POSITISM

適度に適当に。

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晴色パラソル - 第二雨 -


ハコニワノベル

 夜、目が覚めると雷雨は過ぎ去っていた。

 外にでると、世界は洗い流されて輝いているように見えた。目の前の通りも、自分の家も綺麗になっている。そのまま視線を遠くへ投げかけると、空が向こうから白くなっていくのが解った。夜明け。どうやら今日は晴れるみたいだ。
 ゆっくりと全身を伸ばしてから家に入る。部屋の奥にあるベッドに戻り、また目を閉じた。晴れの日はあまり得意じゃない。生まれたときから日差しが苦手だ。それに、あのぽっかり浮かんだ空のような傘は見られないだろう。目を閉じて眠ることにした。ゆっくりと太陽が昇るように、僕はゆっくりと眠りに落ちた。
 再び目が覚めると綺麗な夕焼けが見えた。ゆっくり身体を起こし、いつものように通りに視線を移した。そのとき丁度、彼女が少し息を切らせて緩やかな坂道を上ってきているのが見えた。夕焼けと重なったシルエットが綺麗だった。彼女はそのまま僕に気が付くこともなく通り過ぎて行く。同じように太陽も何事も無く沈んでいった。空が赤から深い青に変わって、ところどころに星が瞬きはじめた。

 - 第二雨 -

 空に月が昇ると、暗くなった通りもぼんやりと明るさを取り戻す。静かな夜。

「彼女の家は、どこなんだろう」

 ふと気になって、夕焼けが沈む頃に目の前の通りを上っていった彼女のことを思い返す。気が付いたら外に出て歩いていた。月はたまに雲に隠れながら僕を照らしている。ゆっくりと彼女が上っていった通りをなぞるように歩いていく。しばらく歩くと信号が見えた。その脇に立てかけられている大きな看板には国道二号線と書かれていて、車が何台も通り過ぎて行く。急に馬鹿馬鹿しくなって振り返えると、まばらに輝く家の照明と月明かりに照らされた山、そしてその先に真っ黒な海が見えた。遠くから船の汽笛が低く響いてくる。

「明日、会えるといいな」

 そう独り言を零してからまた家まで、今度は下りながら歩く。空を見上げると来たときよりも星が沢山見えた気がした。
 ──突然、目の前が真っ白になる。ヘッドライト。そして下品なエンジン音。僕の真横を青い車が勢い良く通り抜けていった。カーンという音を遠くで響かせ、ガソリンの臭いだけを残して走り去った。まるで空気を切り裂いて飛んでいくロケットのようにも見えた。僕はそれを見届けると、また家まで歩く。家に着いてから簡単に食事を済ませて、しばらく星を見上げてからベッドに潜り込んだ。
 サァサァという音で目が覚める。既に朝はやって来ていて、霧のような雨が降っている。空を見上げると薄い雲が見えた。きっと通り雨だろう。相変わらず通りには透明と黒の花が咲き乱れている。小学生が通ればたちまち黄色やピンクといった華やかな花が咲き誇るだろう。僕はまたのっそり起き上がって外に出ると、あのぽっかり浮かんだ空を探し始めた。

「いないなぁ」

「もう行ってしまったかなぁ」

「今日は来ないのかなぁ」

 気が付けば独り言を繰り返していた。しばらくすると雨は上がった。雲間から太陽が現れて光が溢れていく。徐々に薄い雨雲は風に流されてどこかへ旅立ってしまい、さっきまで雨が降っていたのが嘘みたいに青空が広がった。

「晴れちゃったな」

 少しだけ日差しに後退りながら、頭の中でまだ彼女を探している自分が少し可笑しくて笑った。それからほんの少し後、青い傘を片手に持って黒いワンピースを着た彼女が歩いてきた。突然でどうしていいのかも解らずに声を出してしまった。

「あの…」

「あれ?雨降ってないのに出てきてるなんて珍しいね」

「さっきまで振ってたんだけどね」

「私ね、これからデートなんだ」

「そう、なんだ…。いいね、なんだか楽しそう」

「付き合って丸三年でさ、彼が大事な話があるって言うんだ。やっと結婚してくれるのかな?」

「どうだろう。解らないけど、君がそれで嬉しいのなら、そうなるといいね」

「ちょっと気合入れてメイクしてたら、時間に遅れそうなんだ。だからちょっと駆け足で行ってくるね!また報告するよ」

「うん。気をつけて行ってらっしゃい」

 別に悲しくはなかった。ただここで出会っただけの人だ。彼女が嬉しくなることが起こるなら、僕はそれだけで十分だと思う。




≪第一雨へ
第三雨へ≫

COMMENT

RSSリーダーにあがってこない。。。
キーワードが多いけどどうなるんだろ。
楽しみだにゃん。
今回もいろいろ想像(妄想)しながら楽しませてもらいます。

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