POSITISM

適度に適当に。

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スラッシュ/ゲーム - /29 -


ハコニワノベル

「運力のゲーム参加者数が六十四名、そのうち自分で勝ち抜けた人数十八名。他人にカードを選択して勝ち抜けた人数が二十三名。合計で四十一名、生存率64%……あり得ない。半数以上が勝ち抜けているなんてあり得ない事態です。しかし、不正はなかったので紛れもない事実ですか……、せっかく知力を勝ち抜けた人数をエレベーターで減らしたと言うのに。……まぁ、いいでしょう。さて、他人にカードを選択して勝ち抜けた二十三名の方は次のゲームに進むか、ここで自主リタイアするかを選択して下さい」

 プロジェクター内の紙咲さんは見るからにイライラしながら話している。どうやら、勝ち抜いた人数に不服があるみたいだ。それに口を滑らせていたけれど、あのエレベーターのワイヤーに細工をしたのはどうやらこの人のようだ。そう言えば最初のゲームの後でも生存率がどうのと気にしていたんだっけ。この辺りにこのスラッシュ/ゲーム開催の謎が隠されているのかもしれない。

「はいはーい、アタシはリタイアするで」

 志津バアが宣言した。その瞬間首を切られやしないかと思ったけれど、紙咲さんは「かしこまりました」と言うだけで、そのあとでやってきた本部社員に連れ添われながら志津バアは応接室を出て行った。その本部社員が来る前に「きばりや、タノシソウ」とだけ言われてお尻を強く叩かれた。もう少しでお尻が四つに増えるところだったと思う。
 その後、僕にカードを選択してもらった人たちもバラバラとリタイアを宣言していき、最終的に次のゲームに進んだのは二十五人ほどだった。驚いたのはその二十五人中、十三人が顔見知りだということ。ミッチー先輩、長谷川さん、三好と高畑の二人もいる。智子さん、真樹さん、朋美さんの三人組どうやら次へ進むようだし、秋山さん、それからじゅじゅさんと、ルー姉さんも勝ち抜けらしい。黒柳徹子――じゃなかった、森本部長もいるじゃないか。あとは、黒瀬さんとのんさんだ。それぞれがそれぞれに無事だったのは良かったと言えるだろう。その他の参加者で顔見知りはいないけれど山田社長と、企画部の鈴木部長が残っている。

「運力のゲームを勝ち抜いた皆さんには、これから最後のゲームに参加して頂きます。知力、運力と続いたので察しはついていると思いますが、次のゲームは体力のゲームです。最後は体力を思う存分に使っていただきます」
「それで、その体力のゲームはどこでやるんだ?」

 口を開いたのはじゅじゅさんだった。

「……チッ。最後のゲームの会場はこのKGC社ビルではございません。今から皆さんには体力のゲーム会場となる上坂噴水公園に移動して頂きます。出発は十五分後を予定しておりますので、それまでに階段で一階のエントランスにお集まり下さい。出発時間に遅れますと、首が飛びますので十分にお気をつけ下さいませ」

 なぜか突然不機嫌になってそこまで言ったかと思うと、すぐにプロジェクターが消され照明が元の明るさに戻った。それにしても相変わらず暗い。外はどうやら分厚い雲で覆われているらしい。どうやら雨は降っていないみたいだけれど、降りだすのは時間の問題だろう。
 それにしても噴水公園に移動するのか。クリスマスイベントの設営でここ最近行くことが多い。噴水公園でゲームが開催されるとしたら、クリスマスイベントはどうなるのだろう。この僕が立案した素敵な素敵な企画で、設営準備も真面目にこなしたあのイベントは。KGCが潰れるとしたら、全て無に帰するのだろうか。やれやれ、残業代ぐらいはきちんともらいたいところだな。

「ちょっと爽太!」
「っ! あの、いきなり耳を引っ張るの辞めませんか……いや、辞めて下さいミッチー先輩」
「あんたさっき何したの! ?」
「なんの話ですか?」
「ほら、さっきみんなのカードを選んだじゃない。しかもそれが全部運力のカード! あんた何したの?」
「別に何もしてないですよ」
「何もしてなくて全部運力のカードを選んだって言うの?」
「いや、厳密に言えばそうじゃないんですけどね」
「どういうこと?」
「あっ、あの、だから耳をですね、その……、いや、ほんとにそろそろ千切れます……よ」
「怪しいなぁ」

