POSITISM

適度に適当に。

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スラッシュ\パーティ - /26 -


ハコニワノベル

 顔面蒼白。少し唇を震えさせていて、目はギロギロと落ち着かずに動いている。その視線に捕らえられると「……しーちゃん?」というか細い声が聞こえた。軽く頷いてその声に応えると、小早川さんは突然勢い良く立ち上がって、フラフラした足取りでこちらに飛び付いてきた。両肩をがっちり掴まれている。

「小早川さん?」
「……」
「どないしたん? 大丈夫?」
「……でしょ?」
「え?」
「分かってたんでしょ?」
「分かってた? 何の話?」
「こうなること、分かってたんでしょ!」
「こうなることって……」
「沢山の人が爆発するってこと! ねぇ、分かってたんでしょ! ?」
「いや、それは……」
「しーちゃん、予言」
「予言? あぁ、それはただの偶然やろ」
「ううん、違う。だってしーちゃん言ったこと外れたことないもん」
「せやから、それは偶然で」
「違う! しーちゃん、見えてるんでしょ?」
「な……、なんの話や?」
「しーちゃんには、みら……」
「あのさ、僕の静香を独り占めするの、辞めてくれる?」

 どうやって入ったのか、私と小早川さんの間に突然爽太が現れた。それに驚いて小早川さんは手を離した。「しーちゃん、この人誰?」同じく止めに来たバンチョが口を開いた。

「あぁー、こいつは、えーっとな」
「僕は爽太だよ」
「だからそういうことを聞かれとんのとちゃうわ!」
「へぇー。しーちゃんの彼氏? それともベタなとこで親戚? 友達にしてはちょっと違うかなー。あ、もしかして婚約者とか?」
「どれも違うわ!」
「静香と一生一緒にいる人だよ」
「あんたもややこしい説明すなや! ただのパートナーや、パートナー」
「ふぅん。まぁ、いいけどね。で、何歳ですか?」
「僕? 十八だよ」
「ふむふむ。しーちゃんは年上が好みなんだね」
「だから違うわ!」

 ひとしきりバンチョにからかわれ終わると、それまで無言だった小早川さんが近づいてきた。神妙な顔つきをしているので微妙に構えてしまったけれど、間にバンチョと爽太が入っているので、さっきのようにはならないだろう。それよりも今は「分かってたんでしょ?」と言われた言葉が胸にチクリと刺さる。

「しーちゃん、さっきはごめんなさい」

 深々と頭を下げられて少し面食らった。突然の事態に混乱したのと、目の前にいた人の命が簡単に奪われてしまったことで、正気じゃいられなくなったらしい。そりゃそうだろう。私だって取り乱していたのだから。そう考えると、バンチョが落ち着いていることの方が変に思える。普段落ち着きがないだけ余計に。小早川さんに「ええよ、こんな状況やし仕方ない」とだけ言ってから、バンチョに近づく。

「なぁ、バンチョ」
「なに?」
「バンチョは大丈夫なん?」
「へ? なにが?」
「いや、小早川さん相当ショック受けてるみたいやし、バンチョは大丈夫かなと思って」
「うん。いやー、ショックはショックだよ。だけどさー、千紗がああなっちゃったから、私はそれを支えてあげないとなーと思ったら、ちょっと落ち着けたんだよね」
「そうなんや」
「大人でしょ?」
「すごく意外やけどね」
「うふふー。やるときはやるんだよ、私」
「せやね。やけど無理はしたらあかんで? 吐き出したいときは吐き出してええねんから」
「しーちゃんもね」

 お互いに頷き合ってから、四人でこれからどうするかを話し合う。

「キーを見付けないことには、何も始まらへんな」
「この館の中にあるんでしょ? そのキーっていうのはさ」
「だけど移動するのにコストだっけ? それをこの時計の数字から減らされるから、無闇に移動は出来ないね」
「お腹すいたなー」
「とりあえず、この会場内にもキーがあるかもしれへんから、まずはこの会場内を探そか」
「そうだね、無駄に移動して寿命減らしちゃうのもなんだしねー」
「だけどさ、半分の人はキーがないんだよね? だ、大丈夫かな?」
「何か食べ物ないかなー」
「小早川さん、そこは心配しても始まらへんよ」
「そうだよ千紗、やれることやってみなきゃだよー」
「う、うん。そうだよね。二人ともありがとう……って、あれ?」
「どうしたん?」
「千紗?」
「ね、ねぇ、しーちゃんの腕時計の数字、すごく少なくない?」
「え?」

 腕時計を確認すると、みるみるうちに数字が減っていく。4200を切っても止まらない。その理由に気がついて顔を上げて辺りを探してみたものの、見える範囲には居ない。そうこうしているうちに4100を切った。このままでいくなら残された時間は一時間と八分程度だ。

「ちょ、これヤバくない? しーちゃん! あ、ど、どど、どーしよう」
「なんで? 私とバンチョのはまだ4285って表示されてるのに」
「あんの、どアホ! あれだけ言っといたのに……」

 今ここでイラついても仕方がない。とにかくあいつを見つけなければ、私も上半身のない下半身の仲間入りしてしまう。まずは落ち着いて、それから探そう。
 頬に米粒を付けている。両手に大量の食べ物を持っているのは、この会場を出て階段を下り、また勝手に厨房に入って持ってきたもののようだ。
 腕時計の数字が4061で止まった。

「みんなも食べる?」

 後ろから聞こえた声に反応して振り向くと、頬に米粒を付け、両手におにぎりと唐揚げ、大量の焼きそば、それからパンを持っている爽太がいた。ペットボトルの飲み物まで何本か持っている。

「あんたなぁ! うちから十五メートル以上離れんなや! 見てみ、うちの寿命こんなに減ってもうたやんか」
「え?」
「え? ちゃうやろ! さっき説明したやんか!」
「焼きそばに紅しょうが付けるの忘れてた」
「いや、今はそんな話してへんやろ!」
「これでも食べて、少し落ち着こうよ」
「落ち着けるわけないやろ! 大体今はそんなことしてる暇なんて……」

 爽太の腕時計に3951と表示されている。明らかに私よりも少ない。いや、会場の入り口が20分、厨房にも移動コストがあったのだろうから減っていて仕方がないか。ほんの数分移動しただけでここまで減るということは、キーを探し出すのは不可能かもしれない。
 そのまま焼きそばを美味しそうに食べている爽太を見ていると「おにぎり?」と聞いてきたので、強めに耳を捻っておいた。



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