POSITISM

適度に適当に。

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コネクテッド・シグナル 第七話


ハコニワノベル

 ――七ヶ月前。

 夏の忙しさを越え、緩やかな秋を越え、また忙しい冬を迎える。身体が軋むような感覚がたまにするようになって、流石にいいんじゃないかと自分自身に言い聞かせるようにして、僕は年末から年明けにかけて大型連休になるように休みを取った。久しぶりの連休になる。カナエにその話をすると目を輝かせながら「私も同じ日程で休み取るよ!」と宣言して、翌日には同じ日程で休みを取ってしまっていた。
 連休の前半は旅行。正月休みはゆっくりすることに決まり、旅行先は長崎に決めた。実は僕の故郷だということはカナエにも言っていない。僕には親族も両親も、随分昔に亡くしていてもういない。カナエにはその経緯だけ軽く話したことがあるけれど、それ以来そういった話をカナエは意識的にしないでいてくれていた。なんとなく、自分が生まれ育った場所をカナエと一緒に見てみたくなって、初めて自分の意見を主張して長崎へ旅行することが決まった。

「私、中学の修学旅行以来だよ」

「そうなんだ。僕も十年ぶりぐらいかな」

「でも、なんで長崎にしたの?」

「久しぶりに行きたいなって、思っただけだよ」

「へぇ。でもタカアキが自分のしたいこと言ってくれて嬉しかった」

「なんで?」

「だっていつも私の意見ばかり聞いてもらってるからさー」

「いや、出来ることならカナエのしたいことを優先したいんだって」

「うん。解ってるけどさ、ちょっと優柔不断というか、男らしくないなって思ってたりもするんだよー?それがさ、今回はタカアキが自分で長崎に行くって決めたから、なんかちょっと安心した」

「安心?」

「私がいたら、タカアキは自分のしたいことも出来ないのかなって思ってたから」

「そんなことないけどなぁ。でも、そこまで気を使わせてごめんね」

「ううん。だからこれからも自分のしたいこと、ちゃんと言ってね」

「解った」

 久しぶりに見る故郷は変っていないように感じたけれど、見た目では随分と変わってしまっていた。店先で焼いていたカステラはパッケージされたものが多くなり、お土産屋の定番となったビードロは随分といい値が付いている。子供の頃は高らかに鳴っていたのに、もうその音を奏でることのなくなった教会の鐘。昔の面影がまったくなくなっている小学校、無人に近かった駅も大きく新しくなっている。

「変わらないようで、変わるんだな」

「え、なに?」

「ううん。なんでもないんだけどね」

「なんか、タカアキ懐かしがってるよね」

「え、そう?」

「心の奥で楽しんでるでしょ?」

「んー、どうだろ」

「ま、タカアキが楽しいなら、私はそれだけで嬉しいからいいけどね」

 そう言ったカナエが、本当に嬉しそうに笑った。この笑顔を久しぶりに見た気がして、少し胸が痛んだ。それと同時に未だにスッキリしない肩こりが少しだけ痛んだ気がした。




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第八話へ≫

COMMENT

タカアキ 病気!?
  • 2008.07.13[日]

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