POSITISM

適度に適当に。

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スラッシュ/ゲーム - /40 -


ハコニワノベル

「だから、喰われたんだよ! そのバケモノが、じきにこっちにも来る。だから逃げるぞ、早くしろ!」
「いやいやいや、ちょっと状況が掴めないんですけど?」
「説明してる時間はない! 森本部長たちはどこに行ったんだ?」
「フランス庭園を拠点にするそうです。僕とミッチー先輩はそれを伝えるためにですね、ここでじゅじゅさんたちを……」
「よし。フランス庭園には行かない」
「なぜですか?」
「あんなバケモノを相手にするのに、参加者が固まってたら一気にやられる可能性があるからだよ」
「その、バケモノ? でしたっけ? さっきから何度か聞いてますけど、なんなんですか?」
「だから、今は説明してる時間がないんだよ。とにかく、見晴らしがよすぎるここじゃまずい。……よし、ギリシャ庭園に身を隠すぞ」

 襟首を掴まれて強制的に走らされ、ギリシャ庭園へ続く門を通り抜けた。
 貝の中から現れた女神の噴水の裏側に回り込んで、身を低くして隠れる。「だから、じゅじゅさん」と話しかけたら「大きな声を出すな」とやたらドスの利いた声で言われてしまい、質問を続けられなかった。

「まだ現れそうにないな。今のうちにお前らの武器を見せてくれ。……棒状の武器が三つ、いや、小谷のは槍か。……これならあるいは、なんとかなるかもしれないな」
「こ、近重さん……、わ、私無理です! あんなのと戦えません」
「智子さん大丈夫ですか? さっきから顔色悪いですよ」
「さっきも言っただろ、福田と秋山はバケモノに喰われたんだよ……、私たちの目の前で」
「あ、秋山先輩が……、私を庇って……」
「チコちゃん、それってもしかして菜子と、朋美ちゃんはもう……」
「……」
「じゅじゅさん、何も情報がないと心構えってやつができないので、手短に質問に答えて下さいよ。バケモノにそのショットガンは効かなかったんですか?」
「……効かなかった。福田の持ってた爆弾もだ」
「銃火器、爆発物が効かないのか……。で、いったいどんな姿なんですか? そのバケモノ」
「頭だけが異常にデカイ、ライオンみたいなやつだ。頭だけデカイくてバランス悪いくせに、突進してくるスピードが早い」
「それ生き物なんですかね? にわかには信じられませんよ」
「口から大量のヨダレを出してたし、一見すれば生き物っぽいな。それなのに、そのバケモノめちゃくちゃ固いんだよ。ショットガンが効かなかったから蹴りつけてやったら、まるで固い石でも蹴ってるのかと思ったぐらいだ」
「じゅじゅさんに蹴られてなんともないなんて、まさにバケモノじゃないですか。そんな奴に、今追い詰められていると……、これは最悪の状況ですね」
「最悪だな」
「あとこれは、聞き辛いんですけど……、朋美さんと秋山さんはどうしてそいつに?」
「日本庭園に辿り着いたら、福田の姿を確認した。そこまではお前と電話してたんだよ。けどな、日本庭園の滝の上にそのバケモノが既にいたんだよ。そいつがこっちに気が付いて振り返ったらな、……原口が喰われてる最中だったんだ」
「そのバケモノ、遺体を喰ってたんですか……」
「口のまわりを血だらけにして貪っててな、想定外の緊急事態だったから福田を連れて逃げようとしたんだよ。そしたら福田が持ってた爆弾をそいつに投げつけたんだ」
「……それが一回目の爆発」
「そこからが最悪で、バケモノが物凄いスピードで突進して……、福田に噛み付きやがった。助けようと思ってこいつを一発ぶっ放してみたけど、傷ひとつ付けられなかったんだよ……くそっ! なんでよりによってハンターがヨリシロなんだよ! ?」
「ヨリシロ? なんですかそれ」
「……なんでも無い、気にするな」
「まぁ、いいですけど。で、その後はどうしたんですか?」
「ショットガンが効かないから何度か蹴りつけてたらな、福田が噛み付かれたままで”逃げて下さい!”とか言い出して、そのまま爆弾を爆発させたんだよ」
「二回目の爆発か……」
「爆発を受けても目立った外傷がなくて……、福田はそのまま喰われちまった。助けてやれなかったよ……。けど、至近距離の爆発だったからバケモノも目をやられたらしくて、こっちの動きが分からなくなった。その隙に逃げようとしたんだ」
「相手がこちらの正確な位置が分からないなら、容易く逃げられそうな気がしますけどね……」
「私が! ……わ、私が……全部私が悪いの!」

