POSITISM

適度に適当に。

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FARFALLA - 25 -


ハコニワノベル

「5、4、3、2、1……0! 発射!」

 発射台に選んだ高台に組み上げられたブレッザは、風を起こしながらゆっくりと浮かんでいく。「おぉー」という驚きや歓声の中に「すげー!」というコメタの声も聞こえた。ブレッザは大量の煙を出しながら徐々に高度と速度を上げていく。それなりに離れていても轟音と風圧を感じたかと思うと、ブレッザは一気に空を昇って行った。風を切り、雲をかき分け、空へ。機体が太陽に照らされてキラキラと輝いている。その光はしばらくすると空の中に吸い込まれて消えていった。

「ほ、本当に飛びやがった!」

 コメタの一言で静まり返っていた見物に来ていた集落のみんなから歓声が上がった。

「すごいな、ロケットって」
「あのロケット、ミツルが作ったんだって?」
「昔はあんなのをどんどん飛ばしてたんだよな」
「宇宙ってどんなところなのかしら」
「少しだけしか手伝ってないけど、ロケット面白いな」
「人を乗せるロケットになると、あれの何倍も大きいんだろ?」

 いろんな人から話しかけられる。打ち上げが成功したのも嬉しいけれど、みんなにロケットの良さや、宇宙へ飛び立つことが無理なことじゃないということを知ってもらえたのが嬉しかった。そんな安心感と達成感を感じたところで意識が無くなった。

「ミツル? どうしたの……ちょっと、ミツル! ミツル!」

 気が付いたらベッドの上だった。チキューにやってきて最初に気を失った時と同じ光景だ。ここはクローチェの家だ。少し頭が痛いけれど、それ以外は調子が良い。辺りを見回しても誰もいないので、ベッドから起き上がろうとした。

「あ、ミツル! 良かった気が付いて」
「クローチェ、おはよう。あまり覚えていないんだけど、ブレッザはちゃんと飛んだよね? あれ、夢じゃないよね?」
「うん。ちゃんと飛んだ。夢じゃないよ。そのすぐ後でミツルが倒れちゃって心配したんだから。二日間眠りっぱなしだったんだよ?」
「そうか、二日も寝てたんだ。心配かけてごめん」
「寝る時間削ってロケット作ったりしてたでしょう? ちゃんと休んでねって言ってたのに」
「ごめん、ごめん。どうしても早く作ってみんなにロケットの良さを知って欲しかったんだよ」

 クローチェは少し怒ってるように見えた。しばらくして「もう無茶はしないでよ?」とだけ言うと部屋から出て行った。気を取り直して起き上がろうとすると身体が上手く動かない。どうやら本当に身体を酷使していたらしい。なんとか上半身だけ起こすと料理を持ってクローチェが再び部屋に入って来た。

「起き上がって大丈夫?」
「うん、しっかり寝たし大丈夫、大丈夫」
「じゃぁ、ご飯しっかり食べてね」

 差し出されたスプーンを掴もうとしたら、上手く掴めずに落としてしまった。

「あれ?」
「やっぱりまだ動ける状態じゃないのよ」
「いや、大丈夫だって」
「ダーメ。しばらくは休養すること。身体壊したら元も子もないんだから」
「いや、でも、あまり時間もないし……」
「返事は! ?」
「は、はい。わ、解りました」
「解ればよろしい」

 今までに見たクローチェの中で一番怖かった。そのまま、その勢いで僕は休養することになってしまい、しかも食事はクローチェが食べさせてくれるという。流石に最初は拒否したものの、スプーンすら上手く掴めなくなっている僕に拒否権はなく、クローチェに食べさせてもらうことにもなってしまった。

「はい。熱くない?」
「うん、熱く無いよ」
「はい。……どうかな、美味しい?」
「心配しなくても、クローチェの料理はどれも美味しいって」
「良かった」
「あ! ビランチャさんにしばらく休養するって言わないと!」
「私が言っておきます」
「あ、うん、じゃぁよろしくお願いします」
「ちゃんと治るまで休養してもらいますからね」
「解った、解ったから、その怒らないで。その、クローチェってさ、怒ると怖いんだね」
「どれだけ心配したと思ってるの? 本当に反省してる?」
「してます、してます。反省だけじゃなくて感謝もしてます」
「ふふふ。ならいいけど」
「あれ? これいつもの飲み物と違うね」
「あ、胡麻麦茶っていうの。身体が弱ってるときとか飲むんだ」
「へぇ」

 ふいに、クローチェが下を向いてしまった。

「クローチェ? どうしたの?」
「ミツルは、ロケットが完成したらフィオーレに帰っちゃうの?」
「うん。だけど、フィオーレにいるテラと一緒にもう一度チキューに来るよ。それに、行き来が出来るんだからいつだって遊びに来れるよ」
「そっか。そうだよね」

 彼女はそう言うと、またいつものようにほほ笑んでくれた。




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COMMENT

●るどさん

だろ?(お前じゃねー)


●來弥さん

まぁ、どんな時代でも男は鈍感で
ありもしない部分に対して敏感なんですよ。

もし、悪党に狙われたらとか
そういう妄想部分に対して過敏ですよね。
まったくもって無意味なんですけどね。

いつの世も男は鈍感
メモメモ

いやん、惚れてまうがなーーー!←

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