POSITISM

適度に適当に。

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スラッシュ/ゲーム - /56 -


ハコニワノベル

「爽太、何が起こってるの?」
「最後のハンターが追いかけて来てるみたいですね。じゅじゅさんと鈴木部長が時間を稼いでくれているので、とりあえず逃げる算段をしましょう」
「今度のはどんな奴だったんだ?」
「それが、僕は見ていないんですよ。暗かったので近付いてくる音しか聞こえませんでした。じゅじゅさんがですね、相手がハンターであれば発砲すると言っていたので、ハンターが来ているというのは間違いなさそうです」

 再びバーンッ! と、バババババババッ! という銃声が重なりあって聞こえてくる。その音が徐々に近付いてきているということは、ショットガンとM60では大した足止めにならないのだろう。考えてみれば、今まで倒した二体のハンターに対しても、銃火器による攻撃はあまり有効ではなかった。銃火器の効かない生命体が、実在しているという事実を認めなければならなそうだ。
 ――ヨリシロ。
 ――依り代。

「神霊が依り憑く対象物のことで、神体や場合によっては神域をしめす。だったっけ」
「爽太、何か言った?」
「一体目がライオンみたいで……、いやどちらかと言えば獅子舞の獅子に近かったな」
「爽太?」
「二体目はペリカンか……。ペリカンというよりも、定義としては鳥か?」
「おーい、爽太?」
「……あ!」

 携帯電話を取り出して検索を行う。履歴に残っていた”依り代”から”神体”、”神”、”神道”と調べていく。さらに関連している項目を調べていく。銃声と誰かの声が耳には入ってきているけれど、今はそれどころじゃない。続けざまに調べていく”神社”、”神の一覧”、”日本の神の一覧”その先で見つけた複数のページをブックマークした。「もしかして、ハンターっていうのは……」と口に出したところで、久しぶりに耳を引っ張られた。

「なにぶつぶつ言ってるのよ。爽太が逃げる算段しようって言うから、みんなで逃げることになったんですけど?」
「あ、ミッチー先輩……、痛いーっす」
「突然だからパニックになるのは分からなくもないけどさ、しっかりしなさいよね」
「別にパニックにはなってませんよ。そんなことよりも、一番アドバイスできない立場の人からアドバイスされたことにパニック起こしそうです」
「そんなに耳を引きちぎられたい?」
「おーい、小谷に爽太。SMなら無事に帰ってから存分にやってくれるか? 全員で中央広場の裏からイタリア庭園側に逃げるぞ」
「だ、そうなので続きはまた今度にしましょう、ミッチー先輩」
「つつ、続きななな、なんて……」
「ミッチー先輩。パニックになるのは分からなくもないですけど、しっかりして下さいね」
「あ、あんたに言われたくないわよ!」

 後頭部をグーで殴られた。しかもかなり強めで。相変わらずこの人は傷害常習犯だな、と思いながら後頭部をさすりつつ渋々と移動を始める。だけどその移動は数歩進めただけで終わってしまった。僕が中央広場の中央まで移動すると、そこには先に移動していたはずの森本部長たち全員が立ち往生していたからだ。

「どうしたんですか?」
「爽太さん。うーん、これは説明するより体感して頂いた方が早そうですね」
「それはいったいどういう意味ですか?」
「ここから先に進めないんです」
「へ?」
「ここから先に進めなくなっているんですよ」
「またまた、そんなわけないじゃないですか」
「では、進んでみてください」

 森本部長が何を言っているのか分からないまま、言われた通りに前へ進む。進む。進む。進もうとしたけれど――進めなかった。
 身体に何かがぶつかっている感覚がして、歩いても走っても、飛んでもしゃがんでも前に進めない。まるで目に見えない壁でもあるみたいだ。ゴボウを前に突き出しながら、見えない壁がどこまであるのかを軽く調べてみると、中央広場の裏側どころか左右共に進めなくなっている。

「なんですかね、これ?」
「分かりません。分かりませんがこの状況は……」
「閉じ込められたということですね。方法は分かりませんけど」
「逃げ場なしで、後ろからはハンターか。まるで誰かにハメられたみたいだな」
「ルー姉さん、一応言っておきますが僕じゃないですよ?」
「別にあんたを疑ってるわけじゃないさ。客観的な状況判断だよ」
「あの! これってピンチってことですよね? どどど、どうしよう! ?」
「小谷さん、落ち着いて下さい。焦っても仕方がないです。どこかに抜けられる場所がないか探しましょう」
「えっとえっと、抜けられなかったらどどどっ、どうすれば?」
「じゅじゅと鈴木部長がハンターを片付けてくれることを祈るしかないな」
「そんな……」
「とにかく、今は抜けられる場所がないかをみんなで探しましょう」

