POSITISM

適度に適当に。

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晴色パラソル - 第六雨 -


ハコニワノベル

 本当は気付いていた。別れ話になるってこと。

 海岸近くの喫茶店。有名でもなんでもない、一般的な喫茶店。彼が最初のデートで私を連れて行ってくれた店。海が見える窓際の席で、私はアイスティーを飲んでいて、彼はナポリタンを食べていた。時間は確か午後三時半を過ぎたあたりで、海が太陽に照らされてキラキラと輝いて綺麗だった。その後二人で砂浜に下りて意味も無く海を眺めていたり、遠くを行き交う船を眺めていた。

 - 第六雨 -

「俺さ、ここ好きなんだよね」

「私も好きだな、ここ」

「なんかさ、海が包み込んでくれるみたいじゃない?」

「あー、なんか解る。優しい場所だよね、ここ」

「だからあまり人に教えたくないんだよね」

「そっかー、秘密の場所なんだ」

「そういうこと」

 嬉しかった。
 彼がその秘密の場所に私を連れて行ってくれたことが。彼が人に教えたくないということを、私に教えてくれたことが。そう言いながら少し恥ずかしそうに笑った彼の横顔が素敵だった。その日は夕陽が赤々と海に沈み、星が空に散らばるまでそこで他愛も無い話をずっとしていた。それがとても幸せだった。
 付き合い始めて二年が過ぎたころ、彼が私を避けているように感じることが多くなった。私自身の仕事が忙しくなったのも原因の一つではあると思う。月に二回から三回は会っていたのが、次第に月一回になり、気が付けば今では三ヶ月近くも会っていない。それに比例するようにこちらからのメールの返事ですら彼がしてくれなくなった。たまに会えた日もお互いに無言が続くことが多くなっていた。

「ねぇ、どうしたの?何か私悪いことした?」

「別に…」

「じゃぁ、どうしてそんなに怒ってるの?」

「怒ってないよ」

「えー、それ怒ってるでしょ」

「だから、怒ってないって!」

「……!!」

「………ごめん」

「………」

 彼が私をあからさまに面倒に思っているのは解っていた。解っていたけれど、確定的な何かを言われたわけじゃなかったので、私はとにかく耐えようと思った。少なくとも、彼の口から終わりを告げられるまでは。私は、彼のことが好きだったから。それも今日までかも知れない。きっと、彼は今日、私に………。
 ──遠くで振動が響いている。
 伸ばした腕の先に携帯電話。画面も見ずにアラームを止めた。枕に顔をうずめる。準備をして出掛けたら、きっと終わりが来てしまう。行かなければ終わりは来ない。その代わりに続きは始まらない。きっと何も起こらないだろう。しばらく枕に埋もれているとサァサァという音が聞こえた。その音が心地よくて静かに目を閉じたまま、その音に耳をすませた。

「真也はいくつぐらいで結婚とかしたい?」

「なんだよそれ」

「あ、別に深い意味はないよ。ただどんな未来を想像してるのかなぁって」

「……考えたことないなぁ」

「そっか。実は私もあまり考えたことないんだよね」

「なんだよそれ」

「あははは」

 軽く眠っていたらしい。窓の外からはもう音が聞こえなかった。携帯電話で時間を確認するとあまり余裕がなくなっている。一度強く目を閉じてから一気に身体を起こした。




≪第五雨へ
第七雨へ≫

COMMENT

わかってるけど自分が動いて終わらせなきゃいけないときって
本当に体が重くて感覚がにぶいよね。。

昔の自分みてるみたいだ><

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