POSITISM

適度に適当に。

09« 2017.10 »11
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -

スポンサーサイト


スポンサー広告

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

スラッシュ/ゲーム - /38 -


ハコニワノベル

「ちょっと待って。もっかい言ってもらっていい? 今何って?」
「真樹さんは、殺されてました」
「……」

 僕が二度そう言うと、中央広場にいる人たちが押し黙ってしまった。

「嘘だよね?」
「嘘じゃないです」
「なんで?」
「……」
「どうして?」
「……」
「……朋美ちゃん、少し落ち着いて」
「ミッチー先輩はちょっとだまってて下さい」
「どこで? ねぇ、どこで見たの?」
「日本庭園にある滝の上ですよ」
「信じられない。……私、確認してくる」
「いや、今は動いたら危険だと思いますよ?」
「おい爽太、それどういう意味だ? まだハンターってのは投入されてないだろ?」

 後ろからじゅじゅさんが近付きながら声を出した。じゅじゅさんもいつも通り元気そうでなによりだ。いつも通りじゃないのは、ショットガンを肩に下げているぐらいのことだろう。あまりにもナチュラルだったから、もう少しでショットガンすらもいつも通りだと錯覚しかけたほどだ。

「山田社長が参加者の命を狙ってるんですよね、それも執拗に。そのお陰で僕も随分攻撃されましたし」
「あの気弱な社長がか?」
「そういう人ほど、内面は捻れているのかもしれないですね。実際、山田社長はそうですし」
「じゃぁ、真樹を殺したのは社長なのね……許せない」
「あ、そこは違います」
「?」
「山田社長の持っていた武器じゃ、どうやってもあんなふうにはなりません」
「……とにかく私、確認してくる!」

 朋美さんが日本庭園の方へ走り出した。

「まて福田! 軽率な行動は慎め……って、そりゃまぁ行くよなぁ……。爽太、お前もうちょっと考えて話せよ。軽率過ぎるだろ、相変わらずの馬鹿っぷりだな。……ま、こうなったら仕方ない。中居、それから秋山、私と一緒に福田を追いかけるぞ」
「あ、はい!」
「了解」
「森本部長、すいませんが少し離れますんで、ここよろしくお願いします」
「分かりました。危険だと判断したらすぐに戻るようにね」
「了解です。よし、行くぞ」

 朋美さんの後を追いかけるように、じゅじゅさんと秋山さんと智子さんが日本庭園の方へ向かった。
 軽率? 確かに軽率な発言かもしれない。けれど、後で知ったら諦めが付くほど人の命は軽くない。仮にこのゲームを勝ち抜いた後で、今の時点で真樹さんが殺されているということを知っていたと分かったら、必ず朋美さんはどうしてあの時言ってくれなかったのかを僕に言うだろう。
 今までのゲームで殺された人の遺体は本部社員がどこかしらに運んでいる。その遺体が正しく遺族の元に戻る保証があるだろうか。少なくとも死因が死因だけに闇に葬られる可能性の方が高い。仮に闇に葬られるとしたら、今が遺体と対面出来る最後のチャンスだろう。やるべきこと、やっておきたいことはそう思ったときに行うべきだ。このゲームに参加している以上、いつ殺されてしまうか分からないのだから。

「爽太、あのね、真樹ちゃんは本当に……」
「脈を確認しましたけど、残念ながら」
「そっか……」
「爽太さん、原口さんは山田社長に殺されてはいないとおっしゃいましたよね? もう少し詳しく話して頂けますか?」
「山田社長の武器はAK-47っていう銃と、西洋的な装飾の剣なんです。多分、剣の方は別の参加者の武器を奪ったものだと思いますが。一応、AK-47の方は噴水の水の中に放り込んで来たので、今は銃を乱射される危険は少ないと思います」
「じゃぁ誰が真樹ちゃんを……」
「そうですね、犯人は分かってないですが……」

