POSITISM

適度に適当に。

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スラッシュ/ゲーム - /11 -


ハコニワノベル

 週明けの月曜日、残業をするまでもなくライトアップの設営準備が終わった。それもこれも朝から噴水公園で設営作業を続けたからだ。その日の夜は簡単な打ち上げが開催されることになった。三好と高畑は一日しか残業していないというのに、平然とその打上に参加しているのが気に食わなかったけれど、ミッチー先輩が全員に声をかけて集まってしまったのだから仕方がない。
 年末の忘年会シーズンということもあって店の予約が中々取れなかったものの、ダメ元で電話した商店街の中華料理屋で予約が取れたので良しとしよう。お酒を飲まない僕としては、晩御飯らしいものが食べられそうなので嬉しい。あと、個人的にクリスマスチキンなる唐揚げを食べてみたかったので楽しみだ。
 打ち上げの参加メンバーは森本部長、じゅじゅさんに田中課長。あ、今はルー姉さん。それから三課のメンバー全員だ。

「ひとまず、忙しい中の設営お疲れ様。今日は森本部長の奢りだから、私も気兼ねなく飲み食いするぞ。じゃ、乾杯!」
「どんな乾杯の音頭なんですかそれ」
「細かいことはいいじゃないですか、みんな本当にお疲れ様でした。なんとか無事に間に合って良かったわ」
「それもこれも全て僕のおかげですね」
「お前が立案しなかったら設営せずに済んだんだけどな」
「そうだそうだ。この忙しい中残業するハメになったし」
「いやいや、お二人は一日しか残業してないじゃないですかー」
「はぁ? だから外せない用事があったんだよ」
「忙しい時期に急に残業を言われても困るし」
「まぁまぁ、とにかく無事に設営も終わったんだからいいじゃない。今日は楽しくやりましょう、ね?」
「僕は楽しいですけど、そこのお二人が楽しめるかは知りませんよ」
「おいおい立案者様がご立腹だなー。とりあえず飲め」
「何度も言ってますけどねじゅじゅさん。僕はお酒、飲まないんです」
「ほんとお前ってメンドくせぇなぁ。よし、代わりにルティ飲め」
「もう飲んでるわよ。あんた今日は平日だし控えめにしときなさいよ」
「大丈夫だって。爽太がいる時は、どれだけ飲んでもちゃんと家に帰れるんだからさー」

 まったく、人を何だと思っているのやら。その後も適度に茶化されつつ打ち上げは続いていく。ミッチー先輩はじゅじゅさんに企画とは何かを聞いて感動していたり、長谷川さんは妖精さんの話を高畑に熱く話していた。何度か高畑から助けろというアイコンタクトを受けたけれど無視した。ルー姉さんは森本部長にどうやって部長になったのかという経緯を聞き出そうと必死なようだ。
 トイレに立つとバイトの若い女の子をナンパしている三好を発見した。流石は肉食系である。誤算だったのは、その後で三好がトイレにやって来たことだろう。

