POSITISM

適度に適当に。

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アーケードの向こう側 - 第十二話 -


ハコニワノベル

 時刻は正午前。商店街の人通りは今まで見た中で一番多い。『南凪町アーケード』へ向かって進んでいく。外に出られない市にある、中に入れない場所。ナナがいなくなってから、『南凪町アーケード』を図書室の本や、設置されてるパソコンのインターネットで調べてみたものの、どこにもそのアーケードの情報なかった。アーケードの中にあった『南凪神社』でさえ、どこにも情報がない。人気もない、薄気味悪いアーケードそのものが、なんだか異質に感じた。しばらく歩くと『南凪町アーケード』と書かれた看板の前に辿り着いた。
 覗き込んで見ると、いつもと変わらず人の気配は無かった。大きく息を吸い込んでからアーケードを進んでいく。Y字の分岐点から左の道へ進む。何も変わりはないままY字地点に戻ってきた。今度は右側の道から進んでいく。しばらく進むと『南凪神社』の鳥居が見えた。神社の中に入ると、この前と何も変わらないまま小さな神殿と賽銭箱だけがぽつんと置いてあった。
 財布から十円玉と取り出して賽銭箱に入れた。両手を合わせてただナナの無事を祈った。

「やっぱり来ちゃったか」

 突然後ろから声が聞こえて振り返る。鳥居の後ろに人影があった。なぜか初めてこのアーケードに入った日に見た人影のように見えた。恐る恐る、その人影に近付く。

「誰だよ、お前」

「さぁ、誰でしょう?」

「ナナをどこにやった」

「知らなーい」

「この六角形の中にナナがいるのは解ってるんだぞ!」

「……だから、なに?」

「お前がナナをそこに連れて行ったんだろ」

「それは、どうかしら」

「ナナを返せ!」

「………ナナ、ナナ、ナナ」

「?」

「さっきからナナばっかり。バカみたい」

 そこまで言うと人影は鳥居の後ろから出てきた。その人影が薄暗いアーケードの僅かな光で照らされる。

「なんで…、なんで、ミユキちゃんが…ここにいるんだよ」

「さぁ、なんでかしらね」

「ミユキちゃんが、ナナを連れて行ったの?」

「……そうよ。それがどうかした?」

「なんで!友達じゃないか!」

「友達?…あはは。私、ナナと友達だったなんて一度も思ったことないよ?」

「じゃぁ、なんでいつも一緒にいたんだよ!」

「…ほんと、男の子は鈍いなぁ。私が一緒にいたいのは、ユウキ君だけ」

「またその話になるのかよ…」

「でも、私がアナタと一緒にいたいっていう気持ちは、誰にも負けてないよ?もちろん、ナナにだって負けてない」

「なんでそこまで………」

「それはね、アナタが私の白馬の王子さまだからよ」

 ミユキちゃんは微笑みながらゆっくりと、でも確実に近付いて来た。優しい微笑のはずなのに、その顔を見ていると背中に冷や汗がどんどん出てくる。なぜかそこから動くことさえ出来なくなってしまった。一歩、また一歩とミユキちゃんが近付いてくる。そしてそのまま抱きしめられた。ミユキちゃんはそのまま続ける。

「覚えてる?私とアナタが最初にクラスが同じになったときのこと」

「さ、三年生のとき、でしょ?」

「そう。私ね、二年生までいじめられてたの。知らないでしょ?」

「うん…、初耳」

「もちろん、三年生のときのクラスに、前のクラスの子もいたわ。だから私、またいじめられるんだろうって思ってた。そしたらね、アナタが現れた」

 ミユキちゃんの髪の毛からシャンプーの香りがする。優しい香りとは裏腹に、話を続けるミユキちゃんの腕はがっしりと、俺を掴んで離してくれそうになかった。自分の心臓の音がどんどん早くなっていく気がした。

「前のクラスで私をいじめていた子が、私のふでばこをワザと落としたときに、アナタは散らばったえんぴつを拾い集めてくれた。『ごめんなさい』と言った私に『こういうときはありがとうでしょ?』って笑ってくれた。私を受け入れてくれたの。あのときから、私はずっとアナタのことが好きだった」

「いや、それは当然のことをしてるだけで…」

「なのに、私がこんなにアナタのことを大切に思っているのに、あなたは私の近くにいてくれるのに、絶対に私に振り向いてくれなかった。アナタの隣にはいつもナナがいたから」

「ち、ちょっと待って、もしかしてそれだけでナナを連れて行ったのか?」

「ほら、今もそう。こんなに私が近くにいるのに、アナタの心の中にはナナ、ナナ、ナナ!私のことなんて、これっぽっちも考えていない」

「いや、それはさ、なんと言うか、ちょっと違うと思う」

「だから私、ずっとナナを消してやろうと思ってたの」

「……消す?」

「それなのに、いつもアナタがナナの側にいるから、消せなかった。ナナがこのアーケードに来ると言ったとき、チャンスだと思ったわ。人気のいない場所じゃないと消すのも大変だからね」

「消すってなんなんだよ…」

「ナナはアナタと一緒にやって来た。だから私は一旦隠れたの。それなのに、ナナはアナタと腕を組んで歩いて来たじゃない。悔しかった。私のアナタを独り占めしようとした。だから脅かして二人を別々にしようと思ったの、空き缶の音でね。まぁ、それも失敗しちゃったんだけどね」

 抱きしめている腕の力が強くなった気がした。密着しているはずのミユキちゃんの身体はまるでそこにいないように暖かさが感じられなかった。




≪第十一話へ
第十三話へ≫

COMMENT

もう、最初っからなーんかイケスカナイ女だと思ってたわっ!
こう言う、ちょっとおとなしめの「うふふ」女、だいっきらいなのよっ!
むきーっヾ(`◇´)ノ

やっぱりミユキちゃんは怖かった!><
女の感はあたるのよっ

みみみみみミユキちゃん?!
あわ、あわわわわ(汗)

(落ち着け)

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