POSITISM

適度に適当に。

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FARFALLA - 14 -


ハコニワノベル

 あの後私は病院にいて、腕に見慣れない時計のようなものを取り付けられていた。どうやらそれは力を抑えるものらしく、今までのように簡単に数メートル飛び上がったり、ラリアットで誰も彼もを吹き飛ばせなくなっていた。数日間の入院を終えると、私はリベルラの社員による監視の下、フィオーレの住人として生活を続けている。私を処分するという話はカプリコルさんが取り下げを申し出てくれたらしい。条件や制約はあるけれど、こうしてなんとか日々を過ごしている。

「テラちゃん。いらっしゃい。どう? 学校は」
「なんとも言えないよヴェルネさん。カンクロとペーシがヘコヘコするから、私のイメージ女王様みたいに勘違いされてて疲れるし」
「あら、あながち間違ってないと思うけど?」
「まぁね」

 ヴェルネさんはリベルラの社員を解雇され、今では喫茶店をやっている。でも、やっていることはリベルラの社員のときとあまり変わっていないらしい。私は学校が終わるといつもヴェルネさんの店に寄るようにしている。

「……ねぇ、ミツルのこと何か解った?」
「それがね、全然解らないの。さすがに一般のモニタじゃ、外の情報は探れないのよ」
「そっか……」
「ミツル君なら、きっと大丈夫よ」
「うん。私もそう信じてるけどね」

 一ヶ月が過ぎ、二ヶ月が過ぎ、フィオーレでの生活にも慣れたころには三ヶ月が過ぎていた。日々は何も変わらない。変わったことは二つだけ。一つはカプリコルさんが入院したこと。もう一つは誰もがミツルの話をしなくなったこと。

「テラさん、鞄お持ちします!」
「いいってば、毎日毎日そんなことしなくていいよ」
「いや、このカンクロ、テラさんのためなら何でもします!」
「はぁ、ならさ、私のためにちょっと一人にしてくれない?」
「解りました! おい、いくぞペーシ!」
「え? あ! は、はい、待ってくださいよ、カンクロさん!」

 走り去っていくカンクロとペーシを目だけで見送ると、「はぁ」と深くため息が出た。見上げた天井は今日も青々と色付いている。チキューの空は色が安定しないから嫌だと思っていたけれど、こう毎日変わらない空はもっと嫌だと感じる。「空が見たいなぁ」そんなことを呟いてしまったら、そのまま家に帰りたくなくなって、ブラブラと当ても無く歩く。ふと病院が目に入ったのでカプリコルさんのお見舞いへ向かった。

「おぉ、テラちゃん」
「こんにちは。お爺ちゃん、調子はどう?」
「若いレディがお見舞いに来てくれたから、すぐに治っちゃうね」
「またそんなこと言ってると、担当の先生に怒られるよー?」
「それはマズいのぅ……、あの先生な、怒らすとほんと怖いんだわ」
「ぷっ……そんなに怖がらなくていいじゃない、あはは……」
「ほんとにな、シャレにならんぞ。この間も口ごたえしてたらな、高濃度酸素をダイレクトで送り込まれて、二、三時間気を失ったわ。目が覚めたら目の前に先生がいてな、勝ち誇った顔をしててな、それはそれは怖い思いを……ん?」
「……」
「……んー、そうか。テラちゃん」
「……え? あ、なに?」
「テラちゃん、口に出さんでもいい。心配じゃな? だけどな、あいつはあれでもイッチョマエの男よ。約束は絶対に守る。そうワシは信じてる」
「私も信じてる。信じてるけど、誰もがミツルのことを話さなくなって、このまま消えていってしまいそうで……、心配、心配だよ! ねぇ、ミツルは無事? ちゃんとチキューに辿り着いた? 約束、絶対守ってくれる?」
「大丈夫。あいつはちゃんとチキューに辿り着いてるさ。カタパルトの角度を設定したワシが言うんじゃ、間違いない。……大丈夫、大丈夫」
「……うん」

 ミツルが飛び出してから一年が経っても、毎日は何も変わらずに過ぎていく。歯を食いしばって、諦めてしまいそうな自分を振り払う。それでも徐々に、心に出来た隙間から何かが入り込んでしまったように、ずっと信じようと決めていたことが揺らぎだしていた。




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