POSITISM

適度に適当に。

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FARFALLA - 32 -


ハコニワノベル

 奇跡だ。あの状況からFARFALLAへ戻れたのは奇跡以外の何物でもない。その代り宇宙服内の燃料は完全に無くなっているし、なにより全身を強く打ちつけたのであちこちが痛い。ハッチを閉じプリマヴェーラの確認をすると、どうやら無事に設置出来たようだ。

「こちらミツル。ビランチャさん、聞こえますか?」
「……んー? ……おぉ! 聞こえ……るぞぉ」
「良かった。ルーナへの設置は無事に完了しました」
「まぁ、ワシが……設計してるから……よぉ、間違いは……ないわなぁ」
「ちょっとだけ遅延があるみたいですね」
「それは……よぉ、しょうが……ないだろうよぉ。なにせ……これだけ離れてるからなぁ」
「聞き取れない訳ではないから、十分だと思います」
「おぉよ……それにしても……設置に時間掛かり過ぎ……だなぁ。何か……あったかぁ?」
「若干のトラブルです。特に問題はないですよ」
「ワシはよぉ……プリマヴェーラじゃなくて……お前さんが……ルーナにでも落ちたかと思ったよぉ……ヒヒヒ」
「いや、全然。本当にそんなことは全然なかったです。じゃ、じゃぁ今からフィオーレに向かいます。接続状態の維持だけよろしくお願いします」
「おぉ……任せろよぉ」

 あの投下アームが開かなかったのもビランチャさんの設計通りな気がしてしまったけれど、それはもう忘れることにする。ルーナへ引き摺られて無駄なエネルギーを使ってしまったから、無駄を抑えてフィオーレまでの最短距離を進んでいかなくてはいけない。またトラブルが発生してしまうと、今度こそフィオーレに辿り着けなくなる。慎重に再度機体の角度を調整してフィオーレへと向かった。

「さてと、どこに着陸しようかなぁ。やっぱり旧八番ゲートが最適だよなぁ」

 徐々にフィオーレが近付いてくる。ルーナから離れてからはスムーズなものだ。徐々に目視レベルで細部までフィオーレを確認出来るようになった。相変わらず太陽に裏側の太陽電池パネルを向けている。そのパネルにFARFALLAの影が映し出された。最初は小さな丸だった影が、次第に機体の形になっていく。少しだけ旋回して、僕はFARFALLAをフィオーレに着陸させる準備を始めた。

「確か、ビランチャさんが着陸前に押せって言ってたのは、このボタンだよな」

 なぜかマジックで「ロックンロール!」と殴り書きされてるボタンを押すと、機体に取り付けられた発光ダイオードが無駄に点滅を始め出した。それと同時に羽を模した衛星アンテナが広がっていく。無駄だ。無駄な装飾だ。しかも解除が出来ない。これじゃぁ、こっそり着陸することが不可能になってしまった。半ばあきらめて着陸ポイントを旧八番ゲート付近に設定した。
 フィオーレの外はあの時からあまり変わっていない。変わってることと言えば――リベルラの社員による監視がものすごいぐらいだろうか。こんな無駄にピカピカ輝く宇宙船が飛来してるのだから、あっという間に見つかって徐々に取り囲まれている。FARFALLAは設定した着陸ポイントにお構いなしに着陸をしてしまった。

「何者か知らんが、我々の言葉が解るのであれば大人しく出てきなさい!」

 無断介入で通信が入った。もちろん大人しく出て行けば掴まるのは明らかだ。かと言って、このまま待機していればFARFALLAに攻撃されて壊される可能性もある。FARFALLAが壊されたら、テラをチキューへ送れなくなる。流石にまた二年以上かけてロケットは作ってられない。

「さて、どうしますかね」

 もうかなりの人数に取り囲まれている。それぞれの手にはラッジョ銃を携えているのも見える。あんな物騒なもので攻撃されたらFARFALLAは簡単に壊されてしまうだろう。ふと、外の環境を示す表示に目がとまった。

「そうか、チキュージンは強いんだったっけ」

 取り囲んでいるリベルラの社員の位置を確認する。じりじりとFARFALLAとの距離を縮めているのが解る。もう少し、もう少し近づいてくれれば――。ハッチのロックを解除して、リベルラの社員との距離を確認する。

「我々の言葉が通じないのであれば、我々はそちらを拘束することになる」
「抵抗せずに大人しく出てきなさい」
「今だ!」

 ハッチを開くのと同時に強く機体を蹴って飛び出す。思ってた以上に勢いが付いてしまって、ハッチ付近のリベルラ社員が何人か強く吹き飛んでしまった。本当は吹き飛ばすつもりはなく、飛び出してFARFALLAから遠ざけようと思ったのに。仕方がないから残ってるリベルラの社員も同じように吹き飛ばしてしまった。
 そのまま旧八番ゲートへ向かう。流石に以前と同じように開くことは出来なかったので、制御部分の装置をショートさせて無理やりゲートをこじ開けた。

 ――ガタン、シュウィン! ウィン! ウィン!

 三重に閉じられた扉が開く。




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