POSITISM

適度に適当に。

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スラッシュ/ゲーム - /59 -


ハコニワノベル

 ――ズン。
 衝撃による風を感じた。確かに風は感じたけれど、どこにも痛みを感じていない。もしかして死んでしまったのだろうかとも考えた。だけど、既に死んでいたとすれば風は感じないはず。じゃぁ、何がどうなって――。
 ぼんやりしている意識を「爽太君、大丈夫?」という声が引き戻してくれた。

「は、長谷川さん?」
「ジェシカちゃん助けてもらったお礼、しないとね!」

 見上げる形で確認すると、バケモノの巨大な腕を長谷川さんが巨大マジックハンドで受け止めている。その衝撃で起きた風だったようだ。しかし、受け止めるところまではよかったものの、長谷川さん自体がジリジリと押され始めている。確かにあのマジックハンドは物凄い怪力を発揮できる。ただ、それを持っている長谷川さんは普通の人だ。いや、妖精さんだ。地力でバケモノに敵うはずがない。
 ヒュンフォン――、ヒュンフォン、パーンッ! と、今度はバケモノを真っ赤なムチが襲う。「アタイ以外のメス豚に従順だなんて許せないねぇ……、お仕置きだよっ!」と何度もルー様がムチを振るう。けれど、そのムチも至って効いているようには見えない。

「私が部長に就任したときの話です。当時は……」

 森本部長の音による攻撃もそこに加わる。更に遠くで「やっと抜けたー!」というミッチー先輩の声が聞こえた。ミッチー先輩ならきっと加勢しに来るだろう。やれやれ、みんな自殺願望者なのかもしれない。それぞれの武器がまったく通じない相手にどうしようと言うのだろう。抵抗したところで結果は変わらない。変わらないけれど――なぜかそれが可笑しくなって笑った。
 そうこうしているうちに、マジックハンドごと持ち上げられた長谷川さんが大きく後ろへ投げ飛ばされ、なぎ払われた巨大な腕によってルー様と森本部長がコマのように弾け飛ばされる。遅れてやってきたミッチー先輩が「ていやーっ!」と叫びつつ、渾身の力で投げた槍は、ギンッという音を出してバケモノに当たったものの、バケモノを貫くこともなく地面に転がった。
 武器を失ったミッチー先輩を意に介することなく、バケモノは僕の方に向き直って近付いてきている。なんとか立ち上がってみたけれど、そうそう何度もあの巨大な腕を防いでいられそうにない。それに、さっきから意識が飛びそうになっていて思考も曖昧だ。
 策を巡らす暇もなく、三度バケモノが飛び掛ってくる。なるべく受け流すようにゴボウを構えた。しかし、バケモノは僕に届くことなく、ほぼ真横に吹き飛んでいった。

「! ?」
「よう」
「……なんだアレ」
「……」
「今日もやけに頑張っちゃう系じゃね?」
「……ははは。あっれー? 生きてたんですか。残念ですよ」
「お前さー……、マジでウザイわ。助けてもらったんだから、礼ぐらい言えよな」
「アレ何? なんの生き物? UMA? ちょっ、ちゃんと理屈の通る説明してくれる?」
「お二人も相変わらずですね。三好さん、それから高畑さん」
「こんな状況になっても、お前ってマジウゼーのな。ちょっとだけ尊敬するわ」
「そんなことはどうでもいいから、あの生き物は何なの? 納得がいかないんだけど」
「三好さんにだけは尊敬されたくなかったですが、仕方ないですね。それから、アレはですね高畑さん、ハンターってやつですよ。ちなみに他にもデタラメなのが二体ほどいたんですけどね」
「はっ、尊敬なんて冗談に決まってるだろ? 俺だってお前に尊敬されたくねーし」
「やれやれ、安心して下さいよ。例え冗談だとしても、あなたを尊敬することは有り得ませんから」