 突然、智子さんが叫ぶように声を出した。

「私、足がすくんで逃げられなくなって……、バ、バケモノがっ、わた、私に噛み付こうとして……、でも気がついたら私、地面に倒れてて。それ、それでっ……、バケモノの方を見たら、見たらっ……、あぁっ! !」
「中居、無理に話さなくていいよ」
「そうだよ、チコちゃん。もういいから、大丈夫だから」
「……美知恵先輩」

 そこで智子さんは泣き崩れた。ミッチー先輩が抱きしめながら頭を撫でて「チコちゃんは悪くないよ、怖かったよね。もう大丈夫、大丈夫」と落ち着かせている。

「あとは大体話さなくても分かるだろ?」
「えぇ、なんとなく分かります。……それで、ここに隠れてどうするんですか? そのバケモノがここに入ってきたら戦うしかないですよ? ここの庭園は門を通らないと出入ができないですし」
「通り過ぎてくれたら一番いい。あんなのとまともに戦っても勝機なんてないしな。だからなるべく静かに身を隠すんだ。……もしも、バケモノがここに入ってきたら、絶対にここで仕留めてやるつもりだけどな」
「銃火器や爆弾の効かない相手なんですよね? 勝機あります?」
「口の中だ」
「口の中?」
「外側は石みたいに固かったけど、口の内側は動物と同じように柔らかそうだった。だから、なんとかして口の中に攻撃出来れば仕留められると思う」
「口を開けさせる妙案、あるんですか?」
「ない。あるとすれば……、誰かが囮になるってやつだな」

 そこで全員口を閉じた。
 誰かが囮になって、バケモノの口を開いた状態にさせ、その開いている口の中に致命傷を与えられるほどの攻撃を仕掛ける。そう考えると、それができそうな武器はミッチー先輩の槍しかない。しかし、槍をバケモノの口の中に突き刺そうと思えば、囮役が槍を突き刺すまでの間、バケモノの口を開かせ続けないといけない。バケモノがこちらの思惑通りに動いてはくれないだろうし、これはかなりリスクが高い戦いを挑まないといけないらしい。そんなリスクを背負うぐらいなら、バケモノが通り過ぎてくれた方がいいだろう。

「フフフ。おやおや、こんなところに隠れてたんだね」

 顔を上げると、門から山田社長が入ってきていた。最悪のタイミングだ。しかもAK-47をこちらに向けて構えている。じゅじゅさんが電話で言っていたように、水に浸けるだけでは使用不可能にはならなかったらしい。それも合わせて最悪だ。ここで発砲されれば、こちらも無事では済まないだろうし、下手をすれば例のバケモノがやって来るかもしれない。

「社長じゃないですか、ご無事で何よりです」

 じゅじゅさんが噴水の物陰から門の方へと出て行く。僕たちに後ろ手で出てくるなと合図を送りつつ、社長の方へと歩み寄っていく。

「そんな物騒なものをこっちに向けないで下さいよ。怖いじゃないですか」
「ふん、近重か。お前がもっと良いアイディアを出して業績を上げてたなら、こんなことにならなかったんだ! お前も同罪だ!」
「それは厳しいですよ、社長。私の努力が足りなかったのは認めますから、ね? その銃を下げてもらえますか?」
「私はね、冗談で銃を構えているわけじゃないのだよ。……君は、私がこの銃を撃たないとでも思っているのかね?。これは脅しではない!」

 山田社長がAK-47を空に向かって発砲した。ドーンという重たい銃声が鳴り響いた。空模様と相まって、鳴り初めの雷鳴のようにも聞こえる。

「脅しではないということが、分かってくれたかね?」
「……ぅ」

 じゅじゅさんが後退りをしている。「フフフ、怖いかね? 命乞いでもしてみるかね?」と山田社長が徐々に詰め寄って来ている。ズルズルとじゅじゅさんは後退していく。じゅじゅさんは怯えた目で山田社長の方を見ている。詰め寄られた分だけ、後ろに下がる。しばらくそれが繰り返されると、じゅじゅさんは止まった。まるで息を殺しているようにも見える。

「やっと観念したのかね。さぁて、お望みどおり殺してあげよ……っ……」

 再度AK-47を構え直そうとした山田社長の左半身が突然消えた。いや、消えたのではなく目の前で喰われた。庭園を繋ぐ門と同じぐらいの大きさの獣が、いつの間にか山田社長のすぐ後ろにいた。かじり取った山田社長の左半身を荒々しく咀嚼している。山田社長の残った右半身がAK-47と共に地面へ倒れ込んだ。



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COMMENT

●じゅじゅさん

アクション部分が上手く書けるといいんですけど
なにぶん、がっつりなのは初めてなので
試行錯誤しながらがんばりまーす。

「神」との闘い・・・楽しみです ^ ^

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