「よう」
「お疲れ様です」
「なーんか、今回やけに頑張っちゃう系じゃね?」
「もう少し分かりやすい日本語でしゃべってもらえると有り難いんですけど、どういう意味ですか?」
「要するにお前さぁ、無駄に調子に乗ってないかってことだよ」
「調子に乗る? いやいや、まだまだ乗れますよ」
「何でまたこの時期に調子に乗ってるんだよ? あ、もしかしてあれか。クリスマスだから彼女が欲しいってやつか」
「いやー、別にそんなこと考えたこと無かったですね。それは三好さんが考えてることじゃないですか?」
「うるせーよ。でもな正直な話、うちの会社って女子社員多くていいよな。その中でも総務の野々村はダントツだと思うわー」
「確かにのんさんは美しいと思いますよ」
「でさ、お前野々村と知り合いらしいじゃん。ちょっと紹介してくれよ」
「紹介したらどうするんですか?」
「そんなの決まってるじゃねーか、口説いてヤルんだよ」
「はぁ、それなら自分で勝手に口説けばいいじゃないですか。それに同期なんですよね、確か」
「あーお前マジで萎えるわ。もーいいよ、お前に頼んだ俺がバカだった」
「そうですね。たまには身体じゃなくて頭も鍛えるべきかもしれませんよ」
「お前は先輩を敬う気持ちを養うべきだな」
「敬うべき先輩はしっかり敬いますよ」
「ま、俺はお前に敬われたいとは、これっぽっちも思わないけどな」
「それはどうもどうも」
「あー、お前マジウゼーな。主任や課長がいなかったらシメてやんのによ」
「やめて下さいよ。それかませ犬フラグですから」
「ほんと調子に乗るのいい加減にしとけよ?」
「基本的に僕はいい加減ですけどね」
「お前相手にしてると疲れるわ。とりあえず、これ以上調子に乗ってると痛い目みることになるからな」

 更なるかませ犬フラグを吐き捨てて三好は先に出て行った。まったく彼の頭の中はいったいどうなっているんだろうか。そんなことよりも、もっと分からないのは、さっきナンパされていたバイトの女の子が、自分の連絡先を書いたと思われるメモをこいつに渡したことだ。彼に連絡先を教えるぐらいならば僕に教える方が幸せになれるかもしれないのに。やれやれ、誰も彼も身も心もクリスマスカラーに染められているらしい。
 席に戻るとじゅじゅさんが服を脱ごうとしているところだった。どうやら今日はとてもご機嫌らしい。その姿を三好と高畑が携帯電話で撮影しようとしていたので、それとなく全て妨害しておいた。三好には睨まれ、高畑からは舌打ちされたけれど、撮影するなら本人に確認してからすべきだろう。それが礼儀ってものだ。その代わりに料理を運んで来た店主にその現場を見られた。怒られるのかと思ったが、なぜか大盛りのチャーハンをサービスされたのだけど、じゅじゅさんは不服そうに「私の身体がこんなチャーハンと釣り合う訳がない。せめてチャーハン二つだろ」とか騒ぎ出したので打ち上げはお開きとなった。
 二次会、三次会と引きずられて、お約束のようにルー姉さんとじゅじゅさんをタクシーに放り込んだ。それから僕は上坂中公園前駅前の通りから再び商店街に入る。既に人気ははなく、騒がしかったのが嘘だったように静まり返っている。そう言えば、中華料理屋のクリスマスチキンはとてもジューシーな唐揚げだった。なにか柔らかく仕上げるコツがあるのだろう。
 商店街を出ると風が強くなって寒かった。これぐらい冷え込んできたとなると、今年はホワイトクリスマスになるかもしれない。それはとてもロマンチックだとは思うが、噴水公園で行われるクリスマスイベントへの客足が鈍りそうなのは頂けない。焚き火を設置して参加者が寒くないような措置をすべきだろう。ふふふ、こんなことまで考えられるのは、僕が仕事が出来る男だからだろう。最近働き過ぎて仕事のことばかり考えてしまっている。やれやれ、このままじゃ更に昇進が早まってしまうのではないだろうか。
 自宅のマンションにたどり着いた時、エントランス入り口のガラス戸に映り込んだ男前の顔が、やたらとニヤニヤしていたのが気味悪かった。やれやれ、男ならもっとニヒルに笑った方が渋いというのが分かっていない奴のようだ。五階へ上り、ニヒルな雰囲気で自宅扉に鍵を差し込んで回す。「ただいま」低めの声で言ってみるも、冷え切ったマンションの廊下に虚しく響いて消えた。



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COMMENT

●じゅじゅさん

そのヒットリスト怖いw
いったい何人が記されているのやら。

ある種、デスノートですよね……

三好はあたしの個人的ヒットリストに載りました

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