 よく見ると、三好はその手にゴルフのウッドのような武器を持っている。もう少し説明しようとするなら、ハンマーに近い。さっきのはどうやらこの武器でバケモノを吹き飛ばしたらしい。相変わらず力任せな人だ。それに比べてさっきからブツブツと言っている高畑の手には、懐中電灯のようなものが握られている。二人とも相変わらずのデコボコぶりで、妙に安心してしまった自分に少し腹が立つ。

「ど、どこから入ってきた! ? この中央広場の中にいたのは六人だけ。私の作った壁の外から入ることは出来ないはず……」
「はぁ? 壁だぁ? そんなもん無かったぜ、お姉さん」
「三好、あれじゃないか? ほら、何か見えない障害物……あったろ?」
「あぁ、あれのことか!」
「数トンの荷重に耐えられる特性のワイヤーを、何重にも編み込んで作った壁を突破するなんて不可能よ! 銃火器や刃物ぐらいじゃ傷も付けられないのに! そこのゴミ二匹……、何をした! ?」
「高畑、なんかお姉さん怒ってるぜ? お前説明してやったら? 好きだろ? そういうの」
「あれはワイヤーだったのか……。まぁ、そうだとしても簡単な話。例えば、ダイヤカットマシンがあればそのワイヤーを切断することは可能」
「あんたの武器がダイヤカットだって言うの? そんなことはない! すべての武器を準備させたのは私なのよ? そんな武器を希望した奴は一人もいなかった!」
「だから例えばの話。どんな強靭なワイヤーであったとしても、それをどうにかする方法が皆無でないのだから、ここに入ってくることは不可能ではない」
「おい、高畑」
「なに?」
「多分な、あのお姉さんが聞きたいことって可能か不可能かっていう話じゃないと思うぞ」
「あ、そうなの?」
「どうやってここに入ったのかと聞いてるのよ! いつまでそこで転がってるつもり? あの二人から始末しなさいバケモノ!」

 二人めがけてバケモノが飛びかかる。しかし、まるで野球でもしているかのように三好が振り回したゴルフのウッドのようなもので、バケモノは打ち返された。「今のは三遊間抜けたんじゃね?」と三好が笑っている。打ち返されたバケモノはすぐに受身を取って体勢を整えている。

「光刃は超高温の熱エネルギーを発しており、殆どの物質を容易に切断する事が出来る」
「何をぶつぶつ言っている! ? ゴミのくせに忌々しい!」

 紙咲さんが振りかざした腕から何かが光った。あぁ、知力のゲームのときに見たのはこれだ。さっきの話からすると、物凄く強度のあるワイヤーなのだろう。これでゲーム参加者の首を切断していたに違いない。ワイヤーをカウボーイの投げ縄のような状態にして相手の首にはめさえすれば、周りにどんな人がいたとしても、狙った相手の首だけが飛ぶだろう。噴水公園に移動する前に、紙咲さんが指先で何かを引っ張る仕草をしていたのも、このワイヤーだと確信した。特性だとか言っていたのだから、強度は強靭なままで目視出来ないほどに細くしたものだと考えられる。
 その光が渦を描きつつ高畑に近付いていく。「まずはお前だっ!」と紙咲さんが叫んだ。

「つまり、これが答え」

 そう言った高畑の周りが、蛍光グリーンに輝きだした。手にした懐中電灯のようなものの先から、緑色の光が伸びているのが見える。それをブゥン、ブゥン言わせながら振り回すと、紙咲さんから伸びた渦状の光はバラバラになって散った。

