POSITISM

適度に適当に。

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スラッシュ\パーティ - /22 -


ハコニワノベル

 座っている場所は会場の一番後ろになっているので、前方にあるというステージをはっきりと見ることは出来なかった。ステージ横に取り付けられている巨大モニターに、照明を当てられたステージ上の映像が映し出されている。そのモニター内にマイクを手にした進行役のスタッフが映っている。

「まずは、主催であります十枚グループの代表者からご挨拶がございます」

 進行役のスタッフがステージ横へはけると、まるでアイドルのコンサートのように、ステージの下から何人かの人影がせり上がってくる。いらない演出だなと思いながらモニターを見ていると、その人影の中に知っている人物がいるのを確認した。一人は紫ノ宮泉のパートナーかつ、十人の十枚の一人でもある塗紙一だ。ということは、今登場してきたのは全員十人の十枚ということだろうか。左から男、女、少し間が開いて女、次に塗紙一、男、男、女、女、一番右が男。もう一度数え直してみたけれど、全部で九人しかいない。

「あいつは……」
「七ノ宮ちゃんどうしたの? 誰かと知り合い?」
「そういうわけじゃ……」

 一番右の男の容姿にも見覚えがある。ストライプのスーツ、ポケットには真っ赤なハンカチ。そしてメガネをかけている。間違いない。二回も廊下で通せんぼしてきたあの変な男だ。

「あの一番右の人さー、静香を通せんぼしてた人だね」
「せやな……ってなんであんたが知ってんねん」
「ん? そりゃ、ずっと見てたから」
「そうなんや。って、ずっと見てたとか怖いわ! ストーカーか!」
「これからもずっと見てるよ」
「怖っ」

 爽太とのまともな会話を諦めて、モニターに向き直ると、進行役のスタッフからマイクを受け取った一番左の男が映し出されている。深緑の和服が似合っていて、落ち着いた雰囲気。年齢は三十代中ごろか、もう少し若いかもしれない。細い切れ目をしているせいか、表情からは何を考えているのか読みづらそうだ。

「どうも。序列一枚目、檻紙一族トップの檻紙兜(おりがみ かぶと)です。本日は、有意義なパーティになることを祈っております」
「霧紙一族の霧紙千鶴(きりがみ ちづる)です。沢山の方に参加して頂いて嬉しく思っております。気楽に楽しんで頂ければ幸いです」
「えーっとぉ、序列三枚目の尻紙さんはぁ、まだ来られていませんのでぇ、序列四枚目のワタクシがぁ、挨拶をさせて頂きますぅ。塵紙一族のぉ、塵紙はな(ちりがみ はな)と申しますぅ。皆さんとぉ、少しでもぉ親睦を深められたらいいなぁっと思ってますぅ」
「塗紙一と申します。こうして今この場に立たせて頂いてますが、気持ちとしては参加者として楽しみたいと思っています。本日はどうぞ、気兼ねなく接して頂きたいなと。あとでゲストの紹介もさせて頂きますので、お楽しみに」
「貼紙一族の貼紙武(はりがみ たける)です。んー、あとは特に言うことないな。ほらよ守紙、パス!」
「守紙真(もりがみ まこと)だ」
「マコちゃんそれだけー? ウケルー! アタイは槍紙舞子(やりがみ まいこ)。舞ちんって呼んでネ!」
「璃紙真理絵(るりがみ まりえ)です。お見知りおきを」
「割紙、譲(わりがみ ゆずる)」

 二番目に挨拶した女は裾にいくほど青色が濃くなるグラデーションのノースリーブドレスを着ていて、終始笑顔なのがどことなく怖い。三番目、実際は四枚目ということらしい頭の緩そうな女は、真っ白なドレスを着ていて、それが照明のせいかチカチカして見える。その次が塗紙一で、その次は金髪を逆立てオレンジ色のバンダナを巻いた、オーバーオールを着た男だ。その次はタキシードを着てはいるものの、妙にガタイの大きな男。その隣にいるのは十代にしか見えない、チャラチャラした女だ。服装がかなりきわどいドレスで、いやもう布切れと言う方が近い。その隣にいるのは、和服におかっぱ頭の小さい女。あれは多分、座敷わらしだ。
 ステージの一番右に、ストライプのスーツ、ポケットには真っ赤なハンカチ。そしてメガネのあの男がいた。名前は割紙譲、並びから言えば序列の十枚目。少なくともこれで、あの男が十枚だということは分かった。
 会場全体の照明が徐々に明るさを取り戻すと、スタッフがそれぞれの円卓に何かを運び始めた。ガチャガチャと慌しく、あちこちの円卓で準備が進められる。どうやらアフタヌーンティーセットみたいだ。

「まずは皆さん、本日はパーティですので紅茶でも飲んで頂こうと思います。合わせまして、先程少しだけお話させて頂いたゲストのご紹介もさせて頂きます」

 ステージ上で塗紙一がエスコートして連れてきた二人がモニターに映る。一人は桜色と藤色のスーツのような、どこかしらサイケなデザインの服を着ていて、もう一人は黄色いビキニに透明なシャボン玉のようなものが要所要所にくっついている、なんとも言いがたいデザインの服を着ている。

「今、絶賛売り出し中のアイドルユニット、ミウ★マヤのお二人です」

 塗紙一がそう紹介すると「よろしくお願いします」と二人同時に頭を下げた。

「どうも初めまして。ミウ★マヤのミウこと宇佐木美雨(うさぎ みう)です」
「おなじくミウ★マヤのマヤこと栗澤麻耶(くりざわ まや)です。今日はこんな素敵なパーティに呼んで頂いて光栄です」
「せっかくですから、お二人に一曲歌って頂きましょう。それではミウ★マヤのお二人、お願いします」

 再び照明が落とされ、ステージ上の二人にスポットライトが照らされる。



 やっと週末だなんて 思っていたはずなのに
 気が付いたらもう 日曜が終わっちゃう

 退屈な平日 ノリ気になんない月曜
 天気予報は雨マークばかり
 だけど、君に会えるのは
 ちょっと嬉しい かな?

 六月の雨はちょっとセンチだけど
 こっそりお揃いにしたんだよ
 君と一緒の青い傘

 やっと挨拶できちゃったって 嬉しかったはずなのに
 なんでだろうもう それだけじゃ物足りない

 退屈な授業 頭に入ってこない公式
 空模様はどんより雲ばかり
 だけど、君と話せるのは
 もっともっと嬉しい よね!

 雨降りなのにちょっと不謹慎だけど
 こっそりお願いしたんだよ
 君と一緒に相合傘

 お揃いの傘を忘れたフリして
 君が帰るのを待ってみたりしてみようかな

 六月の雨はちょっとセンチだけど
 こっそりお揃いにしたんだよ
 君と一緒の青い傘

 君と一緒に相合傘

 君と一緒の青い 相合傘



 バンチョが勝手に設定した着信音はこの二人組の曲だったらしい。
 照明が戻されると、スタッフから紅茶が振舞われていた。



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