POSITISM

適度に適当に。

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コネクテッド・シグナル 第六話


ハコニワノベル

 ――一年前。

 季節はめぐり、また夏になった。去年と同じように仕事が少しずつ忙しくなってきている。終電近くの電車に乗り込み家へと帰る。音楽プレイヤーのランダム再生で曲を送るけれど、聴きたいと思う曲が出てこないので電源を切った。もたれかかった近くにある窓から変わらない景色を眺めて深いため息が出る。反射した自分の顔が疲れている。
 どんなに忙しくても、カナエと約束した春に一緒に暮らすことを思えば、大抵の事は乗り越えられると思っている。少しでも貯金を増やしておけば、お互いにとって好条件の場所で生活ができるかもしれない。そう考える事でなんとか自分を保てられていた。連日のハードワークで目が痛む。肩こりは去年の年末から続いている。デスクワークで腰も痛い。
 電車が最寄駅に到着する。気付かなかったけれど少しだけ延着していた。飲んだ帰りの若者は楽しそうに、僕と同じように仕事帰りのサラリーマンは、どこか身体を引きずるように歩いていく。乗っていた電車が遠くへと走り去っていくと、駅は静まり返った。同じように身体を引きずるように家へと向かう。
 携帯電話を取り出して、カナエに電話をかける。

「ん……タカアキ?」

「あ、ごめん。寝てた?」

「うん。でもいいよ。どうした?」

「いや、ちょっと仕事が忙しくてさ。カナエにも会えてないし。いや、今はちょっと声が聞きたくなったんだけど」

「そっか。お疲れ様。身体大丈夫?」

「うん、ちょっと疲れがたまってるけど、大丈夫だと思うよ」

「ほんとに大丈夫?最近ちょっとやつれてきてない?」

「そうかなぁ?」

「ちゃんとご飯食べてる?」

「それなりには食べてるよ」

「ほんとに大丈夫かなぁ……心配だよ」

「ありがとう。でも仕事があるのは幸せなことだから頑張るよ」

「無茶しないでね?疲れてるんだったら、今度の休みは無理して会わなくてもいいよ?」

「無茶はしないけど、カナエと会えないのは悲しいかな」

「じゃぁ、今度のタカアキの休みは、私がタカアキの家に行くよ。タカアキは寝てていいから」

「あはは。じゃぁ、休みの前の日は徹夜で掃除しないと」

「んもー、そういうことしなくてもいいんだって」

「ごめんごめん。でも助かるよ。ありがとう」

「私だって、タカアキと会えなくて寂しいんだから……」

「去年と同じ感じだから、夏を乗り越えたら少し落ち着くはずだから、もうちょっと我慢だね」

「解ったよーだ」

「それじゃ、夜遅くにごめん。また休みの日にね」

「うん。ちゃんとご飯食べて、しっかり寝てね」

「ありがとう。それじゃ、おやすみ」

「おやすみ」

「……好きだよ、カナエ」

「私も、タカアキのことが好き」

「うん……それじゃ」

「うん」

「おやすみ」

「おやすみ……ってなかなか切れないね」

「じゃぁ、せーので切ろう」

「いいよ。せーの」

 勢いを付けるように終話ボタンを押した。




≪第五話へ
第七話へ≫

COMMENT

会いたくても会えない大人の恋愛。。。

自分が無理してるときほど、相手の存在が力になりますよね。

どうなるんだろ。

恋は猛毒か。(違
  • 2008.07.12[土]

この電話のやりとりはリアルやなぁ。。

相手の存在があることで、ギリギリの状態を乗り越えられる強み
それだけの相手なのに、別れを切り出す理由
気になるなぁぁぁ

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