 ぞろぞろと集まってきた参加者の武器を一通り確認する。

「ここにいる人たちでもないですね」
「爽太、どういうこと?」
「皆さんの持っている武器じゃ、絶対にできない殺され方だった。……としか言えないです。もちろん山田社長の持っている武器でも無理ですね。ただ、少なくとも二人は山田社長に殺されてます。実際に目の前で一人殺されたのを見ましたし、もう一人の遺体も日本庭園で発見しました」
「……小谷さん、すぐに近重さんに携帯で連絡を取って今の爽太さんの話、特に山田社長の武器の情報を伝えてくださる?」
「わ、分かりました」

 ――ガー、ガー、ピー。
 噴水公園内に設置された園内放送用のスピーカーからノイズとハウリングが鳴った。それぞれが一番近いスピーカーの方を向いた。

「参加者の皆さんお疲れ様です。五分後にハンターが会場に入ります。繰り返します、五分後にハンターが会場に入ります。存分にお楽しみ下さい」

 紙咲さんの声だった。たったそれだけを伝えると、園内放送は無造作にブツリと切れた。

「はい、そうです。名前はど忘れしてしまったんですが銃と剣を持ってるらしいです。え? 銃の名前ですか、それはえっと、うーん。あ、はい、そうします」

 携帯電話で会話をしていたミッチー先輩が手招きするので近付くと、持っていた携帯電話を渡されたので出てみる。

「もしもし」
「爽太か?」
「私だ」
「今はメンドくせぇのは辞めろ。で、社長の銃の名前は?」
「AK-47ですよ、AK-47」
「そうか、AK-47ね……。で、それを水の中に放り込んだんだよな?」
「そうです。だからしばらくは発砲できないと思いますよ」
「無理だ」
「どういうことですか?」
「AK-47は水洗い出来るんだぞ? 少なくともマガジンが刺さったままなら、防水もされてるだろうしな」
「驚くほど詳しいですね、じゅじゅさん」
「ん? まぁ、ちょっとな。しかし、厄介な状態だなこれは」
「そうですね、五分後にはハンターが投入されるらしいですよ」
「さっきの放送ぐらい聞いてたって」
「ちなみに現在位置はどこですか?」
「今か、イタリア庭園を過ぎて日本庭園の門へ向かってる」
「了解です。僕が言うのもなんですけど、気をつけてくださいね」
「後で福田と私に土下座で許してやるよ」
「なんで朋美さんだけじゃなくて、じゅじゅさんにも土下座なんですか?」
「ただの趣味だ」
「それはそれは、良い趣味をお持ちで」
「ま、こっちの方はルティの専売特許だけどな」

 会話をしたままルー姉さんを探すと、その手にインディー・ジョーンズも真っ青になるほどに持っているのが自然な、真っ赤なムチが握られている。

「専売特許なのを確認しました」
「ルティが本気出したら怖いからな、気をつけろよ」
「そうします」
「お前とくだらない話しをしてる間に日本庭園に到着したぞ」
「くだらない話しをしてきたのはじゅじゅさんですけどね」
「……な」
「もしもーし、どうしたんですか?」
「……なんだよ、あれ」
「何ですか? ちょっと聞こえなかったんですけど」
「悪い、緊急事態だ」

 そこで突然電話が切られた。

「近重さん、なんだって?」
「いや、よく分からないんですけど、緊急事態らしいです」
「もしかして山田社長に遭遇したんじゃ……」

 ミッチー先輩の携帯電話に映し出された通話時間は八分三十二秒。さっきの園内放送からそろそろ五分というところだ。日本庭園は正門から一番近い位置にある。あのじゅじゅさんが緊急事態と言った。やれやれ、これは厄介なことに――。



 ――ドンッ!



 突如、爆発音が鳴り響き、日本庭園の方から黒煙が上がった。



≪/37へ
/39へ≫

COMMENT


FC2Ad

  [D]esigned by 218*
Copyright c POSITISM All Rights Reserved.

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。