POSITISM

適度に適当に。

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スラッシュ\パーティ - /15 -


ハコニワノベル

 より鮮明な黒煙が見えて目が覚めた。昨日いろいろ考えてはみたけど、パートナーはどんなに探しても見つからないのが見えたところで諦めた。パートナーなしでもどうにか参加してしまえばなんとかなるはずだ。
 そのまま部屋を出てお風呂に入る。昨日、三杉さんに頼んでおいたのでお湯がきちんと沸かされていた。さっと汗を流して湯船に浸かる。顔を強めに叩いて気合を入れる。今日開催されるスラッシュ\パーティという胡散臭いパーティで大量の人が死ぬ。死因は若松先生のように身体を燃やしてだ。理由も原因も分からない。だけど、せめて知り合いは守りたいと強く思った。他人と関わらないようにしていた自分が、まさかこんな気持ちになるなんて思ってもみなかった。例え自分が人外の存在だと知られても構わない。手を伸ばして守れるだけ守ってみせる。きつくそう誓った。
 お風呂から出てシフォンブラウスに袖を通し、フリフリなペチコパンツを合わせた。パッと見はパーティでも問題はないと思う。靴はミュールかヒールのあるものがいいとは思うけれど、動きやすさを考慮してグラディエーターを履くことにしている。髪の毛をツインテールにしてから編み込んでお団子にした。これも動きやすさを考えてのヘアセットだ。
 部屋に戻って弓の確認をする。自分で所有している弓の中で一番小さい弓と矢をペチコパンツに仕込む。矢が三本しか仕込めなかったので、パーティバッグに何本か入れておいた。

「戦闘準備万端か?」
「おばあちゃん、おはよう」
「おはようさん。なかなかおしゃれなことしてるやないか」
「まぁね。これを使わないで済むならそれでいいんだけど」
「そうはいかんのやろ?」
「多分ね」
「ほぅ、多分なんか。ということは全部は見えてへんのか」
「うん。生きては帰ってくると思うよ」
「それなら安心やな」
「何人助けられるか分からへんけど……」
「あんまり他人を気にし過ぎとると足元すくわれるで?」
「ん、気を付ける。おばあちゃん……」
「自分で決めたんやろ? しっかり行って来ぃや」
「うん」

 強く抱きしめられてから「静香なら大丈夫や」と太鼓判をもらった。
 準備を終えるのとほぼ同時に携帯電話に連絡が入り、しばらくすると家の前に黒塗りの車が到着した。祖母に「行ってきます」と伝えてから家を出ると、黒塗りの車の前に温厚そうなドライバーが降りて私を待っているのが見えた。そのドライバーに近付くと軽く頭を下げてから乗車を促してくれた。とりあえず事故ったり、パーティと関係ない場所に連れて行かれるのは見えなかったので大人しく乗車した。ドライバーは何もしゃべらないまま車を出す。
 自宅が遠ざかっていくのを横目で見ながら、これから起こることをできるだけ見ようと集中した。

「失礼ですが……」

 突如話しかけられて面食らった。

「なんでしょうか」
「お連れ様とはどちらでお待ち合わせでございましょうか」
「あ、えっと、現地集合ってことにしてるんです」
「左様でございましたか。かしこまりました」

 何事もなかったかのようにドライバーは無口に戻った。タクシーでもないのに、助手席前にドライバーの名札が設置されているのが見える。帝園グループ本部第二実働部隊、山川真司(やまかわ しんじ)という人らしい。

(帝園グループ本部て、あの巨大なグループの一番偉いとこちゃうん? なんでそんなとこの人がドライバーなんかしとんやろ? しかも実働部隊て、物騒な名前やな)

 目の前にいきなり4320という数字が映った。一瞬だったのでよく分からないが、デジタル表記だったように見えた。なにを指し示しているのだろう。どうも上手く未来を見ることができないでいる。軽く頭を振るようにして気を取り直し、これから起こることを見るために再度集中していく。これから数分後だろうか、会場である陽碧の館の入り口で持ち物検査されるのが見える。ドライバーに気付かれないようにしながら、パーティバッグから矢を取り出して足元に置いた。そのあとパートナーはどこにいるのかをしつこく問われるのが見える。こればっかりはどうにもなりそうにない。「……さま」とにかく強行突破するなりして会場に入るしかない。最悪の場合は、受付の人間に気絶してもらうなりしてもらうことにしよう。「……くさま?」話しかけられると気が散るので黙っていて欲しいところだ。話しかけられる?

「お客様?」
「え! あ、はい?」
「到着いたしました」
「あ、どうもありがとう」

 外からドアを開けられて車から降りた。目の前に石造りの巨大な塀が見える。周りには同じような車が数台止まっていた。視線を塀から横に移すと、しばらく行ったところに巨大な門が見える。「あちらへどうぞ」というドライバーに従って門の方へ近付く。

「ようこそ、いらっしゃいませ。招待状の確認をさせて頂いてよろしいでしょうか」
「はい」

 招待状を見せた相手は黒いパンツスーツを着た女性だ。首に下げているカードには紙咲音々(かみさき ねね)と書かれている。

「失礼かと思いますが、お荷物の検査をさせて頂いておりますのでご協力下さい」
「構いませんよ。はい、どうぞ」

 パーティバッグを差し出すと機械的に中身を確認されていく。手馴れた様子なので、こういうことは当たり前に行っているのかもしれない。

「はい、問題ございません。あら? お客様、失礼ですがお連れ様はどちらで?」
(来たか……。まぁ、最悪はこの人に気絶してもらうしかないな)
「あ、あれ? さっきまでいたのにな」
「パートナーさまがいらっしゃいませんと、中にお通しすることができないのですが……」
「いや、ほんとにさっきまでいたんですけどね。もう、どこ行ったのかなー」

 右手に力を込める。軽く首筋に手刀を打ち込んで、ほんの数秒間意識を失ってもらうだけ。「おかしいなぁ」と言いながら右手を振り上げた瞬間だった。目の前に見知らぬ背中が見えている。これは未来ではなく現在だ。その背中は「お連れ様ですか?」の問に大きくうなずいて持ち物検査を受けている。あっけに取られている間に、その背中は門の中へと消えて行ってしまった。



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COMMENT

●じゅじゅさん

ほんとにねぇ。
最後が最後なだけに、可哀想ではありますな。

あ、この話が分からない人は第一部を読むといいと思よ☆

彼女の運命を知ってしまった今となっては
なんか空しいですよね
居ますよね、こう言う人
一生懸命、がいつのまにか狂気に変わっちゃうの

●じゅじゅさん

一生懸命働いているんです。
全ては例のグループに入るために。
いつだって一生懸命だったんですよ、彼女は。うん。

音々・・・ヾ(`◇´)ノ

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