POSITISM

適度に適当に。

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コネクテッド・シグナル 第十三話


ハコニワノベル

 ――五ヶ月前。

 彼が仕事を誰よりも頑張っていたのは、春から私と一緒に暮らすためだった。二人で物件情報を探すのが恒例行事になって、不動産屋に出かけて、実際に物件見て検討したりした。
 ある日見に行ったマンションを始めてみた時、植え込みの手入れ、共有スペースの綺麗さに驚いた。マンションの周りに色んな草木が植えてあって、それもきちんとお世話されていて綺麗だ。その植物の中から管理人さんが現れたのに驚いたりもした。部屋の中を見る前に私は「ここだな」と感じていた。彼もまんざらじゃなさそうだ。
 その後とんとん拍子で話が進み、私達は春からこのマンションで暮らすことになった。家賃は折半、オーナーさんでもある管理人さんに「分譲できますよ」と言われた。「時期が来たらお願いします」と答えておいた。

「決めちゃったね」

「うん」

「えと、不束者ですが、春からよろしくお願いします」

「いや、こちらこそ、その、よろしくお願いします」

 お互いに顔を真っ赤にしながら、かしこまった挨拶をした。彼は私との約束のためにきつい仕事も乗り越えて、毎日ギリギリにところまで追い込んで頑張ってきていた。一途に想われる幸せ。誰よりも大切にされているという幸せ。私ばかりが幸せを感じている気がする。彼は私と一緒にいることで、なにか幸せを感じられているのかな。そう思うと少し申し訳ないような気がして、一緒に暮らし始めたらきっちり家事をこなして、少しでも彼が幸せだと感じられるようにしよう。そう決めた。
 相変わらず彼の仕事は忙しくて、週末もそんなに会えない日々が続いていた。たまに会う彼は疲れた顔をしながら「もう少しで山場を越えるから大丈夫」と笑いながら言っていた。私はそう言う彼に「身体には気をつけてね」としか言えなかった。

「もうすぐ、四月だね」

「うん。四月になったらカナエと一緒に暮らせると思うと、嬉しくて疲れなんて飛んでいくよ」

「だからって無理はしないでよ?」

「解ってるよ」

「……あの、ね」

「どうした?」

「私で、いいの?」

「なにが?」

「その、タカアキと一緒に暮らす人」

「えー?そんなのいいに決まってるよ」

「うん、ありがとう」

 本当は一緒に暮らす人じゃなくて、お嫁さんになる人と聞きたかったのに聞けなかった。付き合って三年で同棲をする。これはそういうことなんだろうと思う。私は彼の支えになって生きていきたい。




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