POSITISM

適度に適当に。

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FARFALLA - 06 -


ハコニワノベル

 分厚い扉を越えて中へと戻って程なく、僕のエアタンクの圧縮残量はゼロになった。カプセル状のロケットに乗っている女の子には悪いけれど、僕はそれをゴロゴロと転がしてここまで運んだ。倉庫の中でまじまじとカプセルの中を覗き込む。どうやらカプセルの中は液体がびっしりと入っていて、その中に女の子は浸かっている。眠っているようにも見えた。
 倉庫にあった古い台車にカプセルを乗せて、僕は家へと向かった。そのカプセルが何なのか調べたかったのと、中に入っている彼女が、もしかしたら宇宙人かも知れないという好奇心から、このカプセルを開けてみたくなったからだ。

「不用意に開けてしまって、それが原因で人類が滅亡しちゃったりして……」

 などと考えもしたが、すぐにそんなマイナスな考えはどこかに消えた。中にいる彼女が宇宙人だとしたら、少なくとも容姿は僕たちとそんなに変わらない彼女の星は、人類も住める星かも知れない。僕はそれを、このカプセルの中にいる彼女に聞いてみたくなったからだ。古びた台車は反重力システムを取り入れていないので、押して歩くのも中々に大変だ。ギィギィと変な音を押すたびに奏でている。
 出来るだけ階段を使わないルートを選んでいたので、随分遠回りになったけれど、家の前まで帰ってきた。残念ながら家の前には中途半端な階段が待ち構えている。いつもはそんなに気にも留めていないこの一、二、――五段の階段を、こんなに恨めしいと思うなんて考えもしなかった。台車の前輪を三段目に乗せ、息を止めてから後輪を持ち上げる。幅の広い階段で良かった。これが足がなんとか乗る程度の幅だったら、僕はここで家に帰るのを諦めたかもしれない。
 なんとか階段を登りきり、左手の甲をかざしてエントランスを抜ける。いつもは気持ち悪いエレベーションも、今回ばかりはありがたいと感じた。ふわふわと僕と台車とカプセルを浮かせて、なんの苦労も無く部屋へと辿り着いた。カプセルを部屋に入れる時に、台車の角とカプセルで廊下の壁を派手にガリガリと削ってしまったけれど、無事に部屋の中へ運び込むことに成功した。休む間もなく、僕はモニタをつける。
 ロケット関連の資料を検索していくと、目の前にあるカプセルは随分と昔に作られた一人乗り用のロケットであることが分った。残念ながら人類が作り出したものだ。本来ならば衛星軌道上を遊泳して帰還するロケットなので、保有出来る酸素量はそんなに多くない。緊急時に液体酸素で乗船者を沈めて仮死状態にする措置が取られるらしい。液体? じゃあ、この目の前のカプセルは……。
 更に調べると、液体酸素で仮死状態になってから一週間で酸素は枯渇してしまうらしい。その残量を確認すると、もうまさに酸素が枯渇しようとしていた。焦りながらカプセルを開く方法を探す。

「扉の両脇にあるレバーを引き、それを下側に捻る」

 説明を読み上げながら、実際に扉を開いていく。左側のレバーが固くて時間がかかったものの、何とか下側に捻るところまで進んだ。

「それから? え? このまま引っ張るの? それだけ?」

 宇宙遊泳するロケットのわりに簡単な開き方だなと思いながら、両手に握り締めたレバーを強く引いた。扉はびくともしなかった。もう一度説明に目を通すものの、特にその他には書いてない。一度息を吐き出してから、全体重をかけるようにレバーを引いた。ガコっと言う鈍い音と共に大量の液体が零れだす。あっという間に部屋中がずぶ濡れになっていく。その液体と同時に、中に入っていた女の子も流れ出て来た。
 僕は固まった。中から出てきた女の子は、多分僕と同じぐらいの年代――いや、そんなことよりも、女の子が、その、なんと言うか、つまり、服を着ていない。それに驚いた。フィオーレでは男女間の恋愛に厳しい制限がある。人類繁栄のため、勝手に人口を増やす行為――つまり、その、そう言った行為は禁止されているため、異性の裸と言うものを見ることは出来ない。いや、正確には授業でそう言ったことを習うタイミングで、資料としては目にすることになるのだけれど。とにかく、そんな授業でしか見ることのないものが、目の前に出てきてしまったのだから、固まるのも仕方がない。いや、さっきから僕は何を言い訳してるのだろうか。

「……お、溺れる!」

 突然、女の子が顔を上げた。




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みく子が届くまではこれが読み物になりまし。

あと~
21日9時50分現在
コメレスに携帯からアクセスしたところ403が返されました。

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