POSITISM

適度に適当に。

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スラッシュ\パーティ - /13 -


ハコニワノベル

 バンチョが嬉しそうに見せてきたのは、私が鍵付きの引き出しに入れているあの招待状と同じものだった。何度か辞めておいた方がいいと止めてみたけど、バンチョはパーティに参加すると言って聞かなかった。そればかりか、パートナーを小早川さんに決めてしまって、二人とも当日着て行くドレスのことで盛り上がっている。その姿を見てため息をつくと「しーちゃんが妬いてるー、可愛い」と言い出して頭を撫でられた。説明しようにも不安を煽るだけになるので言い出せない。

「千紗ー、週末服買いに行こうよ」
「いいね! 行こう行こう!」
「しーちゃんも行かないかい?」
「うちはええわ……」
「あー、しーちゃんが拗ねちゃったよー」
「そんなんちゃうよ」
「そう? じゃぁ千紗、週末に上坂Pharaoh(ファラオ)にショッピングだよ!」
「うん。あぁ、ちょっと今から楽しみになってきちゃった。バンチョはどんな服にするの?」
「んー? 準礼装で構いませんって書いてあるからなー」
「じゃぁ、ちょっと押さえ気味かな」
「そうじゃないよ千紗」
「え?」
「準礼装”で”構いませんって書いてあるってことはさ、それより上なら構わないってことでしょ?」
「えぇ? そういうことなのかなぁ。まぁ、どうせならパーティらしい服がいいけど……」
「でしょでしょ? だったら可愛いのにしちゃおう! うん、そうしよう」

 バンチョと小早川さんを止めるのを諦めた時点で、例のパーティに参加しようとは決めてはいた。しかし、部活に顔を出したことでその気持ちはより一層強いものになった。王子先輩の家にも招待状が届いたらしく、既に島崎先輩をパートナーとして参加する胸の連絡をしたと聞いたからだ。

「パーティと聞くと、おめかししたくなるのが乙女ってものだな」
「雛はドレス持ってるんだっけ?」
「まぁ、何着かはあるよ」
「さすが王子製菓の令嬢だね。招待状が来るのもうなずける」
「あまりその話を人前でするなよトモ」
「ごめーんね」
「まったく、反省するつもりもないだろ」
「王子先輩って王子製菓と関係あるんですか?」
「あるよあるよー。聞いて驚くといいよ雛のお父さんはね、王子製菓の社長なのだ!」
「だから、なぜトモが自慢げに言うんだよ。七ノ宮さん、今のはあまり他言しないでくれると助かる。父親は父親で、私は私だからさ。その、無用なトラブルに巻き込まれるのは御免なんだよ」
「はい。分かってます。島崎先輩よりは確実に」
「あー、後輩のくせして生意気だね。先輩権限発動してジュース買ってこさせちゃうぞ」
「部活動という意味で言えば、どっちが後輩だか分かってます?」
「う……。雛、恐ろしい、恐ろしい子だよ、この子は」
「七ノ宮さんは既にトモの扱い方が上手いな。この分なら心配ない」
「ちょっと、どういう意味?」
「そういう意味だ」
「そう言えば、そのパーティの招待状って宛名のないやつですか? スラッシュ\パーティとかいう名前のパーティの」
「ん? そうだぞ。七ノ宮さんのところにも届いたのか?」
「いえ、クラスメイトのところに届いたらしくて、今日見せてもらいました」
「そうなのか。まぁ、主催があのグループだしなぁ」
「王子先輩はそのグループのこと知ってらっしゃるんですか?」
「いいや、全然。ただ、父親の仕事関係の話で何度か聞いたことはあるよ」
「さすがセレブなお嬢様は違うね」
「まだ言うか? トモ」
「だって本当のことじゃん。あ、七ノ宮ちゃんはどうなの? 一般人? それともお嬢様?」
「さぁ、どうなんでしょうね。あまり意識したことないです」
「七ノ宮さんの家はさ、もしかして七福神宮と関係あったりするのか?」
「あ、あれはうちの家です」
「えー! ? ここらじゃ一番大きな神社だよあそこ。やっぱり、お嬢様じゃない」
「でもどうして七福神宮と私が関係あると思ったんですか?」
「いや私さ、歴史的な展示物とか好きなんだよ。あそこの神社にさ紅麒麟(こうきりん)って国宝あるだろ。その紅麒麟と一緒に展示されてる代々所持している人の名前が七ノ宮なんだよ」
「よくご存知で。紅麒麟はうちの家が所持してるものです」
「はぁ、本物のお嬢様かぁ。一般人なのは私だけってことだね」
「トモの家だって島崎フーズじゃないか」
「ただ外食チェーンを経営してるだけだよ。私の家はセレブじゃなかったしさ」

 そのあと、島崎先輩によるいかに自分がセレブではなく、一般的な幼少時期を過ごしたのかを無駄に聞かされた。その内容から判断するに、セレブなのかどうかを判断することは難しかった。とにかく最後までセレブに対するコンプレックス全開で、王子先輩と私に対して何度も「ドレスなんて持ってないし」という言葉を使っていた。収集がつかない状況になったのを見かねて、王子先輩が「私の持ってるドレスを一着貸してやるから」と言った瞬間にケロっとしていたので、最初からドレスを借りることが目的だったようだ。
 家に帰ってからもう一度招待状を手にとる。集中して未来を見ても新しいものは見えなかった。ただ、黒煙が立ち上る中に知り合いの顔が増えただけ。一つため息を吐き出してから覚悟を決める。招待状を手にしたままで、祖母の部屋へと向かった。

「おばあちゃん、今ちょっとええかな」
「ん? ええで。入り」
「失礼します」
「どないしたんや、かしこまって」
「あのな、これ見て欲しいねんよ」
「なんや招待状? って、これは……」
「昨日、届いてた」
「だから昨日聞いてきてたんやな」
「うん」
「で、わざわざ言いに来たってことは、参加するってことかいな?」
「うん」
「そういうことか。ほんで理由は?」
「友達が二人参加すんねん。あと部活の先輩も二人」
「それだけちゃうやろ?」
「……人が沢山死ぬ」
「そういうことが起きるのが見えたんやな?」
「うん」
「ほんで?」
「おばあちゃんに、見て欲しいんよ」
「しゃーないか。可愛い孫の頼みやし」
「お願いします」
「……お。静香、参加しといで。なんかすごいもんが見えたわ」
「すごいもん?」
「それが何かは、行ってからのお楽しみやな」
「ふぅん」
「あとは、一つだけ約束や」
「なに?」
「アタシより先に死んだらあかんで?」
「それは大丈夫やわ。うちもおばあちゃんも十年や二十年じゃ死なないよ」
「そうかそうか。ほな、気合入れて参加してき」
「うん。おおきに」

 祖母の部屋を出る前に「弓、持って行きや」と言われた。少しだけ笑って「そのつもり」と返してから自分の部屋に戻った。



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COMMENT

●じゅじゅさん

さー、パーティですよ。パーティ。
参加したことないけど、パーティですよ!

ほほぅ・・・( ̄ー ̄)

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