POSITISM

適度に適当に。

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スラッシュ/ゲーム - /32 -


ハコニワノベル

 ここ最近、噴水公園にはよく来ていたので、その時の癖というか習慣なのか、何も考えずにクリスマスイベントの設営場所である中央広場の大噴水前まで移動しいた。正門からの移動中に他の参加者の姿をあまり見なかったことを考えると、どうやら武器の入っているとかいう宝箱とやらは、正門以外の五つの門から先にある小さな公園のどこかに隠されているらしい。
 五つの門の先にはそれぞれテーマが決められていて、ギリシャ、イタリア、フランス、イギリス、日本というテーマがある。正門から見て中央広場の裏側にギリシャ庭園、左側奥からイタリア庭園、日本庭園、右側奥からフランス庭園、イギリス庭園がある。
 とりあえず中央広場から一番近いギリシャ庭園へ向かうことにして、中央広場の奥にあるギリシャ庭園への門を通り抜けた。
 ギリシャ庭園には貝の中から現れた女神の噴水が中央にあり、その周りには花壇とベンチ、更にその周りは芝生と低木で囲まれている。その更に外側には背の高い木々が並んでいて、中央広場の方向以外には視界が遮られている。
 噴水の方へ歩いていると、大きめのシャベルのようなものを持っている妖精さん、いや、長谷川さんを見つけた。

「長谷川さんじゃないですか」
「え、えっ、わ、わっー」
「落ち着いて下さい。僕ですよ、僕」
「あ、なんだぁ、爽太君だったんだ。もうハンターがやってきたのかと思っちゃったぁ」
「まだ僕たちが入ってから十分と経ってませんよ」
「そ、そうなんだぁ……、こ、怖いよねぇ、ハンター」
「そうですかねぇ、僕には他の参加者の方が……って、長谷川さんの持ってるそれって、もしかして長谷川さんの武器ですか?」
「え? う、うん。そうみたい」
「そうみたいって、長谷川さんのIDカードで開いた箱の中に入ってたんですよね?」
「そうなんだけど……、私、こんな武器なんて入力してない」
「ちなみに、何って記入したんですか?」
「えっとね、”ハンドパワー”って書いたんだ」
「ハンドパワー……ですか。まぁ、よく見ればそれって大きなシャベルじゃなくてマジックハンドですよね。あながち間違ってはいないような気もしますよ」
「でもでも、こんなので戦えるわけないじゃない。大きいだけのマジックハンドじゃ……」
「箱の中ってこれしか入ってなかったんですか?」
「他には何も入ってなかったよ。もっとちゃんと武器らしいものを記入しておくんだったなぁ、これただのマジックハンドだよねぇ」
 そう言いながら長谷川さんが巨大マジックハンドを二回ニギニギと動かした。それにしてもマジックハンドにしては巨大過ぎる。これなら殴りかかるだけでも十分な破壊力になりそうだ。「よいしょ」とか言いながら長谷川さんが巨大マジックハンドでベンチを掴む。やれやれ、遊び道具にしかならな――、長谷川さんが巨大マジックハンドで掴んだベンチが浮いている。

「長谷川さん、そのままそれ持ち上げてみてもらってもいいですか?」
「え? そんなの持ち上がるわけない……あれ?」

 高々と真上に伸びた腕の先に巨大マジックハンド。さらにその先に到底一人では運ぶことが出来ないベンチが持ち上げられている。「え、なにこれ? 全然重たくないよ?」とかうろたえている長谷川さんに「こっちには落とさないで下さいね」とか言いながら落ち着かせようと試みたのに、パニック状態になった長谷川さんは何を思ったのか、そのままベンチを放り投げた。投げられたベンチは放物線を描きながら、十数メートル離れた低木に突き刺さっている。

「つまりハンドパワーですね」
「そ、そうみたいだね、あははははは」
「一応注意しときますけど、それで僕を掴まないで下さいね」
「う、うん。気を付けるね」
「さてと、僕も自分の武器を探さないといけないので、行きますね」
「あ、爽太君」
「なんでしょう?」
「森本部長が、それぞれ武器を見つけたら中央広場に集合って言ってたよ。なんか、みんなで協力して明日の夜明けを迎えるんだって」
「中央広場ですね、分かりました」

