POSITISM

適度に適当に。

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スラッシュ/ゲーム - /08 -


ハコニワノベル

「それで、付き合ってどれぐらいなんですかー?」
「どっちから告白を?」
「美知恵先輩ってこういうほっとけない男性がタイプだったんですね」
「……あ、あぅ」

 三人の後輩から質問攻めにされて、ミッチー先輩が回答もままならないまま押し切られている。こんなに珍しい光景は滅多に見られるものではないので、食後のコーヒーを飲みながらじっくりと眺めていたい。けれど、この状況はミッチー先輩の大きな勘違いによるものだと言うことを、はっきりさせておく必要がある。

「付き合うも何も、僕らはまだ何も始まってないですよ」
「えー、と言うことはもしかして、今日告白した系ですか」
「リアルタイムなんですね」
「で、告白は爽太君から?」
「僕は別にそう言うことを言ったつもりはなく……」
「じゃぁ、小谷先輩から! ?」
「私じゃなくてぇ」
「どっちからかはっきりして下さい」
「どちらにせよ、告白した側もされた側もこの場にいると言うことは、答えは決まってるようなものですね」

 やれやれ、うふふだのキャッキャと楽しそうにおしゃべりする三人組だ。ミッチー先輩も押されっぱなしで役に立たない。さっきから「あぅ」とか「いやぁ」しか発言していない。いつものようにキッパリと発言して欲しいものだ。

「これでお二人が付き合うとしたら、私たちが知っている社内カップルは二組目だね」
「あー、そうか。そうだなー」
「社内恋愛だといろいろ大変だと思いますけど、そこがまた燃えますよねぇ」
「ちなみに、一組目のカップルは誰と誰なんですか?」
「知らないの? 有名なのになー」
「ほんとほんと。女性社員だったらほとんどの人は知ってると思いますよ」
「あの二人もお似合いカップルですよねぇ」
「いや、だから誰なんですか、その有名な社内カップルっていうのは」
「システム部の黒瀬さんと、総務部の野々村さんだよー」
「部署が違うから、一緒にいると目立つもんね」
「でも最近ギクシャクしてるとか聞いたけど、どうなんだろうねぇ」
「へぇ、黒瀬さんがのんさんの彼氏だったんだ」
「わ、私知らなかった……。黒瀬、彼女いたんだ」
「あれ? 小谷先輩も黒瀬さん狙ってたんですかー? 私、最初は小谷先輩が黒瀬さんの彼女だと思ってたのにー」
「あ、私もそう思ってた」
「私も私も」
「いや、それは無いでしょう。黒瀬さんはミッチー先輩に苦労かけられたとか言われてましたし」
「そんなに迷惑なんてかけてないわよ」
「あらあら爽太君、ヤキモチ妬かなくてもいいのよー」
「必死に否定してる小谷先輩、可愛い」
「お二人も負けないぐらいお似合いだと思いますよ」
「いやぁ、そのぉ」
「いや、だからそもそもそういう事を……」
「とにかく社内恋愛は目立つので、公私混同していると思われないようにすれば、周りの理解も得やすいと思いますよ」
「そうだね。二人とも同じ部で、特に上司と部下っていう関係だから、すぐに目立っちゃうと思う。だから気を付けないと」
「でもでも! その上司と部下っていうのが、いいよねぇ」
『ほんとほんと!』

 勝手に話は進んでしまう。特にこちらから何かを話しているわけでもないのに、全員が全員勘違いしたままだ。勘違い四人と正常者一人では分が悪いというものだろう。それに、ここまで勝手に話を進めているものを根本から覆すと、今までの経験上、女性陣に一斉射撃を食らわせられることに成りかねない。終礼で「爽太君が小谷さんをいじめました。爽太君は謝って下さい」などと関係のない女子から言われ、その他の女子もまるで示し合わせたかのように「謝りなさいよ」とか言ってくる。大抵の場合、謝らせたいだけで謝られる本人はそれを望んでいない。そこに大きなズレがあることに気が付いていない女性が多い。きっと今も同じような状況になるのは目に見えている。それならば逆に話を進めてしまう方法もあるな。

