POSITISM

適度に適当に。

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晴色パラソル - 第七雨 -


ハコニワノベル

 雨は上がっていて、世界は綺麗に洗われていた。

 お気に入りの黒いワンピースに袖を通す。髪の毛をアップにするかしないかで迷った。メイクもなんだか完成形がイメージできなくて思ったように進まない。そうこうしているうちに時間はどんどん過ぎていく。軽くお昼ごはんを食べて行くつもりだったけれど、お昼は抜きになってしまうだろうな。時折時計を確認しながら準備を続ける。髪の毛はアップにしていくことにした。天気予報で雨が降るかもしれないことを知ったからだ。メイクも普段職場に出掛けるときより少し柔らかい感じにした。今日はセクシー、綺麗系よりも可愛い系にした方がいい。きっと私は泣くだろうから。

 - 第七雨 -

 最近愛用している青い傘を手にとって玄関を開けた。日差しがそこらじゅうをキラキラ輝かせて眩しかった。少し目を閉じ気味にして外へ出る。急がないと間に合わなくなりそうだ。──突然、声をかけられた気がして、振り返る。そこには雨の日によく見かけた彼がいた。

「あれ?雨降ってないのに出てきてるなんて珍しいね」

 急いでいるはずなのに声をかけてしまう。なぜだろう、彼になら何でも素直に話せる気がする。彼は私の話を嫌な顔せずに聞いてくれていた。



「私ね、これからデートなんだ」



 心の中で、今日はデートじゃない。そう思いながらもなぜか笑顔で話していたかった。



「付き合って丸三年でさ、彼が大事な話があるって言うんだ。やっと結婚してくれるのかな?」



 違う。きっとそんな明るい話じゃない。想いとは裏腹に私は楽しそうに話してしまっている。



「ちょっと気合入れてメイクしてたら、時間に遅れそうなんだ。だからちょっと駆け足で行ってくるね!また報告するよ」



 ほぼ一方的に会話を終わらせると、私は駅までの下り道を意味も無く駆け下りた。乗ろうと思っていた電車には間に合わなかったけれど、約束の時間には十分間に合うだろう。次に来た電車に乗って海岸が目の前に広がる駅へと向かう。流れる景色を眺めながら、乱れた呼吸をゆっくりと整えた。
 心の準備とは裏腹に電車は目的の駅に到着した。空はまだ青空が続いている。ゆっくりと改札を出て喫茶店へ向かう。あのころと変わっていない喫茶店が見える。時間を確認すると午後十二時四十分を指し示していた。彼はいつも約束の時間に少しだけ遅れてやってくる人だったから、きっと今日もまだ来ていないと思っていた。でも、彼はすでに窓際の席に座っていて、私が喫茶店に入ると軽く手を挙げて合図をした。席へ案内しようとする店員さんに少し謝りながら、私は彼の座っている窓際の席、あの最初のデートで座った同じ席へと向かった。

「早かったね」

「それは真也の方でしょ」

「そう言われれば、そうか」

「うん」

「………」

「………」

「ご注文はお決まりでしょうか?」

「あ、えーっと…」

 オーダーを取りに来た店員さんに驚きながら慌ててメニューを見る。彼の前にはアイスティーが既にあって半分ほど飲まれていた。

「ナポリタンを」

「かしこまりました」

 一瞬、彼が驚いた視線をこちらに投げかけたけれど、すぐに視線を逸らす。

「ごめん、お昼食べてなくてさ」

「……そっか」

 依然として空気は重たかった。窓の外を眺めると海の向こう側の空が少しずつ曇り始めていた。




≪第六雨へ
第八雨へ≫

COMMENT

あかん。
辛すぎる。

しかし、雨の日に出て来ているカレは人間なのか?
  • 2008.06.10[火]

がんばれ><

雨降ると、確かに髪の毛アップにするよ。。。。。

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