 長谷川さんは巨大マジックハンドを抱えながら中央広場の方へ行ってしまった。とりあえず、ギリシャ庭園の中で宝箱らしきものを探してみたけれど、既に開かれた宝箱が四つほど見つかっただけで、未開封の宝箱は見当たらなかった。長谷川さん以外の参加者をギリシャ庭園内で見かけていないので、ここは既に探され尽くした場所なのかもしれない。
 一旦中央広場に戻ろうと、門の方へ歩いているとダーンという重く大きな音が聞こえた。映画やドラマで鳴るような軽い音とは質が違うけれど、間違いなく銃声だろう。きっと、銃火器を武器として入力していた参加者が試し撃ちをしたに違いない。
 そう思った矢先に再度銃声。直後、参加者のものと思われる女性の悲鳴が聞こえた。

「やっぱりこうなるよな」

 無駄に独り言をつぶやいてから、中央広場に向かう。
 中央広場の大噴水近くで身を屈めている数名の姿を確認した。そのうち一人は長谷川さんだ。そうこうしているうちに三度目の銃声。今度は悲鳴は聞こえなかった。銃声はかなり遠くで撃たれたもののようだ。参加者が別の参加者を狙い出しているのは明確なので、僕はとにかく武器を探すことにしてフランス庭園に続く門へ移動した。
 フランス庭園にはロココ調の豪華絢爛な噴水が設置され、花壇には色とりどりのバラが植えられている。今の季節でも花をつけているものも少しはあるが、基本的には花を付けていない茨だけが生い茂っている。ここでも宝箱を探してみると、開封済みの宝箱五つと、未開封の宝箱二つを発見した。ただし、僕のIDカードで開く宝箱ではなかった。あと気になったのは、未開封の宝箱があからさまに隠されていたことだ。きっと既に自分の武器を手に入れた参加者が、別の参加者に武器を与えないために隠しているのだろう。他の場所でも同じように隠されているとすれば、ハンター呼ばれる何かが投入される前に武器を手に入れることが難しくなってしまっている。
 ここでも他の参加者を見かけないということは、ここも探し尽くされた場所ということになる。参加者を狙い出した参加者がいる現状で、安易に移動するのは危険を伴う。ましてや、未開封の宝箱がある場所に待ち伏せされたりすれば一溜りもないだろう。かといって、このまま武器を手にしなければハンターからも無抵抗な状態で狙われてしまう。なんだか面倒なことになってしまった。

「隣はイギリス庭園か……、確か噴水が大きくてプールのようになってる場所だな」

 門の方ではなく、奥にある茨の植え込みを抜けた。何度かお気に入りの作業服に刺が引っかかったけれど気にせず奥へ向かう。芝生を超え、低木は隙間に身体をねじ込んで抜け出た。背の高い木の間を用心深く抜け、裏側からイギリス庭園に入る。
 そこで何名かの参加者を発見した。どうやらこちらには気付いていないらしい。通常入ってくる門の方を伺いながら、プールのように水が溜め込まれている噴水に身を隠している。僕はさらにその後ろ側にいる状態だ。見えているのは男が三名。しかし、もしかするとまだ他に隠れているかもしれない。ここは迂闊に動かない方がいいだろう。
 花壇に身を隠していると、未開封の宝箱を一つ発見した。これもどうやら隠されているようだ。とりあえずIDカードをかざしてみたものの、残念ながら開くことは無かった。

「おい、来たぞ」
「逃がすなよ、少しでも可能性を高めないとな」
「まぁ、女だしなんとかなるだろ」

 噴水の方から声が聞こえたので隠れながら見てみると、三人が隠れながら伺っている門から、秋山さんと智子さんが二人で入ってくる姿が見えた。どうやら彼らは待ち伏せしているらしい。三人の手にはそれぞれ、刀のような刃物を持っているのが二人、もう一人が手にしているのは多分スタンガンだ。やれやれ、待ち伏せなどという非紳士的行為を見逃すことが、紳士中の紳士である僕に出来るはずなんてない。なにか武器になりそうなものを探したけれど、どうやらこれぐらいしかなさそうだ。
 僕はそれを手に取って待ち伏せしている男たちの方へ気付かれないように移動した。



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COMMENT

●じゅじゅさん

いよいよというか、やっとこさ、という感じですかね。
入力して頂いた武器によって、今後の活躍が変わってくる感じですよ。

いよいよですねぇ(`∇´ )
三好の命(タマ)取ったるψ(`∇´)ψ ウキョキョキョキョ

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