POSITISM

適度に適当に。

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コネクテッド・シグナル 第十二話


ハコニワノベル

  ――七ヶ月前。

 長崎。中学の修学旅行以来に訪れたその場所は、修学旅行の頃の雰囲気を残しつつ、新しくなる場所は新しく変わっていた。変わらないものを変わらないままに保つのは難しいことなのだと思った。そんなことを考えながら歩く。

「変わらないようで、変わるんだな」

 私が考えていたことを彼が小さくつぶやいた。まるで代弁してるみたいに。

「え、なに?」

「ううん。なんでもないんだけどね」

 なんとなく彼は懐かしむように長崎を見ている気がする。やはりここは彼のゆかりの地なんだろう。予想がほぼ確信に変わる。彼はこの街でどんな風に育ってきたのだろうか。

「なんか、タカアキ懐かしがってるよね」

「え、そう?」

「心の奥で楽しんでるでしょ?」

「んー、どうだろ」

「ま、タカアキが楽しいなら、私はそれだけで嬉しいからいいけどね」

 自分の大切な場所へ、彼が私を連れてきてくれたことが嬉しくて笑った。いつか彼が話す気になれたなら、私は聞きたいことが沢山ある。子供の頃の誕生日、クリスマス。小学生の頃にしたイタズラだとか、カブトムシを捕った話だとか初恋とか。彼がどんな経験を経てきたのかを聞いてみたい。今はまだそれを聞くタイミングではないけれど、その日が来るのが楽しみになった。
 旅行も無事に終わり年末。彼とこたつの中で新年の挨拶をしてから軽く眠りに落ちた。目覚めてから初詣に出かける。簡単にお願いを終えて目を開くと、彼は真剣にお願いを続けていた。気になって聞いてみる。

「ねぇ、何お願いしたの?」

「えーとね、約束を護れますようにって」

「約束?」

「そのために仕事も頑張れるしね」

 そう言いながら少しだけ彼が誇らしげに笑ったのが眩しく見えた。

「もしかしてさ、その約束って……」

「春になったらさ、一緒に住もう」

 恥ずかしいからなのか、少しだけ先に進んで背中越しにそう言われた。嬉しくて涙が出そうになるのを我慢する。

「……うん」

 そう返事をしてから彼の腕に抱きついてみる。彼はここのところ少し痩せたように思う。
 私の願いは「彼と二人、健康で素敵な一年になりますように」だ。あと最近彼が気にしている肩こりも一緒に治るといいな。




≪第十一話へ
第十三話へ≫

COMMENT

一気に読むことになってしまった。

これから二人はどうなるんだろ。
一人は別れを告げ
もう一人はそれを知ってか知らずか。

リアルタイムで読めないまま結末を迎えそう。

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