 それぞれが見えない壁の確認をしていく。軽く調べただけなので、例えば上や下からは通り抜けられるかもしれない。どこかに隙間があるかもしれない。後ろから近付いてくる銃声にプレッシャーを与えられながら、当てもなく抜け穴を探す。
 パッシーンッ! という炸裂音がしたので確認するとルー姉――ルー様だった。

「あの、何をしてらっしゃるんで?」
「忌々しい壁じゃないかい。私のムチに無反応だなんてねぇ」
「あぁ! そうか、強度はまだ試してませんでしたね」
「反応しないものには興味が沸かないよ」
「ルー様、ありがとうございます!」

 右手のゴボウを壁に向かって振り下ろす。ガンという手応えが返ってきたものの、分厚い壁を殴りつけている感覚とは少し違う気がした。なので今度は素手で壁を触ってみる。その感触がどことなくワニ革のような感じがした。もしかすると、透明な爬虫類系のハンターがここに横たわっているのかもしれない。今までのデタラメなハンターを考えれば、有り得なくもないだろうし、透明であれば追いかけられていたときに暗いとはいえ姿が見えなかったことにも説明がつく。携帯電話のブックマークからページを開いて確認してみたけれど、”ワニ”ならハンターに成り得るだろう。そう考えれば考えるほどに、目の前に張り巡られているのは壁ではなくてハンターな気がしてきた。しかしそうなると、じゅじゅさんと鈴木部長が、今なにと戦っているのか分からなくなってしまう。どうにかして確認しなければ。

「あ、あんたねぇ、こんなピンチな状況でサボってるんじゃないわよ!」
「ミッチー先輩!」
「ななな、なに?」
「あの、ここをですね、その槍で突き刺してみてもらえません?」
「え? 壁を?」
「お願いします」
「なんで?」
「ちょっと試してみたいんですよ」
「よく分からないけど……、ここを刺せばいいんだよね?」
「はい。思い切り刺して下さい」
「わ、分かった。い、いくよ? て、てて、ていやー!」

 思った通り、槍の刃先が壁に突き刺さった。「ちょ、なにこれ? どういうこと?」とミッチー先輩が慌てている横で、刺された部分を確認する。触ってみたものの体液らしいものは出ていないようだし、動くような素振りもない。

「ちょっと爽太! これに何の意味があったの?」
「いえ、確認してみたかっただけです」
「確認? なにを?」
「壁なのか、そうじゃないかをです」
「え? これ壁じゃないの?」
「少なくとも壁ではなさそうです。だけど、こうなると違うみたいだし……」
「違うってなにが? ていうかコレ抜けないんだけど! ?」
「ミッチー先輩、僕ちょっと確認したいことがあるので失礼します」
「ま、待って! コレ抜いてよ。ねぇ、ねぇってば!」

 中央広場を抜けて扇上の階段を駆け下りる。
 あの壁がハンターでないとするなら、じゅじゅさんと鈴木部長は何に対して攻撃をしかけているのかを確認しておきたい。階段を下りきったところで、走ってくるじゅじゅさんを確認した。

「じゅじゅさん、丁度良かった。ハンターってどんなやつですか?」
「最悪だ! 逃げるぞ爽太!」
「え?」
「なんでV1クラスが出てくるんだよ! くそったれ、音々の野郎っ!」

 ラリアットされた状態で、せっかく駆け下りた階段を駆け上っていく。

「じゅ、じゅじゅさん、鈴木部長は?」
「健ノ介はやられた」
「えぇ?」

 ――ガシャンと金属音が鳴る。直後に大きなものが落ちる音。
 後ろ向きのままになっている僕には見えたのは、グニャグニャに曲げられたM60と、下半身のない鈴木部長が投げ捨てられるように階段の下に転がった姿だった。



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COMMENT

●じゅじゅさん

さてさて、予想は当たってましたかー?

音々?あー・・・もしかしてあの人のことかな?

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