POSITISM

適度に適当に。

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FARFALLA - 02 -


ハコニワノベル

「どうだミツル、お前のロックンロールの進み具合は?」
「あとは太陽電池パネルとアブレータがあれば、痺れる音になるよ」
「んー、太陽電池パネルなら、さっき向こうで見たなぁ」
「ほんと? 僕ちょっと取ってくる」

 三年前、僕は行き場を無くして倉庫エリアをうろついていた。学校に行けばカンクロとペーシに狙われるし、それでなくても授業は退屈で仕方がなかったからだ。毎日倉庫エリアをうろついていると、自然とお気に入りの場所が出来る。それは真っ青なコンテナに四方を囲まれている場所で、そこで見上げる天井はいつもより清々しく見えていた。
 ある日、いつもと同じようにその場所へ行くと見知らぬ爺さんが眠っていた。あまり清潔とは言えない身なりで耳には大きなヘッドフォン、そこからこぼれ出しているボリュームの大きな音、音、音。しばらくして目を覚ました爺さんは僕に気が付くと抜けた前歯をむき出しにしながら、ニカニカと笑った。
 爺さんはカプリコルと名乗り、普段はこの辺りで寝泊りしていると言う。ヘッドフォンに付いて聞くと「聴いてみるか?」とヘッドフォンを僕の耳にかぶせた。最初爆発が起きたのかと思うほど、そのヘッドフォンから流れてくる音はボリュームが大きかった。それに加えて流れてくるのはどれも激しくて鋭い音の塊だった。

「ロックじゃ。ロックンロール」

 カプリコルさんはそう誇らしげに言った。旧時代の人たちが聴いていた音を保存しているCDというものから、この刺々しい音は再生されていた。最初はうるさいだけだったのに、いつしか毎日聞くようになって、今では聴いていると心が穏やかになることさえある。
 そうやって僕はカプリコルさんと仲良くなっていった。仲良くなるとカプリコルさんは外のことを教えてくれるようになり、最終的には僕を外へ連れて出てくれるまでになった。そして宇宙のスゴさ、可能性。これからの人類のことなど、学校では誰も教えてくれないことを沢山教わった。次第に僕は夢を思い描くようになる。

「人類が次に住む星を見つけたいんだ」
「そいつはいい、ロックじゃのぅ!」
「当たり前だろ、ジミヘンぐらいに掻き鳴らしてみせるんだ」
「よっしゃ、ならミツルにとっておきを譲ってやる」
「とっておきって何?」
「いいから付いて来い」

 そう言われて付いていった場所は倉庫エリアの隅っこにある、長い尻尾の黒猫が描かれた倉庫だった。そこに招かれた僕が見たものは、二メートルはある丸い球体と、同じ大きさぐらいの釣鐘のようなもの、それからそれらよりもう少しだけ大きな円柱の三つだった。

「これが何か解るか?」
「もしかして、これって…」
「ジミヘンを目指すならストラトキャスターぐらい持ってないとな」
「これ、ストラトキャスターって言うの?」
「あーん? ストラトキャスターってのはギターだギター!こいつはなロケットだ、ロケット」
「ロケット? これが?」
「そうだ、所々は破損してるけどな、これだけ状態がいいものは今じゃなかなか手に入らん」
「これ…飛べるの?」
「まだまだパーツは足りんし、そもそも燃料もない…が、それらが揃えば飛べなくはない」
「ほんとに! ?」
「ジミヘンぐらいに掻き鳴らすなら、ミツルにもミツルのギターがいるだろう?」
「カプリコルさん、僕、こいつ組み上げてみたい」
「ロックじゃのぅ!」
「こいつの名前、何って言うの?」
「船体に書かれてる文字からすると、こいつの名前は…ソユーズ!」
「ソユーズか。僕、こいつで絶対四つ目の星、見つけるよ!」

 随分前に落ちた人工衛星の残骸から、太陽電池パネルを引きずり出す。耐熱用に必須なアブレータはここらにはないみたいだ。それでも太陽電池パネルが見つかったのは大きい。しっかりと両手で持ってカプリコルさんの場所まで戻る。

「あっただろ?」
「あったよ、あった! これでアブレータが揃えばほとんど出来上がる」
「……ミツル、楽しそうだなぁ」
「楽しいよ。まぁ、学校のみんなはコスモヨーヨーとか言う子供だましのおもちゃが楽しいらしいけどね」
「ミツルも十分子供なのにのぉ? ふぁっふぁっふぁ!」
「子供な僕に、こんな楽しいこと教えたのカプリコルさんのくせに」
「違いない、違いない。ふぁっふぁっふぁ……んー? ありゃりゃ、面倒なのが来るなぁ」
「何? 監視衛星?」
「いいや、リベルラのやつらだな。今日はさっさと引き上げた方がよさそうだな」
「太陽電池パネルも手に入ったことだし、今日はもう十分だよ」
「そうと決まればさっさと帰ろう。笑いすぎてエアタンクの残量もギリギリじゃわい」
「それは本当に急がなきゃ」

 慌てて僕たちは中へと戻った。




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COMMENT

ソユーズだ!!
ついにロケットが打ち上がるんだ。
ワクワクo(^▽^)o

ロックな爺さん、素敵だなあ!

SFだ!近未来だ!
ストラトキャスターだ!!

続きがたのしみです(≧▽≦)

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