「先輩方の意見はとても参考になりました。僕はこれからもミッチー先輩を、いや美知恵さんを守っていきます」
「おぉ、頼もしい発言だー」
「私もそんなこと言われてみたいな」
「美知恵先輩、良かったですね」
「あのぉ、えっとぉ」
「それじゃ、そろそろ昼休みも終わってしまいますし、会社に戻りましょうか」
「ちぇ、もっといろいろ聞きたいのになー」
「朋美、少しは空気読みなさいよ」
「そうそう。私たち、先に帰りますね」
「あ、そうか。じゃ、お二人は一緒に戻って下さいね」
「余計なことまで言わなくていいの」
「また何かあったら相談して下さいね」
「ちょ、ちょっとぉ」
「やれやれ、行ってしまいましたね。騒がしい三人組だなぁ、まったく」
「そ、それでもね、やっぱり返事は待ってくれない? もう少し、今度はきちんと自分だけでちゃんと考えるから。ちゃんと考えてから返事するから!」
「いやいや、そもそもですね、僕はミッチー先輩に告白なんてしてないじゃないですか。それを勝手に告白されたと勘違いしているから、今回みたいな騒ぎになってしまってるんですよ。分かりますか? そもそも僕がミッチー先輩を好きになるはず無いんですよね。タイプじゃないというか、あまり合わないと思うんですよ。ほら、ミッチー先輩って仕事中はS寄りですけど、プライベートは真逆のドMじゃないですか。僕はどちらかと言えばですね、ドSな女性が好きなんですよ。そのドSな女性を屈服させていくのが楽しい……って聞いてますか?」

 振り向くと誰も居なかった。どうやらミッチー先輩は僕の話も聞かずに会社へ戻って行ってしまったらしい。やれやれだなと店を出ようとすると店員に呼び止められた。何か忘れ物でもしたのかと思えば、五人分の食事代を請求された。おいおい、僕はランチをご馳走になりたくてミッチー先輩を煽てたと言うのに、ご馳走されないばかりか五人分の食事代を払わせられることになるとは、とんだ計算外だ。よくよく思い返してみれば、三人組が先に出るときに「いろんな意味でご馳走様でした」とか言っていたのはこういう事だったのだろう。なかなかにやるではないか。あまり褒めたくは無いけれど。
 ミッチー先輩を煽ててもロクなことにならないことが、ここに実証されたわけだ。これからは煽てる人をきちんと見極めるようにするとしよう。
 店を出ると肌寒いものの、日差しが暖かくてどこかに行きたくなった。しかし、会社に戻ればニュースサイトのフィードをチェックするという激務が待っているし、僕という存在がいないと仕事が回らない。そうなると沢山の人が路頭に迷うことになってしまう。未だに不況だと騒がれているこのご時世に、回すだけの仕事があると言うことは素晴らしいことだ。その仕事を回すのに絶対的に必要な人材が、このままどこかに行ってしまっては大問題になってしまう。きっと社内だけの騒ぎで収まらず、そのうち新聞沙汰になってしまう。見出しには「敏腕会社員、昼休みに五人分の食事代支払い後に行方不明」なんて書かれてしまう。翌日のワイドショーは僕の話でもちきりになってしまうんじゃないだろうか。やれやれ、仕事が出来すぎるというのも、困ったものだ。
 来た道を戻りつつ、途中で本屋に立ち寄ったりしながら、仕事の出来る僕は会社へと戻った。



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COMMENT

●樹さん

やっと登場してもらいました。
仲良し三人組です。


●ミッチーさん

あ、先輩。ちぃーっすwww

ミッチー先輩・・・・・www

おっとぉ~。
初登場♪
  • 2009.12.29[火]

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