POSITISM

適度に適当に。

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アーケードの向こう側 - 第十七話 -


ハコニワノベル

 走る、走る、走る。自分の思うままに。いつだって自由はそこにあった。だから走る、走る、走る。視線の先にミユキが吹き飛ばしたであろう『南凪町アーケード』と書かれた看板が転がっているのが見える。カズミが元に戻した入り口はそのまま残っていた。一度覗き込んでから中へ入る。

「ナナー?おーい、ナナ?元気かー?」

 返事はない。Y字の分岐点にあった商店はミユキに消されたままになっていた。元々商店があった場所へ進んでみても、六角形の中に入れそうな場所は見付からなかった。

「もしかして、店の上に登らないといけないのか?」

「ユウキ、聞こえるかー?」

 いきなりカズミの声が聞こえて慌てた。しかし周りを確認しても誰もいない。

「なんだ空耳か」

「空耳じゃないぞ」

「わー!」

「そんなに驚くな。お前の体内にあるピコマシンで通信をしてるだけだ」

「いや、驚くだろ」

「お前の『繋ぐ』力はな、とにかく強く思うことが大切なんだ。遮断しているものに手を向けて、その先にある繋がりたいモノを強く思うんだ。それが出来れば力は使える。例えそれが入れなくなってるエリアでもだ」

 右手をアーケードの六角形へ向けて目を閉じる。その中にいるだろうナナのことを考えた。しかし何も起こらない。もう一度強く思ってみても何も起こらなかった。

「おい、何も起きないじゃないか」

「そりゃ、あれだな。思いが足りないんだよ。もっと強く!なんだったらその思いを叫ぶんだ!」

「………」

 もう一度、右手を六角形へ向けて目を閉じる。一度大きく息を吸い込んでから叫んだ。

「ナナ!俺だ!ユウキだ!迎えに、来たぞーっ!」

 一瞬、身体が浮いたような感覚がしたと思ったら、すぐに重力を感じてその場に倒れた。目を開けると真っ暗でどこにも明かりがない場所だった。

「ここが、六角形の中?」

「…そう……みたい…だぞ……」

「カズミ、なんか途切れ途切れにしか聞こえない」

「こっ…ちも……途切れ……れに聞こ…え……」

「何か明かりに出来るものを持ってたら良かったな」

「…………で…」

「おい、カズミ?カズミ??」

 それ以上カズミの声は聞こえなくなった。

「さっさとナナを連れて帰った方が良さそうだな」

 とりあえず手探りで六角形の壁に辿り着いた。そこから左手を付けて歩き出す。何も見えない。何も聞こえない。自分がどっちに向かっているのかすら解らない。壁に付けた左手だけが、自分の位置を把握する手段だった。壁が折れ曲がっている部分を六回通り過ぎた。ナナは見つけられなかった。きっと六角形の中心付近にいるんだろう。七回目の折れ曲がっている部分で立ち止まる。これで丁度一週。大きく息を吸い込んでから、左手を離して中心の方へ歩き出した。
 少し暗闇に目が慣れてきたのか、前に伸ばした自分の腕ぐらいなら見えるようになった。それでも何も見えないことには変わらない。それでも歩いていく。このまま真っ直ぐに歩いていけば、例えナナを見つけられなくても壁にはいつか辿り着く。途中で迷っていろんな方向へ進むと壁にすら辿り着けなくなってしまう。今どれぐらい自分が進んできてるのか解らない。戻りたくなる衝動を抑えながら歩く、歩く、歩く。しばらく進むと壁に辿り着いた。もう一度別の方向へ歩く、歩く、歩く。壁。もう一度、もう一度と何度も暗闇の中を歩いた。
 何度目か、もうナナに会えないんじゃないかと思い始めたときだった。足元に薄く緑色の光が浮かんでいるのを発見した。暗闇の中でどうして今まで見つけられなかったのだろうと不思議なほど、その光は柔らかく輝いていた。その場所に立ち止まると、ほんの少し先に見覚えのある後姿があった。

「ナナ!」

 駆け寄ると、ナナらしき後姿は別の場所に移動した。移動した場所はまたほんの少し先。また追いかける。近付くとまた別の場所へ、まるで磁石の同極同士を近付けているみたいに、駆け寄っては離れていくを繰り返した。右手をナナへ向けて目を閉じた。

「ナナ!もう大丈夫だ!一緒に帰ろう!」

 叫んでから目を開いた。一瞬の浮遊感のすぐあとにナナの目の前に移動している自分がいた。すかさず手を繋ぐ。ナナはそれ以上離れていくことは無かった。ただ、意識はなく寝ているようなナナは涙を流していた。
 暗闇の中にあった緑色の光が点々とそこら中に現れていく。手を繋いだナナもその光のように輝き出した。これが強制的に排除されるということなのだろうか?ナナを抱きしめて右手を前に向ける。

「絶対に連れて帰るからなっ!」

 一瞬の浮遊感。目に飛び込んでくる薄暗いアーケード。それから着地。六角形の外に戻ってきた。腕の中を見ると益々涙を流しているナナがそこにいた。そしてナナはまだ光り続けている。

「おい、カズミ!聞こえるか?」

「…ユウキ、無事か?」

「俺は大丈夫、でもナナが緑色に光ってるんだよ」

「……始まってしまったか…もう間に合わないかもしれない」

「ちょっと待てよ、何が間に合わなかったんだ?強制排除はまだされてないだろ?だってナナはここにいるじゃないか!」

「…いや、ナナちゃんは、もうそこにはいない」

「いや、いるよ!ここにいる!」

「……ちゃんと受け入れろ。もう、そこにナナちゃんはいない」

 腕の中をもう一度見る。ナナの身体は緑色に輝きながら透けていた。

「いる!ここにいる!」

 叫んでみたものの、腕の中のナナはどんどん薄く透けていき、重さを感じなくなっていく。

「嘘だ、こんなの嘘だ!」

 ──そして腕の中からナナは消えてしまった。

「ナナァァァァァァァーーーーーッ!!!」




≪第十六話へ
第十八話へ≫

COMMENT

なななな、ナナちゃん?!
あわわわわ(汗)

7つ目の角とナナちゃんは関係あるのかなぁ…?
(ドキドキ)

ナナァァァァァァァ…(´;ω;`)ダバァッ…

ナナァァァァァァァァァァ!!

ナナはステップアップしてハチになり、2つを結ぶ∞な存在に(妄想)

ナナァァァァァァァァァァァァ!!!><

ナナも名前になにか関係あるのかしら。。

ナ、ナナちゃーんっ!!!!!

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