 と、しぶしぶ耳は開放されて、なんとか千切られることはなかった。やれやれ、この傷害常習犯め。スラッシュ/ゲームが終わったら訴えてあげるから、覚悟しておいてもらおう。
 それに、さっきのカード選択については怪しむ必要性なんてどこにもない。僕にはどこに運力のカードがあるのかが分かっていただけだ。単純にそれだけ。だからさっきのカード選択については知ってさえいれば、誰にでもできた芸当なのだから、怪しんだり驚いたりするようなことじゃない。まぁ、一度間違えかけたのだけれども。

「爽太君、さっきはありがとう」
「真樹さん、お礼はいいですって」
「それにしても、君って奴は凄いんだなー」
「今頃気が付きました? 僕は凄い奴なんですよ。なんせ百年に一度の逸材ですからね」
「あんたそれ、自称でしょ」
「小谷先輩も無事だったんですね」
「あ、チコちゃんも勝ち抜けられたんだ。良かった! 良かった! 顔色悪いけど大丈夫?」
「みんな顔色悪いですよ……。私も体力のカードを選べばリタイアできたのに……。なんで朋美はリタイアしなかったの?」
「んー? そりゃ、ここまで来たら願いを叶えたくなっちゃったからかなー」
「相変わらず朋美はマイペースだね」
「よっし! みんな勝ち抜けたんだから、次のゲームは協力できるならしようね!」
『分かりました小谷先輩』
「じゃ、みんなで一階へ行こーっ!」

「……ですから、僕が百年に一度の人材であると言うことは自称ではなく、事実。紛れもない事実なんですよね。持って生まれた才能とでも言いますか……って誰もいないしね」
「美知恵の彼氏君は独り言が好きなのか?」
「あ、秋山さん。別に独り言は好きじゃないですよ。独り会議とかは好きですけど」
「それは何をもって区別するんだ?」
「強いて言えばハート、ですかね」
「ハートねぇ……」
「信じていない目ですね」
「うーん。ところで、君はこの次のゲームをどう見る」
「華麗に無視ですか」
「ま、いいじゃない。で、参考までにどう見てる? 次のゲーム」
「体力のゲームってやつですか?」
「そうそれ」
「うーん、なんとも思ってないですね。と言うか思っても仕方がないですし」
「それはどういう意味で?」
「始まってもいない得体の知れないゲームに入れ込むほど、僕は落ち着きを失っていないだけですよ」
「ハハハ。君はやっぱり抜け目のない奴だな」
「いやいや、それほどでもありますよ」
「なんと言えばいいのか分からないけど、私には次のゲームは嫌な予感しかしていないんだよね」
「参考までにですけど、その嫌な予感ってどんなのですか?」
「ま、始まってもいない得体の知れないゲームのことだから気にしないでいいんじゃないかな」
「それは確かにそうですね」
「あぁ、そうだ。そう言えば君にお礼を言おうと思ってたんだよね」
「お礼ですか?」
「あのさ、最初のゲームで中居を励ましてくれただろ?」
「えーと、そんなことありましたっけ?」
「覚えてないのか……。まぁ、とにかくだ。君が励ましてくれたお陰で、中居が随分と救われたんだ。本人はあまり気が付いていないみたいだから私が代わりにお礼を言っておくよ。ありがとね」
「なんのことなのか、正直思い出せてませんけど……多分、紳士中の紳士的言動のなせることなので、僕にしてみれば当然のことですね。だからお気になさらずに」
「君は紳士中の紳士にはまったく見えないけどね、ハハハ。それじゃ、私は先に行くよ」

 最後に失礼なことを言いつつ手をあげながら、秋山さんは階段を降りていった。
 そう言えば集合時間は十五分後だ。そんなに時間があるわけじゃないので、僕も階段を降りることにした。



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