POSITISM

適度に適当に。

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スラッシュ/ゲーム - /51 -


ハコニワノベル

 木々の間をある程度進んでいくとフランス庭園側の低木に辿り着いた。前は隙間なくびっしりと低木が植えられていたので、前に通ったときは隙間に身体をねじ込んで抜けたのだけれど、今はその中の数本が切り取られていて、通路のようになっていた。その切り取られた部分からフランス庭園内に入る。芝生を越えると、茨の植え込み場所が無理やり移動されていて、防御壁のような配置になっている。その防御壁の最前線に、巨大なマリモを確認した。

「森本部長」
「無事だったか、爽太」
「あ、ルー姉さん」
「悪いけど、森本部長は今手が離せないんだ」
「手が離せないって……」

 森本部長は目の前で拡声器のようなものを持って叫んでいる。叫んでいる内容が「私が二十歳のことですが、その当時は……」といった昔話のようである。殺されてしまう可能性があるのだから、自分の命が終わる前に主張しておきたいことがあるのかもしれない。しかし、森本部長の近くにいけばその主張は聞こえるものの、少し離れるとまったく聞こえてこない。拡声器のスイッチがきちんと入っていないのだろうか。

「あの、森本部長は何をしてるんですかね?」
「戦ってるんだよ」
「戦ってる? 時間という残酷なものとですか?」
「そこから噴水近くを見れば分かる」
「噴水近く? ……あ」

 そこにそれはいた。どこからどう見てもペリカンだ。大きさは動物園などで見かけたときの記憶と大差はない。唯一、奇妙な点があるとすれば頭が三つ付いているということだろうか。それでもペリカンだという印象は変わらない。頭の三つあるペリカンだ。「なんですか、あれ?」とルー姉さんの方を振り向かずに聞く「どうやらハンターってやつらしい」と言われた。「まぁ、そうですよね」とだけ返した。

「あいつが変な音で攻撃してきてるんだよ。耳鳴りみたいな」
「あの音ってあいつが出してたんですか……」
「その音をある程度離れた場所で聞き続けると、門のところにいるじゅじゅや、小谷みたいに意識を失うみたいだな。長谷川がその攻撃のせいで、あっちのベンチで横になってる」
「おぉ、妖精さんが。あれ? そういえば他の人はどこに行ったんですか?」
「長谷川と一緒にいた三人はやられたよ……」
「三人? ……あぁ、あの三人ですか。僕が残ったときに見かけた名前も知らない人たち。やられたってことは……」
「あのペリカンにやられた。至近距離だったからだと思う……、身体が破裂してしまったんだよ」
「……それはまた壮絶ですね」
「門と裏側の出入口は常に交代で見張りを立てていたんだけどな、あのペリカンが空から飛んできちまって、そのまま門の内側にられてな。そのとき門の見張りだった三人が至近距離であの音の犠牲になった」
「あいつ飛べるんですか……。厄介ですね」

 三人が犠牲になったらしい。さっきイギリス庭園で見た三人はこのペリカンのせいではなさそうだ。だとしても、これで新たに六人が殺されてしまったことになる。

「お? お前が爽太か! 無事だったのか、ハッハッハッハ!」

 突然野太い声がしたので振り返ると、たった一人で戦況をひっくり返す、とてもよく訓練された兵士が主人公の映画から、その主人公が飛び出してきたのかと思った。その肩に担ぎ上げられているのは間違いなくM60マシンガンだろう。やれやれ、どんな乱暴者だ。

「どうした? 恐ろしくて声も出ないか?」
「えーと、鈴木部長ですよね? 企画部の」
「知ってたか! ハッハッハッハ、そうだ。俺が鈴木だ。もう部長じゃないけどな、ハッハッハッハ! まぁ、よろしくな」
「あー、はい、よろしくお願いします」
「鈴木部長もさっき合流したところなんだよ」
「悪い悪い、このM60がどこを探しても見つからなくて探しまわってたんだよ。日本庭園の滝の裏側でやっと見つけたんだ。きっと誰かが宝箱を故意に隠してたんだろうな。ま、遅れた分はしっかり役立たせてもらうぞ」

 もう見た目から体育会系のオーラがほとばしっている。しかも手にしているのがM60マシンガンというから、しっくりき過ぎていて逆に笑えてくる。鈴木部長一人でこの戦局を乗り越えてくれそうな、そんな雰囲気だけは確実に持っている。

