POSITISM

適度に適当に。

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FARFALLA - 29 -


ハコニワノベル

「絶対にまた来てね」
「FARFALLAは、フィオーレから戻れるように設計してあるから大丈夫だよ、クローチェ」
「怠けてると、あっという間にまた俺様の方が足が速くなっちまうからな」
「そしたらまたすぐに追い抜いてみせるよ、コメタ」
「ここからがメインステージよぉ、ぶちかまして来いよ、お前さんのロックンロールをよぉ」
「はい。ビランチャさん、例の件お願いします。僕も出来るだけミスしないようにやります」
「おぉ、任せろぉ」

 チキューではスペースジャケットのことを宇宙服と呼ぶらしい。スペースジャケットよりも随分と重たいその服を着込む。重力に慣れたとはいえ、百二十キロの宇宙服を着ると歩くのさえ困難になる。なんでも、宇宙空間でロケットの外へ出て作業することまで考えられているらしく、ロケットの整備や修復まで想定された強度らしい。この宇宙服を着て、それなりに動けるようになるために、ビランチャさんは毎日砂浜を走れだとか、筋トレをするように言っていたことを、つい最近になって聞いた。確かにトレーニングなしでこの服を着て動けるとは思えない。

「燃料確認OK!」
「サスペンション、油圧ダンパーの確認OK!」
「ロボットアーム異常なし! ミツル、いつでも乗れるぞ」
「みんな、ありがとう! みんながいなかったら、こんなにイカしたロケットは出来なかったです。本当にありがとう。友達を乗せたら、また戻って来るのでその時はまたよろしくお願いします。それから、ちょっと人類の歴史にロックンロールをかまして来ます!」
「おぉ、行って来い!」

 全長五十二メートルの二段式。有人のロケットとしてはかなり小さい方らしい。小型化出来たのは僕がチキューにやって来た時の宇宙船、ストラトキャスターや、圧縮酸素技術を改良したからだ。万全の準備はしたつもりだけど、それでもチキューでは打ち上げに失敗するケースもあるらしい。ここで失敗したら、次は早くても半年後になる。もちろん失敗すれば命の保証もない。

「ミツルー!」

 振り向くと、はちまきをしたクローチェが何かを差し出している。

「なに、これ?」
「種だよ。お花の種。沢山あるから、どれかはフィオーレでも育つんじゃないかな。リンドウにケイトウ、それからコスモス」
「ありがとう。育ててみるよ」
「行ってらっしゃい」
「行ってきます」

 FARFALLAに乗り込む。宇宙船部分には一応四人までは乗船できる設計だけれど、宇宙服を身に付けた状態で四人が入るとなると、このスペースでは少し狭苦しい。これだけ巨大でも四人が限界だと考えると、チキューから飛び出すエネルギーの巨大さに、また打ちのめされそうになる。操縦席に辿り着くと、後ろで重たくハッチが閉じる音が聞こえた。それとほぼ同時に通信が入る。

「ミツル、聞こえるかぁ?」
「ビランチャさん、聞こえます」
「よぅし、そんじゃ席に付いてしっかりロックしろぉ」
「はい」

 重たい宇宙服と、巨大なロケットがひとつになるような感覚になる。その一部が自分であることが不思議だ。

「ちゃんと打ち上げてやるからよぉ、心配すんなぁ」
「解ってます。信じてますから。よろしくお願いします」
「よぉし、そろそろ行くぞぉ」



 5、4、3、2、1……0! 発射!




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