POSITISM

適度に適当に。

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アーケードの向こう側 - 第十話 -


ハコニワノベル

「お前、学校はどうしたんだ?」

「それどころじゃない」

「何がそれどころじゃないだ、お前は小学生だろ?ちゃんと学校に戻れ」

「いや、なんでお前がナナの家から出てくるんだよ!」

「……そ、それはだな、うーん。大人の事情だ」

「ふざけるな!お前、何してたんだよ!?」

「あぁ、もう、大きい声出すな。………こうなったら、仕方ないよなぁ」

「なんの話だよ」

「ユウキさ、窃盗団の噂話とか知ってるか?」

「窃盗団?なんでこんなときに噂話なんてしなきゃいけないんだよ」

「知ってるのか?知らないのか?」

「南町商店街にある『フツウのアーケード』に出るって噂のだろ」

「よーし知ってるな。でもなぁ、うーん、どういう順番で話せばいいんだろうな…」

「なにもったいぶってんだよ!」

「あのな、驚かずに聞くんだぞ。私はその窃盗団と呼ばれている人達の一人だ」

「……は?」

 突然過ぎて意味が解らない。窃盗団は噂話で、ナナはその窃盗団を捕まえようとしていた。その噂の窃盗団の一人がカズミ?と言うことは窃盗団というのは噂話ではないことになる。

「ちょっと待てよ、意味が解らない」

「そうだよなぁ、いきなり言われて解るわけないよな」

「というか、なんでお前がナナの家の中から出てくるんだよ!」

「だから窃盗団って呼ばれるんだけどな。まぁ、実際は窃盗なんてしてないけど」

「じゃ、何してたんだよ!」

「確認だよ」

「確認?」

「そ、ナナちゃん消えたろ?その確認だ」

「なんでナナが消えたことをお前が知ってるんだよ!」

「発信機だ」

「は、発信機?」

 益々話が見えなくなって混乱してきた。カズミは何を言っているんだろうか。力が抜けて壁にもたれ掛かった。呼吸はまだ乱れている。

「いつも私が部屋の中でやってるのは監視なんだよ。悪いとは思ってるけど、お前にもナナちゃんにも発信機を取り付けさせてもらってた」

「何のために?」

「んー、話が長くなるから、ちょっと入れ」

 そう言ってカズミに促されるまま、ナナの家にあるソファに座らされた。「何か飲むか?」と聞かれたが首を横に振る。カズミはナナの家の冷蔵庫からオレンジジュースを勝手に出してコップに注いで持って来た。コップをテーブルに置きながら対面のソファに座る。

「遊凪市って知ってるか?」

「ここのことだろ」

「じゃぁ、他の市で知ってる場所あるか?都道府県でもいい」

「授業で習ったり、テレビでなら見たことあるけど?」

「実際に行ったことあるか?」

「…ない。というかお前、どこにも連れて行ってくれないじゃないか」

「連れて行ってないんじゃない。連れて行けないんだよ」

「いつも家の中にいる屁理屈じゃないのかよ、それ」

「このことを知っている人間は少ない。私の仮説だけどな、遊凪市から外へ出ることが出来なくなっているんだよ」

「はぁ?なに言ってるんだよ、それはないって。だってナナとかよく長期休みに北海道だの沖縄だの、それから海外にだって行ってるんだぞ?」

「それが書き加えられた記憶だったら?」

「いや、もう、さっきから意味が解らねーよ」

「遊凪市の人口知ってるか?」

「それなら授業で習ったから知ってるよ。三万四千五百八十三人だろ。暗記してたんだ」

「十年前は何人か知ってるか?」

「いや、それは知らない」

「三万四千五百八十三人だ」

「…え?」

「ついでに、二十年前も三万四千五百八十三人。三十年前も三万四千五百八十三人だ」

「いやいや、それ変だろ。事故とか寿命で亡くなった人とかいるし」

「そうだな。それに新しく生まれてきた人もいる。それでも三万四千五百八十三人という人数はずっと変わっていない」

「…そ、それって、なにか関係あるのか?」

「ある日、たまたま人口を調べてたらずっと人口が変わっていないことに気が付いた。それで、手当たり次第にいろんな人に発信機を取り付けたんだよ」

「手当たり次第ってどれぐらいだよ」

「今ならざっと三万人」

「ほぼ全員じゃねーか」

「苦労したんだぞ、発信機の開発から取り付けまで。開発資金は美崎さんに出してもらってたし、取り付けるために美崎さんと集めたスタッフで勝手に家に忍び込んで取り付けたり、そりゃもう大変だったんだ」

「ナナの両親を巻き込んでるのかよ。というか話がとんでもない方向に行き過ぎで、何をどう理解したらいいのか解らん」

「まぁ、私の苦労話はいいや。でな、ある人が海外旅行に行くことになったんだよ。で、旅行に出発してからずっとその人の発信機を監視してたんだ。そしたら、その人が遊凪市から出ると、少し離れた場所でずっと発信機の反応が止まってるんだよ。旅行から帰ってくる日になると、また動き出して遊凪市に戻ってきてる。一人や二人じゃない。全員がそうなんだ」

「でも、旅行には行ってるんだろ?」

「身体は動いてないのに、記憶はあるんだよ。旅行中に起こったことなんかの。もちろんお土産なんかもちゃんと持ってるから、普通に考えれば旅行に行ったことを疑うことなんてできない」

「たまたま発信機が外れたんじゃないの?」

「発信機はな、体内に取り付けてあるんだよ。だから、遊凪市から出た瞬間にそれを取り出して、戻る前にそれを取り付けるなんて無理なんだ」

「人の身体に勝手にそんなの取り付けるなよ」

「ピコマシンっていう、ナノマシンよりも小さいロボットみたいなのを注射器で注入してるだけだ。とある国立病院の副院長が開発してたものを改良して作ったんだ。私のオリジナルなんだぞ」

 自慢げに話をするカズミがコップのオレンジジュースを一口飲んだ。コップの水滴がテーブルの上にポタリと落ちた。




≪第九話へ
第十一話へ≫

COMMENT

やっと続き読めた。

ぷしゃ国立病院便利(笑)

うわっ!

これからいったいどうなるんだろ?w

スッゴイ楽しみ~♪ワクワク

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