POSITISM

適度に適当に。

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スラッシュ/ゲーム - /16 -


ハコニワノベル

 他の参加者たちも各々にIDを見せてカードを受け取っていく。それらが落ち着き「カードを受け取っていない方はいませんか」という確認が終ると、プロジェクターに映し出された美人さんが口を開いた。

「それではルールの説明を致します。今、皆さんにお配りしたカードは参加表明時に書き込んだ星の数と同じになっています。知力、体力、運力の三種類が存在しています。三種類の力関係は【知力は体力に勝つ】【体力は運力に勝つ】【運力は知力に勝つ】というもので、ジャンケンと同じ力関係になっています」

 その後も淡々としたルール説明が行われていく。

 一、カードは三種類あり力関係はジャンケンと同じ。
 二、知力は体力に、体力は運力に、運力は知力に勝つ。同じカードは引き分けでカードの受け渡しはなし。
 三、このカードを使って一対一のジャンケンを行う。
 四、勝った場合、その時の相手のカードを受け取る。負け側は一枚カードを失う。
 五、知力、体力、運力のセットを本部社員に渡すことが出来、その時点で手持ちのカードが無くなれば勝ち抜け。
 六、ゲームで負けて手持ちのカード全てを失うとリタイア。

 要するにカードでジャンケンをして勝てば相手のカードを貰い、負ければ相手にカードを渡す。手持ちのカードを増減させながら知力、体力、運力のセットを作って本部社員に渡す。本部社員にカードを渡した時点で手持ちカードが無くなれば勝ち抜けで、手持ちカードを全て奪われるとリタイアになるらしい。

「先程説明させて頂いた通り、そのカードは皆さんが参加表明時に書き込んだ星の数と同じため、種類ごとの総枚数にバラ付きがあります。三種類のセットが本部社員に渡された時点でそのカードは使用出来なくなるため、時間がかかればかかるほどセットを作ることが難しくなりますのでご注意下さい。また、セットが出来た時点で本部社員に渡す必要はありません。皆さんのタイミングで本部社員に渡して下さい」

 周りが少しずつざわつき始めていく。それぞれが受け取ったカードの確認をしたり、他の参加者にカードを見せないようにしている。

「勝負は設置されているテーブル上でのみ有効とし、その各テーブルに配備された本部社員の監視の元で行って下さい。対戦者同士での打ち合わせ等があった場合、その時点でリタイア扱いとなります。また、十五時までに勝ち抜けられない場合も同様にリタイアとなりますのでご注意下さい」

 更にざわつきが大きくなっていく。時計を確認する人、必死にカードとにらめっこしている人、知り合いと何やら話しあっている人。やれやれ、まだ開始されてもいないゲームにそこまで入れ込むとは、なんて落ち着きのない人たちだろうか。僕を見習って頂きたいものだ。堂々とした立ち振る舞い、流石は紳士中の紳士だろう。まぁ、僕が受け取ったカードでは戦略を立てようにも立てられないという事情が、少なからず関係しているとは思うけれど。
 先程カードを配っていた本部の社員たちが卓球台のようなテーブル横に移動を終えると、騒がしかったフロア内が静まった。

「それでは、皆さんの首を賭けたスラッシュ/ゲームを、開始して下さい」

 同時にプロジェクターが消され、一瞬の静寂の後でフロア内は再び騒がしくなった。チラホラと勝負を始める人も出始めている。制限時間は約五時間、それまでに勝ち抜けられなければリタイア、つまりリストラされるということだ。だからなのか、異様な雰囲気がフロア内に渦巻いている。「よっしゃ!」とか「くっそ」などという声が聞こえ始めると、その異様な雰囲気は益々フロア内に広まっていく。

「爽太じゃないか。どうだ、一つ勝負してみるか」
「おや、田中課長も参加されていたんですか」
「課長……ね。今日はルー姉さんでいいぞ」
「いまいちルールを掴かみきれていないので、最初が顔見知りと言うのはいいですね。それじゃぁ、そこの開いてるテーブルでやりましょうか」
「私もルールは飲み込めてないから丁度いいな。覚悟しろよ、真剣勝負だ」
「僕は常に真剣勝負しかしませんからね、ルー姉さんこそ覚悟して下さいよ」

 テーブルを挟んでお互いに向かい合う。本部の社員が「どうぞ始めて下さい」と言い、僕の初戦が始まった。と言ってもカードの種類は運力しかないので、あれこれ考えたり、相手を伺ったりすることなく、とても蛋白にカードの選定が終わった。本部社員に言われるがまま、お互いにカードを伏せてテーブルに出す。

「お互いにカードを表向きにして下さい」

 しばらく田中課長と見つめ合っているところに、本部社員が促してきたので意味もなく「せーの」と声をかけてカードをオープンした。田中課長のカードは体力。僕のカードは運力。華々しい初戦は残念ながら敗戦。悪怯れることなく「悪いな」と言いながら田中課長が僕のカードを奪って行った。

