POSITISM

適度に適当に。

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FARFALLA - 12 -


ハコニワノベル

「離せ!」
「いいえ、離しません。あなたはこのフィオーレにとって危険因子。だからここで処分します。チキュージンと言えど女のあなたでは、男の私には力で及ばない。残念でしたねぇ。あぁ、そうだ。最後になぜあなたはここに辿り着いたのか聞いておきましょうか」
「ファ、ファルファッラに行きたかったんだよ」
「ファルファッラ? そんな星は存在しませんよ。あなたはありもしない星を目指して、チキューを飛び出したのですか? くっくっく、はっはっは。実にくだらない。チキューで何も知らず生きていればいいものを。ファルファッラ? なんだそれは。はっはっは……」
「何が可笑しい! 何が、可笑しい!」

 テラの声が涙目になっている。僕はウラーノに飛び掛った。

「テラを離せ! 離せよ! 離せ!」
「おやおや、XB03026君。君の力じゃどうしようもないと解らないのですか?」

 言われた通り、僕の力ではウラーノの、テラを持ち上げている腕すら下ろさせることも出来ない。殴っても、蹴っても結果は変わらない。許せない、許せないのにどうすることも出来ない。悔しくて泣きそうになる。めんどくさそうにテラを掴んでいない手で振り払われると、僕はそのまま壁まで吹き飛ばされた。

「ちくしょう! テラを離せ!」
「力なき者は、いつの時代も、力ある者に、屈服させられる。そういうものです」
「離せ! この野朗! 私は、ミツルのロケットに乗るんだ!」
「やれやれ。あんなガラクタ、飛ぶわけないでしょう。それにあなたはここで処分されるから、ロケットにただ乗ることも出来ませんが」
「ミツルのロケットをバカにするなっ!」

 テラが掴み上げられながら何度もウラーノを蹴っている。僕は何も出来ずにいる。

「あれは、ガラクタなんかじゃない。僕の、僕のストラトキャスターだ!」
「XB03026君。夢を見るのは自由ですが、実現の可能性がない夢は見るだけ無駄ですよ?」
「これからそれを実現させてやるんだ!」
「これだから子供というやつは……。まぁ、いいでしょう。君よりもまずは、この危険因子を処分しなくては」
「離せ! 離せよ、おっさん!」
「言葉遣いも乱暴で下劣。まったく、チキューという星はどうして徹底した管理を行わないのだ。自分がチキュージンであることにすら嫌悪感がありますよ」
「私もあんたと同じチキュージンだと思うとやってられないわよ!」
「それなら安心しなさい。このエアタンクを外してしまえば、あなたはチキュージンでもなんでもなく、宇宙にただようチリのひとつになれるのですから」

 ウラーノの腕がテラのエアタンクに伸びる。突然、「シュー!」と言う音がしたかと思うと、誰かがウラーノの目の前に飛び込んで来た。

「な、なんだコレは?」

 ウラーノがバランスを崩している。どうやらスプレー缶でスペースジャケットのフェイス部分を塗りつぶされているようだ。別のもう一人がウラーノの隙を突いてテラを下ろすと、そのまま腕を押さえた。スプレーをした側は足を押さえている。

「ミツル! 何ボーっとしてんだよ! 早く行け!」
「そうそう。早く行けよ」

 その二人組みはカンクロとペーシだった。「辞めろ」と言いながら暴れようとするウラーノを押さえ付けている。ウラーノは、いつのまにかスペースヨーヨーを手足にぐるぐると巻き付けられて、上手く身動きが取れなくなっているようだ。

「カンクロ、ペーシ。な、なんで」
「はぁ? 勘違いするなよ。俺はな、お前じゃなくてテラさんを助けに来たんだ」
「そうだそうだ。お前のためじゃないぞ、ミツル。テラさんに会いたくてずっとつけてたなんてことしてないからな」
「あ、ありがとう。――えーとカンクロだっけ? それからペーシ」
「いいんですよテラさん。俺達、テラさんのためだったら何でもしますから。 おいミツル! お前が何をしようとしてるのか良く知らねーけど、テラさんを頼んだからな!」
「頼んだからな!」
「う、うん。だ、だけどキーロックが……」

 そう言い終わる前に、扉の方からピッピッピとキー入力の音が鳴る。驚きながら振り向くと、そこにはヴェルネさんがいた。

「ヴェルネ、貴様裏切るのか?」
「あら社長、女はいつでも夢見る男性に惹かれるものですわ」

 ――ガタン、シュウィン! ウィン! ウィン!

 三重に閉じられた扉が開く。




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