POSITISM

適度に適当に。

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スラッシュ\パーティ - /17 -


ハコニワノベル

 さっきの男は何者なんだろうか。立ち入り禁止と言われた場所へ進んで行ったところをみると、このパーティの関係者かもしれない。そうじゃなくても近寄ってプラスになることはないだろう。”私に見えない”状態で移動できる人間なんているはずがないのに、さっきの男は何度も移動して見せた。立ち入り禁止エリアを見回りをする役割を担っているのかもしれない。

「あら、七ノ宮さん。こんなところで出会うなんて奇遇ですわね」

 廊下を曲がったところで耳障りで高飛車な声が聞こえた。視線を声のした方へ移すよりも早くにため息が出た。視線を移すと、もっと大きなため息が出た。それは視線の先に紫色のゴージャスなドレスなのに、なぜかミニスカートになっているドレスを着て、髪の毛をどれだけ盛ったらそうなれるのか想像できないぐらい、重力を無視した髪型をした紫ノ宮泉がいたからだ。

「なんであんたがおんねん」
「この泉こそ、パーティにふさわしいのですよ。あなたのお家にも招待状が?」
「まぁ、せやけどな」
「同じですわね」
「あんたのパートナーは? 御影か? それとも金原?」
「違いますわ」
「そうか。ほんならあの二人今日はいないねんな」
「それも違いますわ」
「は?」
「龍彦は、麻衣子と一緒に参加しておりますの」
「そうなんか……。面倒になったなぁ」
「何かおっしゃいまして?」
「いや別に……」
「ちなみにこの泉のパートナーは、あちらの方ですの」

 そう言って紫ノ宮泉が指さした先には、他の参加者とにこやかに話をしている短髪で奇抜な色合いだけどオシャレなスーツを着こなした男がいた。年齢は三十代中ごろぐらいだろうか。なかなかの男前だ。その男は紫ノ宮泉の手招きする仕草に気が付くと、爽やかな笑顔を見せながら近寄ってきた。

(これは裏表のある顔やな)
「泉ちゃん、どうしたの? こちらは?」
「一さん、ご紹介致しますわ。こちら、この泉のクラスメイトでかつ命の恩人でもある、七ノ宮静香さんです」
「どうも、はじめまして。君が泉ちゃんの命の恩人さんでしたか。私は塗紙一(ぬりがみ はじめ)と申します」
「一さんは、このパーティの主催でいらっしゃいますの」
「ちょっと待って泉ちゃん。確かにそうなんだけどね、そういう言い方をしちゃうと誤解を植えつけてしまうよ。ほら、私一人で主催しているわけじゃないんだし」
「それでも主催の一人であることに変わりありませんわ」
「主催ってことは十枚?」
「あぁ、えぇっと……、静香ちゃんだっけ? 私は確かに十枚の一員だけどね、あまり主催というかもてなす側は不得手なんですよ。どちらかと言えば参加して楽しみたい方でしてね。だから、あまりかしこまらなくていいですよ」
「はぁ、別にかしこまることはまったくないですけど」
「そう。それは良かった。だったら話は早い。今日はお互い大いに楽しみましょう」
「あの」
「なんだい?」
「ちょっと気になってるんですけど、十枚ってなんなんですか?」

 そう言った瞬間、一瞬だけこの塗紙とか言う男の表情が曇ったように見えた。

「んー本来ならね、それは気にしない方がいいんだけど。でも、泉ちゃんの命の恩人さんなわけだし、特別に教えちゃおうかな。十枚というのはね、十個のグループからなる巨大な組織のことだよ」
「それはなんとなく分かります。でもさっきの話で、主催の一人と言われてましたよね? 一人ということは……」
「七ノ宮さん、あなた十枚も知らずに今回のパーティに参加なさったんですの?」
「まぁまぁ、泉ちゃん。普通に生活していれば、十枚のことなんて知る機会なんてないんだから。それと、静香ちゃんはどうやらとても鋭いみたいだし、はぐらかしても仕方がなさそうだ。その疑問にお答えしましょう。お察しの通り今日のパーティの主催は十枚で、十枚とは巨大な組織を指し示すのに、主催の”一人”という言い方は変ですね」
「はい」
「実は十枚という名称は二つのものを指し示しているんですよ。一つはさっきお話した十個のグループからなる巨大な組織の総称。もう一つは、その十個のグループそれぞれのトップを集めた十人のことを十枚と呼ぶんです。十枚っていうのはやっかいな組織でしてね、各グループ内ではグループのトップ争いをやり、各グループ同士では序列を争っているんですから」
「序列ですか……競争が激しい組織ですね。それと今回のパーティの主催は、十人の方の十枚ということなんですね」
「そうです、そうです。ご名答。私はその十人の十枚の一人、序列でいうと五枚目の塗紙一族に所属してまして、その塗紙一族のトップというわけです」
「主に何をしてるんですか? お仕事と言っていいのか分かりませんけど」
「主にコーディネイトや、デザイン等幅広く行ってますよ。最近では清涼飲料水のCMなんかのプロデュースなんかも手掛けましたね」
「ほら、あのミウ★マヤの新曲が流れる清涼飲料水のCMですわ」
「ミウ★マヤ?」

 六月の雨はちょっとセンチだけど
 こっそりお揃いにしたんだよ
 君と一緒の青い傘

 急に携帯が鳴り出して塗紙一が大笑いした。

「いやぁ、静香ちゃんお上手ですね」
「なにがですか?」
「知らない振りしておいて、ミウ★マヤの新曲をこのタイミングで鳴らすとは、高度なテクニックです」
「いや、たまたまです」
「なかなかやりますわね、七ノ宮さん」
「だから違うって……」
「あぁ、そうだ。今日のパーティにはミウ★マヤのお二人も参加されますよ」
「本当ですか? 一さん」
「えぇ。私がお誘いしたので間違いないです」
「あとでご紹介して頂けます?」
「かまいませんよ、泉ちゃん。なんなら静香ちゃんも一緒にどうですか?」
「いや、私は別にいいです」
「そうですか」
「それよりも」
「ん? それよりも?」
「十枚って塗紙さん以外には何一族があるんですか?」
「静香ちゃんは好奇心旺盛ですねぇ。あまり首を突っ込まない方が身のためだと思います。思いますが、せっかくなので我らが十枚をお教え差し上げましょう。私ね、美しい女性には甘いんです」
「はぁ」
「序列一枚目から言うと、檻紙(おりがみ)一族、霧紙(きりがみ)一族、尻紙(しりがみ)一族、塵紙(ちりがみ)一族、塗紙(ぬりがみ)一族、貼紙(はりがみ)一族、守紙(もりがみ)一族、槍紙(やりがみ)一族、璃紙(るりがみ)一族、割紙(わりがみ)一族という十個のグループから成り立ってますよ。細かい話は今日のパーティでそれぞれのトップとお話になればいいと思いますが、私みたいにベラベラとはしゃべってもらえないでしょうね、あっはっは」

 本当にベラベラとしゃべり終わってから、塗紙一と紫ノ宮泉は立ち去って行った。



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COMMENT

●じゅじゅさん

世襲制、血族ではないです。
一族はグループと同義です。

ほぅ。これが十枚ですか。えぇと、この一族なんですけど、これって世襲制って言うか血族じゃないんですね。だって純ちゃん、十枚入りに誘われたって音々が言ってましたし。

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