「なるほど、なるほど。こうしてカードを増やして三種類のセットを作ればいいわけか」
「そういうことみたいですね」
「どうだ、ついでに二戦目もやってみないか」
「受けてたちましょう」

 現時点で田中課長には、さっき出してきたカードである体力と、さらに僕から奪った運力のカード。この二枚は確実に持っている。更に合計で六枚所持している状態でもう一戦やろうと言ってきたと言うことは、手持ちカード内で三種類のセットを二組作れないということだろう。ふふふ、手の内が透けて見えてますよ田中課長。と、心の中で勝ち誇ったことをつぶやきつつ思考してみたものの、僕が出せるカードはさっきと変わらず一種類なのであまり意味は無かった。
 お互いにカードを伏せてテーブルに出す。

「せーの」
「おっ、これは幸先の良い二連勝。悪いな爽太、また一枚貰うぞ」
「……ルー姉さん、もう一戦やりましょう」

 少なくとも田中課長が所持しているカードは体力一枚と、運力が二枚だ。流石に三回同じカードを出してくるとは思わないだろうから、田中課長もここで手を変えてくるに違いない。一種類しかカードを持っていない僕が勝つにはこういう戦略がいきてくる。だからこそ田中課長を三戦目に誘ったというものだ。きっと田中課長はそれを察していろいろ思考する。そして僕の裏をかこうとして手を変える。ふふふ、それこそこちらの思う壺とも知らずに。
 三度出されたカードがオープンされる。僕のカードはもちろん運力。それに対して田中課長のカードは体力だった。

「これで三連勝だな。爽太、お前弱いなぁ」
「いやー、ルー姉さんが強いだけじゃないですかね」
「流石にもう辞めておこう。もし私が四連勝なんてことになったら困るだろ」
「……」
「ルールも分かったし、三枚も奪っておいてなんだが、爽太も頑張れよ」
「……もう一戦やりましょう」
「本気か? 辞めとけ辞めとけ。こういうのは流れがあるんだよ。今の流れのまま行くのは良くないぞ?」
「そういう流れだからこそですよ」
「……どうなっても知らないからな」

 四度はあり得ない。普通に考えれば、お互いにランダムで五枚持っている中で四回連続で対戦して四敗する可能性は限りなく低い。三度目の正直は過ぎ去っていったけれど、四度目にだって正直はやってくるはずだ。カードを出し四度目の「せーの」を少し叫ぶように言った。僕のカードは運力、田中課長のカードは――四度目の体力だった。

「な? そういう流れなんだよ。身を引くタイミングを読み間違わないようにするんだぞ若人」
「肝に銘じておきます」
「それにしても素直に喜べないな。部下から四枚も奪ってしまうことになるとは」
「合計九枚じゃないですか、セット作れないんですか?」
「これがワンセットも作れないんだわ」
「なるほど。つまりそれって……」
「人間、身体が資本だからな。はっはっは」

 なるほど。つまり田中課長が最初に持っていたカードは恐らく五枚とも体力だ。つまりどんなに考えても僕に勝ちが訪れることは無かったと言うことだ。

「僕から奪った運力のカードを出す選択肢は無かったんですか?」
「ん? あぁ、同じカードを出し続けてやればお前も勝てるかなと思ったんだよ。それと、体力を持ってて運力を手に入れたら次に欲しいのは知力だろ? だから私が次に出すのは運力で知力を欲しがるとお前が読むと思ってさ、そこでお前に体力を出されたらせっかく貰った運力を返さなきゃいけなくなるからな。最悪でも引き分けになるだろうと思っての体力だよ」
「凄まじい洞察力ですね」
「いや、これぐらいは普通じゃないか? それにしても四枚奪っておいて言えた台詞じゃないが、大丈夫か?」
「……全然大丈夫ですよ。僕ぐらいになるとこのぐらいからじゃないと燃えてこないんで」
「ま、頑張れ。それじゃぁ私は私で、セット作りに行ってくる。四枚もありがとな」

 田中課長は嬉しそうに立ち去っていった。まだまだゲーム開始から二十分。しかし、僕が所持しているカードの枚数は一枚になった。あっという間に崖っぷちに立たすとは、上司らしく手厳しい指導だ。やれやれ、慌てて次の対戦をするよりも、確実に勝てる相手を探す方が良さそうだ。



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COMMENT

●サイコさん

いやいやー、こう言うのは誰にでも解りやすく書けないといけないんですよ。
それが出来ていないので、まだまだ精進しないといけないですなぁ。

いあいあ、読解力不足です。。。

●サイコさん

分かりづらいですよねぇ。
ここはもう少し書き方うまくしないとなぁと個人的にも思うのですが
書き直せたら書きなおします……。


●☆まりモさん

私もカイジっぽくて嫌だなぁと思いながらこのルールを書いたので
その感想で間違ってないですw

楽しんでもらえる展開になるよう努力します。

うふふ♪
なんか、去年見た映画「カイジ」を思いだしました♪

でも、また違った設定なので、この先がとっても楽しみです!

むじゅかちぃ・・・

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