POSITISM

適度に適当に。

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スラッシュ\パーティ - /14 -


ハコニワノベル

 招待状に書いてあった電話番号に連絡すると、とても丁寧な対応で参加受け付けが完了した。丁寧過ぎて余計に怪しく感じてしまったのは、その対応がまるでロボットや兵隊のように機械的な対応だったから。心がこもっていないというか心がないというか。ただ怪しいと思えば何でも怪しく感じてしまうので考えることを変えて、この胡散臭いパーティに参加して知り合いをきちんと守れるだろうか。ということばかりを考えた。
 特に考えがまとまるでもなく、日々は過ぎていった。
 週末、バンチョと小早川さんが服を試着する度に写真付きのメールを送られて対応に困った。似合っていると返すべきなのか、もっと違う感じのほうがいいと返すべきなのか。もしくは似合っていないと正直に返していいものなのだろうか。
 写真付きのメールといえば、祖母は写真付きのメールを嫌っている。若いイケメンとメールしていたと思ったのに、相手が自分撮りした写真を送ってきたときに、とても残念な顔をしていたからとかどうとか。それ以来、要件のみの簡潔なメールを好むようになったと言っていた。私もその考えに賛同したい。電話やメールは要件だけで十分だ。
 パーティに参加するとは決めたものの、そのパーティで起こることの詳細は分かっていない。分かっているのは立ち上る黒煙の数が尋常じゃないということ。その黒煙が立ち上るのは見えているけれど、黒煙が立ち上る原因は分かっていない。それからもう一つ分かっているのは、真っ黒な何かが私に近付いてくるということだけだ。それが何で、また何のために近付いてくるのかは見当もつかない。黒煙は見ようと思えばいつでも見えるけど、真っ黒な何かのほうは見ようとしても見れなかった。そもそも、あの未来についてはあり得ないことが一つ起きているし、寝起き間際でしか見えたことがないので、もしかすると夢なのかもしれない。
 鍵付きの引き出しから取り出した招待状をなんとなく見ていると、祖母との会話を思い出した。祖母は”すごいもん”が見えたとかなんとか。祖母は私や父のように未来は見えない。その代わり、その人がどう生きるのかが見えるらしい。祖母の言葉を借りるなら「運命っちゅーやつや。どや? ロマンティックやろ?」とのこと。それが見えてしまうことで様々なことを被ってこなかったのかを聞いたら「別に。なーんもないで? アタシはな毎日を精一杯生きるだけや。まぁ、気に食わん奴は徹底的に潰してきたったけどな」と楽しそうに笑っていた。たぶん本当の話だろう。祖母ならやり兼ねる。いや、やっている。

 六月の雨はちょっとセンチだけど
 こっそりお揃いにしたんだよ
 君と一緒の青い傘

 今日だけで何度目か分からないが、またメールを受信した。内容を確認すると、どうやらついにパーティに着て行く服が決まったらしい。添付の写真を見てみると、意外なことにバンチョの方が落ち着いた感じのグレーのワンピースドレスで、小早川さんがシースルーで薄い青のフリフリなドレスに桜色のリボンが付いている服だった。どちらかと言えばバンチョの方が派手目の服を選ぶと思っていたのに。しかも写真に写っている小早川さんは、変なスイッチでも入ったかのように沢山のポージングをしている。しかもポージングの度にメールが送られてきて収集がつかなくなるほどだ。ずっとメールの相手をするのもしんどいので「ええと思う」とだけ返信をして携帯を置いた。
 翌週になると、毎日パーティの話題ばかりになった。バンチョと小早川さんは、日に日に待ち切れなくなってくのが目に見える。そしてパーティ前日の金曜日を迎えた。

「楽しみだなー。というか早くあの服着たい!」
「そうだね。パーティってどんなことするのかな」
「やっぱりダンスじゃない?」
「それって舞踏会じゃないの?」
「えぇー、私カッコいい人からシャルウィダンス? って聞かれる予定なのにー」
「聞かれることは前提なんだ」
「しかも何人からも言われちゃってさー、私どうしたらいいんだろー! ヤバい!」
(一番ヤバいのはバンチョやろ)
「でも、運命の出会いとかあったりするかもね」
(いやいやいや、小早川さん? バンチョみたいなこと言うてへん?)
「だよね! パーティに参加するぐらいなんだからお金持ちでしょ。玉の輿だよ、玉の輿!」
(君らまだ中学一年やで? 玉の輿とかありえへんから)
「あ、そうだ。ねーねーしーちゃん」
「なに?」
「私さー、この間買ったドレスにピンクのコサージュ付けようと思うんだけどね、どこに付けるのが可愛いかな?」
「どこでもええんちゃう?」
「いや、普通に左胸のところだとインパクトがないし、右側とか、肩ぐらいまで上の方とかいろいろ悩んでるんだよー」」
「ほな、ココに付けたらインパクトあるで?」
「え? どこどこ?」
「ココやココ」

 人差し指でバンチョの額をつんつんしていると「ひーどーいー」とバンチョが怒っていた。怒ったバンチョをなだめながら、自分が着ていく服を考える。準礼装で構わないのだから、動きやすい格好にしよう。

「せっかくのパーティだけど、しーちゃんが行かないのは残念だね」
「そうだよー。パートナー一名ってのがなければ一緒に行けたのにー」
「あ、言うてへんかったっけ?」
「なにを?」
「なんの話? しーちゃん」
「うちもパーティ参加するで」
「えぇ? そうなの?」
「招待状、うちにも届いたからな」
「だったら一緒に服買いに行けば良かったね」
「うちは新しく買ってまで準備せーへんよ」
「それなりの服が既にあるってことかー。だけどこれで更に楽しみになったなー」
「そうだね。あ、ということはしーちゃん」
「何?」
「パートナーは誰なの?」
「あ……秘密や、秘密」
「えー! 教えてよー」
「あかん。当日のお楽しみや」
「ちぇー」

 パートナーのことはまったく考えていなかった。そうか、参加するにはパートナーが一人必要なんだった。とにかく参加して、知り合いを危険から守ることしか考えていなかった。そんな危険の中にわざわざ誰を誘えばいいのだろうか。パーティの開催は明日だというのに。



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COMMENT

●じゅじゅさん

おおぅ。そうなんですよ、あの人が祖母なんですよねー。
いろいろ絡まっていきますよー!

あー、そう言う理由でメールは簡潔に!がお約束になったんですね、ふむふむ。

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