POSITISM

適度に適当に。

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アーケードの向こう側 - 第十一話 -


ハコニワノベル

「遊凪市から出られないのと同じように、遊凪市の中で誰も入れないエリアがある」

 オレンジジュースの入ったコップをテーブルに置きながら、カズミは話を続けた。

「それが『南凪町アーケード』だ」

「それって『フツウのアーケード』じゃないかよ。あそこなら入ったぞ」

「正確に言うと、あのアーケードは六角形になっていて、その内側が入れないエリアだ。そこを調べるために私達は最近あの付近で調査をしていたんだ。それが次第に窃盗団の噂になってしまったんだよ」

「カズミ達は何者なんだよ…」

「科学者だ。これでも世界に一目置かれるほどなんだぞ。私は」

「いや、その話は何度も聞いたことがあるけどさ…、ってそれ本当の話だったのか?」

「なんだよユウキ、嘘だと思ってたのか?」

「いや、本当だと思えないだろ…」

「とにかくだ、私達はこの遊凪市の秘密を解明するため、夜に活動してるんだよ」

「なんか、ちょっと前に働いてるお前に感動したのがバカらしくなった…。それより、ナナはどこにいるんだよ!」

「この遊凪市で消えると、もともと存在自体がなくなったことになるんだよ。知ってる人達の記憶もその消えた人の部分だけ綺麗に消されてる」

「今日、学校のやつら全員ナナのことを知らなかった。……でも、なんで俺は覚えてるんだ?それにカズミも覚えてるじゃないか」

「それは、その、あれだ…、えーっとだな…」

「ここまで来てもったいぶるなよ」

「いや、なんて言うのかな、言い辛いんだよ」

「何が言い辛いんだよ」

「あ!要するに特別なんだ。特別。ユウキと私は特別なんだよ」

「…カズミ、俺の身体に何かしてるんだろ?」

「し、してないよ!してない。うん。してない、してない」

「話しているときはその人の目を見るって、学校で習ったぞ」

「う…、と、とにかくだな、今はナナちゃんだろ?」

「それはそうだけど…」

「あのな、あまり時間が無いから手短に話すけど、この遊凪市から姿を消した人っていうのは少なくないんだよ。別に事故にあったわけでも、連れ去られたわけでもない。ただ姿を消してしまうんだ。それこそ、今回のナナちゃんみたいに」

「……あのさ、その発信機だっけ?ナナに付けてたやつの反応はどうなるってるの?」

「そこなんだよ。今まで消えた人の発信機は、その人が消えるときに一緒に消えてたんだ。だけどな、ナナちゃんの発信機は反応が残ってる」

「それどこ!?」

「え?……いやぁ、それがさぁ…、『南凪町アーケード』の六角形の中なんだよ。あそこ、誰も入れないようになってるはずのに」

「解った!ありがとう!」

 ソファから飛び降りる。ナナは消えてなんていない。まだあの『フツウのアーケード』の中にいるんだ。

「ユウキ!ちょっと待て!お前は子供だろ、これ以上関わっちゃいけない。おい!聞いてるのか?待て!まだ大事なこと話してないんだぞ」

「悪い!あとでちゃんと聞くから!」

 カズミが制止したのを振り切ってナナの家を飛び出した。とにかく駅に向かって走る、走る、走る。
 駅で切符を買うときに、うっかり二枚買いそうになった。ナナがいつも電車賃を出させるからだ。乱れた呼吸のまま電車に乗った。自分の呼吸音と心臓の音がやたらとうるさく感じる。電車が南町に到着しても心臓の音はうるさいままだった。
 改札を抜けて商店街の入り口まで移動する。相変わらず『南町商店街』とでかでかと書かれているのを見上げた。

「やぁ少年」

「え?」

「また会ったな、少年」

 『花屋ATASHI』の中から声が聞こえる。しばらくすると店の中からストライプのジャケットを羽織ったジュジュさんが出てきた。その姿が完全に見えた瞬間に、思い切り首を捻って視線を逸らした。羽織ったジャケットの下は、首からへその下までが割れているような服で、この前と違って紐すらなかった。まったくもってこの人が何をしたいのか解らない。

「ん?どうした少年」

「いや、その、なんて言うか、格好が…」

「あぁ、このジャケットか?いいだろ。オーダーメイドなんだぞ」

「いや、そこじゃないけど…」

「さ、少年。バラの花束なんてどうだい?」

「何がですか?」

「好きな人でも迎えに行くんだろ?だったらバラの花束だ」

「いや、いらないです」

「じゃぁ、カーネーションだな」

「それ、母の日の売れ残りでしょ?」

「ほんとあたまいいな、少年」

「今日は、ちょっと急いでるので…」

「じゃぁ、これなんてどうだ?」

「な、なんですか?そのでかい鉢植えは」

「ん?極楽鳥花」

「ご、ごくらく?」

「ストレリチアとも言うな」

「いや、まったくもっていらないです」

「花言葉は…万能。私みたいだな。どうだ?欲しくなっただろ」

「いや、いりません」

「じゃぁ、私が欲しくなったか」

「いや、いりません」

「手強いな、少年」

「じゃぁ、俺もう行くんで」

「少年、また来いよ」

「別にジュジュさんに会いに来たわけじゃないです」

「あっはっは。待ってるからな」

 そう言って笑いながらジュジュさんは店の中に入っていった。その背中はジャケットが羽織られているので見えないもののスカートからは、足の付け根から見えるほどのスリットが入っていて、さっきとは逆方向に首を捻って視線を逸らした。




≪第十話へ
第十二話へ≫

COMMENT

カズミさんが熱い!
次は何を言い出すんでしょう、この人www

んで、加速するセクスィー店長、次は何を着て出てくるんでしょう
つか、何か着て出て来てくれるんでしょうか・・・o( ̄ー ̄;)ゞ

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