「武器を入力しろという指示に、どうしてみんながこう書かないのかが不思議だ。武器といったらライトセーバー以外あり得ない」
「高畑。それ、お前だけだと思うわ」
「つまり、それで見えない壁を焼き切ったわけですか」
「しかし、映画で観てたら物凄く便利な武器なのに、実物は持っている手が熱くて長時間は扱えない……。そこが不満だ」
「相変わらずの理屈屋ですね、高畑さん。それにしても、なんで助けてくれるんですか? お二人とも」
「……はっ。お前に借りを作りっぱなしでいられるかよ」
「借り?」
「前のゲームで一応お前に助けられちまったからな」
「えぇ? 僕が、三好さんをですか? 何かの間違いじゃないですか?」
「間違いじゃねーし。お前がカードを選んで俺たちを勝ち抜けさせたんじゃねーかよ」
「俺たち? ……あのですね、一応三好さんのカードを選択したのは覚えてますよ? だけど高畑さん、あのときいましたっけ?」
「いたよ。……悪い?」
「ほんと、お前みたいなのに助けられたかと思うと気分悪いわ」
「僕も今、同じ気分ですよ」
「ならザマーミロだな」
「言いたくないですが、お礼言っておきます。お二人ともありがとうございます」
「……辞めろよ、気持ち悪い」
「口だけですからご心配なく」
「はっ。お前がそうじゃなきゃ、こっちも調子狂うわ」

 体勢を整えたバケモノがまたこちらに飛びかかってくる。三好がまたバットのようにスイングしようとすると、バケモノが突如方向を変えて高畑の方に飛びかかった。「ちょっ」とだけ残して高畑が吹き飛ばされる。更にバケモノは吹き飛んでいる高畑に追いついてその足を掴むと、無理やり地面に叩きつけた。「ギャッ」という声とも音ともいえない叫びのあと、更にバケモノが高畑を持ち上げて叩きつけようとする。

「てめぇ、いい加減にしとけよ? あぁ?」

 三好が武器を振りかざして駆け出した。しかし、数歩でその動きが止まる。「っなんだよ、コレ?」三好が疑問に満ちた言葉をつぶやいた。どうやら、紙咲さんのワイヤーで身動きを封じられたらしい。じゅじゅさんが空中に浮かんでいるのも、ワイヤーということか。

「所詮はゴミ。武器の相性さえ封じてしまえばなんてことはない。ちょっと取り乱した私が馬鹿みたいだわ。そんな奴は後で始末なさい。今は近重純のお気に入りを始末するのが先よ。さっさとトドメを刺してきなさい」

 まるでおもちゃに飽きた子供のように、振り上げていた高畑を投げ捨てると、またバケモノがこちらに向かって来た。三好たちのおかげで思考は随分落ち着いてはきたけれど、対抗する手段は相変わらず皆無だ。一体目は体内、二体目は近距離とそれぞれに弱点らしい部分があった。しかし、この三体目のハンターにはそれらしいものが見当たらない。ショットガン、M60の銃火器も効いていないし、体表は一体目のハンターのようにかなり硬い。巨大な腕の破壊力は凄まじいし、その腕を使った移動によって、距離に関係なく攻撃を仕掛けてくるので始末に終えない。
 ただ、歩いている状態だと巨大な腕を引きずっているので遅く、腕を叩きつけた移動は素早いけれど一直線にしか向かってこない。それと、腕を叩きつけたあとの移動中は必ず空中にいる。そうか――、一回が限界だろうけど、避けられそうだな。

「クケケケェーーーッ!」

 二つの口の口角を気味の悪い高さまで上げて叫んでから、バケモノが腕を叩きつけて飛びかかってきた。僕はそれに合わせて階段に飛び込む。一回転――、二回転と半分ほど回った僕をかすめながら、バケモノは階段の中腹まで落ちていった。



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COMMENT

●じゅじゅさん

コメントありがとーです!
Twitterの方でもコメントもらえて
物凄くモチベーション上がってます。
ありがたや、ありがたや。

その他の内容はいろいろあれなので
ご想像にお任せします!w

行け!爽太!いてこませーヾ(`◇´)ノ
ところで爽太っていつから純ちゃんのお気に入りでしたっけ? ( ̄ω ̄).。oO

あとね、このハンターたちには心はないのかしら?
それともこの「メス豚」音々は「バケモノ」に心なんて要らないわよ、ほっほっほとか言って
ただの入れ物(何が入ってるかはあとのお楽しみ、だと思います ^ ^)としての彼らを作り出したのかしらん。
もし心があるんだったら、「バケモノ」呼ばわりされて道具扱いされて、「ざけんなよ、このアマ」ってなってほしいものです。

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