書店、上坂市立鳳華中学、そして今いるこの陽碧の館だ。かなり狭い範囲で頻発しているとも言える。一連の事件の犯人は、あの映像の中に写っていた白いフード付きパーカーを着ていた尻紙一族のトップだろうか。少なくとも事情、手段ぐらいは知っていそうではある。
 そこまで考えて冷や汗が出た。仮にこの一連の事件を引き起こした犯人が同一人物であれば、鳳華中学のトイレで若松先生を燃やすことが出来たということを考えれば、かなり身近な人物が犯人ということもあり得る。しかし、あの事件は今のように上半身が吹き飛ばされているわけでもない、そう考えるならば別件だろうか。

「静香ー、なんでそんな暗い顔してるの?」
「ちょっと考えごとしとっただけや」
「焼きそばのおかわり?」
「まったくそんなことは考えてへんわ!」



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