「鈴木部長、そのM60であのペリカンどうにか出来ませんか?」
「試しに撃ってみたんだけどな、あの音を止めないと弾丸が届かないんだよ」
「あの音は攻撃手段であり、防御手段なのか……。益々厄介だな」
「とにかくだ、マリモちゃんがあの音を防いでくれているうちに、あいつをなんとかしないとな」
「そういえばここは耳鳴り音がしないですね」
「森本部長の武器がなかったら、私たちもやられてるぞ」
「あの拡声器、武器だったんですか?」
「私も聞いてみたんだけど、”声”って入力したらしいよ。そのお陰で、こうしてなんとか戦えてるってわけだ」
「あの武器って叫び続けてないと効果がないんですか?」
「多分そうだな」
「だったら、いずれ森本部長が疲れてしまって、叫び続けることが出来なくなった時点でやられちゃいませんか?」
「そうなんだよな」
「それに、こちらからの攻撃も届かないんじゃ戦えないですし」
「それもそうなんだよ。なぁ爽太、あんたいいアイディアない? ほら、クリスマスイベントのときみたくさ」
「急に言われても……、クリスマスイベントと今じゃまったく別物ですしね。うーん、森本部長が相手の耳鳴り音を防ぐ限界の距離ってどれぐらいですか?」
「限界の距離?」
「要するにですね、どこまであのペリカンに近付いても、意識を飛ばされずに済むかってことですけど」
「それを知ってどうするんだ?」
「音で守られていて、遠距離からの攻撃が届かないわけですから、至近距離から攻撃をしちゃえば届くんじゃないかなぁと」
「理屈は分かる。けど、仕留められるか?」
「俺のM60ならいけるんじゃないか?」
「それはどうでしょうね、最初に出会ったハンターはものすごく硬くて苦労しましたよ」
「あんた、ハンターに会ってたのか! ?」
「えぇ、まぁ。じゅじゅさんもミッチー先輩も会ってますよ」
「ハッハッハ! それでいて無事だということは、やったのか?」
「もちろんじゃないですか」
「ハッハッハッハ! 見た目よりもたくましいな! そうかそうか。それなら、みんな無事なんだな?」
「……」
「無事じゃないのか」
「……はい」

 どうやら僕が制御室内に残ってじゅじゅさんとミッチー先輩と別れてから、二人はまだ森本部長のグループと合流することができていなかったらしい。僕はそのままの流れでルー姉さんと鈴木部長に、最初のハンターとの騒動の話、それと朋美さんと秋山さん、それから山田社長が殺されたこと。智子さんは左足を喰われて今は制御室内で、黒瀬さんとのんさんに看病してもらっていること。それから隣のイギリス庭園で三人が別のハンターか他の参加者によって殺されていることを話した。

「そうか……、随分減ってしまったな」
「そうですね。ここにいるのが森本部長に鈴木部長、ルー姉さんにじゅじゅさんとミッチー先輩、それから長谷川さんと僕の七人。制御室内に智子さん、黒瀬さんとのんさんの三人。あと生存してるかどうか不明なのがニ名ですね。全部で十二人しか残ってない計算になります」
「話によれば中居は重症なんだろう? そうなると時間も厳しいな」
「あ、時間に関しては多分大丈夫です」
「そうなのか? だって足を切断されたって……」
「細かく説明するのに時間がかかるのであれですけど、多分時間の問題は解決してます」
「……爽太が何を言っているのかは分からないけど、大丈夫なんだね?」
「はい」
「まぁ、いろいろ考えていてもジリ貧になるだけだ。まずは目の前にいるあのペリカンをどうにか片付けて、あそこで寝てる近重も起こしてやらないとな!」

 ルー姉さんと鈴木部長と僕でペリカンを倒す相談をする。最前線で叫び続けている森本部長の話は、旦那さんとの馴れ初めから新婚旅行の話に差し掛かろうとしている。もう少しだけ時間は残されているようだ。



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COMMENT

●まりモさん

最初に登場したのは第09話です。
以降もちょくちょく登場してたりします。

あとマリモなのは髪型の話で
大げさな黒柳徹子というか
千と千尋の神隠しの湯婆婆(ゆばーば)みたいなものだと
思って頂ければ幸いですw

やっとでてきた!w

と思ったら。

人間じゃないのね?w

まりもまんまなのね?www

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