POSITISM

適度に適当に。

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FARFALLA - 09 -


ハコニワノベル

「そう言えば、テラはなんでロケットに?」
「えーと、ファルファッラに行ってみたかったんだ」
「ファルファッラ?」
「うん。夜ね、空を見上げるとたまに見えるんだ、ファルファッラ」
「空? 空って、天井のこと?」
「違うよ、空は空だよ。夜になると星が見えるんだ」
「へぇ。でもさ、そのファルファッラを目指してたのにどうしてフィオーレに?」
「えーとね、どうやってここに辿り着いたか解らないの。本当は私の乗ってたロケットじゃ、ルーナにさえ辿り着けないロケットだったんだ」
「ルーナ?」
「うーんと、ファルファッラとの間にある星だよ」
「目的地の間にある星にすら行けないロケットで、どうやってここまで来たんだろう」
「本当は着陸しないといけないタイミングでね、どうしてもファルファッラへ行ってみたくてさ。辿り着きますように。って祈りながらチキューの外へ進路を取って、酸素が無くなりそうだったから緊急用の液体酸素に浸かったの」
「そ、それってさ、運任せってこと?」
「そういうこと!」
「あ、危ないことするなぁ」
「だけどさ、ファルファッラには到着しなかったけど、フィオーレ……だっけ? には無事に到着したじゃない。結果オーライだよ」
「いや、無事とは言い辛いと思うよ」
「あはは、それもそうか」
「あれ、ちょっと待ってよ。今の話を整理すると……、テラってフィオーレじゃない星からやって来たってことだよね? どこの星から来たの?」
「チキュー」
「チキュー?」
「そうだよ」
「えーと、ね、テラは宇宙人なの?」
「ん? 私は人類だよ?」
「と言うことはさ、そのチキューって星は人が住める……、いや既に住んでるってこと? ?」
「当たり前じゃない」

 驚きのあまり立ち上がってしまった。テラは、人類の住む別の星からやって来たらしい。と言うことは少なくとも一つ、この宇宙の中にフィオーレ以外に人が住むことの出来る星があるってことだ。リベルラの社員の話や、学校の授業では、フィオーレは人類に残された最後の場所だと聞いていた。だけど、実際には別の星にも人類は住んでいるということになる。これは、もしかすると大発見なのかも知れない。

「私の乗って来たロケットは一回のみの使いきりだから、もうチキューには帰れないなぁ」

 突然、少しだけ寂しそうにテラが呟いた。その視線の先には空になったカプセルが転がっている。僕も同じようにカプセルを眺めていた。

「テラはさ、チキューに帰りたい?」
「……それはそうだね」

 そのまま二人とも無言でカプセルを眺めたままになった。ふと、テラがこのカプセルに乗ってフィオーレに衝突した瞬間が、頭の中に蘇る。まるで流れ星のように輝きながら、フィオーレに衝突した。本来ならば、チキューへの着陸時に見られるものだったに違いない。宇宙空間から空気の壁にぶつかって、その壁にめり込みながら着陸していく。――着陸? はっとした。

「もしかしてさ、このカプセルってアブレータ使ってない?」
「アブレータ? って何?」
「このカプセル使えなくなってるならさ、僕にくれない?」
「べ、別にいいけど何するの?」
「もしかしたら、テラをチキューに帰してあげられるかも」
「え? ほ、本当に?」
「うん。とにかく、このカプセルを運ばないと」

 カプセルを古びた台車に乗せるために持ち上げようとしたけれど、重たくて持ち上がらなかった。苦労しているとテラが「手伝うね」と軽々とカプセルを台車に乗せてしまった。
 二人して外に出ると、いつものようにエレベーションが自動的に僕達を運び始める。テラは最初だけ驚いていたけれど、途中から楽しんでいるみたいで笑っている。未だに慣れない浮遊感が終わり、困難を予想していた家の前の五段しかない階段も、二人で協力して簡単に乗り越えることが出来た。テラは女の子の割にとても力持ちだと思う。

「おいおい、これは何の間違いだ? ペーシ」
「おや? あのゴミ臭いミツルが女の子と一緒にいますよ、カンクロさん」

 家を出たところで一番会いたくない奴らに会ってしまった。そうか、もう学校は終わってる時間だ。カンクロとペーシはニヤニヤしながら近付いてくる。

「ミツル。お前、今日はお腹の調子が悪いんじゃなかったのか? 俺、心配で心配でよ。様子を見に来てやったってのにお前、なに女とイチャイチャしてるんだよ!」
「これは完全にサボりだ! 明日はミツルがトイレ掃除ですね、カンクロさん」
「ゴミ臭いのに加えてトイレ臭くなったら近寄れねぇな」
「ほんと、臭い臭い」
「おい、そこの女。そいつはな、みんなにコソコソ隠れながらゴミあさりしてるような、ゴミ臭いやつなんだぜ? だから、その、なんだ。俺と一緒に来いよ」
「……」

 無視して行こうとすると、テラが立ち止まったまま動かなかった。

「テラ? ほっといて行こう」
「おいおい、無視すんなってゴミ野朗」
「……バカにすんな」
「え? テ、テラ?」
「あー、なんだって? 今、何か聞こえたか、ペーシ?」
「いいえ、何も聞こえませんでした」
「そうだよな? このカンクロ様に口ごたえするわけないよなぁ」
「バカにすんなって言ったんだよ!」
「おいおい、女のくせに俺に歯向かうな。いい加減にしないと痛い目見ることになるぞ」
「そうだぞ。カンクロさんを怒らせると痛い目見るぞ」
「いい加減にするのはそっちの方だ」
「テラ! もういいって。早く行こう」
「命の恩人をバカにされて黙ってられないの!」
「本当にいいんだって、ほっとこうよ」
「おい、そこのデブ!」
「待て、待て、女。俺の見間違いだよな? 今、俺を指差してなかったか?」
「み、見間違いですよ! カンクロさん! うん、絶対そうだ」
「見間違い? 寝ぼけてるの? おデブさん」

 テラがビシッとカンクロを指差しながら笑っている。ペーシがアワアワしながら、テラとカンクロを見比べて後ずさりをしている。なぜなら、カンクロが誰が見ても簡単に解るほどに、顔を真っ赤にしながら怒っているからだ。どうやらカンクロに対して「デブ」はタブーらしい。

「女だと思って手加減すると思うなよ、全力でボコボコにしてやる」
「女だと思ってバカにすんなよー? 一瞬でぶっ飛ばしてやる」
「ちょ、テ、テラ? まさか何かするつもりなの?」
「ラリアット」
「は?」
「だから、ラリアット」
「いや、無理だって! あいつはさ、ほんと凶暴で強いんだって、女の子じゃ勝ち目なんて……」

 瞬きほどの瞬間が過ぎ去ると、目の前からテラが消えていた。もう一度瞼が閉じて再び開くと、僕の目にはテラのラリアットで一回転――いや、一回転半ほど回転してうつ伏せに倒れたカンクロの姿が映った。その次の瞬きの後には、ペーシが二回転して仰向けに倒されていた。

「お前……、何者……だ……?」
「私は、チキュージンだ!」




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