POSITISM

適度に適当に。

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FARFALLA - 20 -


ハコニワノベル

「おい見ろよ、またノロマなミツルが来たぞ」
「本当だ。おーいミツル、ノロノロ歩くなー」
「うるさいぞ、お前ら」
「悔しかったら捕まえてみろよ、このウチュージン!」
「バカにしやがって……、待てぇ!」
「よし、逃げるぞー」

 地面を蹴る。フィオーレでカンクロに追いかけられた時と同じように走っているつもりだけれど、チキューでの僕は目の前を走る子供達にだって追いつけない。フィオーレと比べて十二倍の重力。それは思った以上に僕の身体を動けなくしている。最初の一週間ほどは食事すらまともに出来なかった。

「おいおいミツル、本気で走ってるか?」
「あぁ、全力疾走してるよ!」
「はぁ、お前本当にノロマだなぁ。そんなんじゃいつまでたってもチキュー最速の俺様、このコメタ様には追いつけないぜ」
「いつか絶対に追いついてやるからな、コメタ!」
「何万光年かけても無理そうだけどな、じゃぁ、そろそろ飽きたし俺達帰るわ」
「くっそー! 絶対いつか捕まえてやるぞー!」

 コメタは集落に住む子供達のリーダーのような存在で一番生意気な奴だ。調子に乗ってるけれど、集落に住む人の誰よりも足が速い。今日も結局追いつくことも出来ずに逃げられてしまった。チキューに辿り着いてから一ヶ月が過ぎた。自分なりにチキューのことを調べる毎日。その大きさ、強さ、豊かさに驚かされるばかりで、途方に暮れることが多い。深呼吸するように大きく息を吐き出してから座り込んだ。呼吸を整えながら空を見上げると、いつも白いはずの雲が灰色になって広がっていく。

「雨が降るね」
「え?」

 見上げるとクローチェがいた。彼女は集落にある飲食店で働いている。どうやら今日の仕事は終わったらしい。

「アメ?」
「うん。さっきラジオで気圧が下がってるって言ってたし、きっと降るよ」
「フル?」
「うん。あ、いけない。洗濯物干したままにしてたんだった。ミツル、ごめん私先に帰るね」
「え、あぁ、うん。解った」

 クローチェはそう言うと慌てて走って行った。アメがフルらしい。いや、何のことかは解らないけれどそうらしい。僕は立ち上がって伸びをしてから、海岸へと向かった。僕は毎日少しずつ乗ってきた宇宙船を地面へと上げる作業をしている。フィオーレで僕を待ってるテラを迎えに行くためには、またアイツを直して飛ぶしかない。ただ、チキューにはロケットの部品になるようなものがそこら中に落ちていない。ロケットは直せるのだろうか。
 海岸まで出ると、いつもより湿った風が強く吹いている。風に押し戻されそうになりながら宇宙船へと進んでいく。すると普段誰も近寄らないこの場所に見慣れない人影があった。どうやら僕の宇宙船を見ているようだ。

「あの……?」
「んー? おお、お前さんが噂のウチュージンかね?」
「いや、お爺さん誰ですか?」
「ワシか? ワシはビランチャじーさんじゃ!」
「えっと、はぁ。僕はミツルっていいます。えっと、何されてるんですか?」
「コイツはお前さんのロケットか?」
「そうです」
「お前さんが自分で組み上げたのか?」
「一応そうですけど……」
「……」

 ビランチャと名乗ったお爺さんはジロジロと僕の顔や手足を眺めてからこう言った。

「ワシと一緒にロケットを作らんか?」
「え?」




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