POSITISM

適度に適当に。

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アーケードの向こう側 - 第八話 -


ハコニワノベル

 電車は何も言わずに南町の駅へと到着した。また電車賃を俺が払わされたこと以外は特に何事もなかった。商店街へと向かうとまだ夕方なので買い物をする人や中学生、高校生の姿も見える。『南町商店街』と書かれた入り口から商店街を覗き込むと、まだほとんどの店が営業していた。

「ユウキ、ちょっと待ってて」

「なんだよ」

「女の子にそんなの全部言わせないの」

 そう言いながらナナは駅前のコンビニへ入っていった。しばらく目で追いかけていると、どうやらトイレらしい。商店街の入り口にあるポールに軽く腰掛けたときだった。

「おい少年」

「え?」

「そうだ、君だぞ少年」

 振り向くと商店街の入り口に一番近い場所に、なぜか全体が黒い店の中から声が聞こえる。見上げるとそこには『花屋ATASHI』と書かれている。その店の中から全身黒い服に黒いエプロン、それからとても目立つ赤い口紅を付けた女の人が出てきた。店もこの人もまったく花屋には見えない。確かに店の前に花が置かれているけれど、店が黒くて何とも言えない雰囲気が漂っている。なんと言えばいいのか解らないけれど、大人のお店のようだ。

「あの…なんでしょう?」

「母の日?それとも、デート?」

「え?」

「ほら、うちって花屋じゃない。だから花を買っていきなさい」

「いや、別にいらないです」

「なら、これいる?」

 そう言いながら黒尽くめの女の人はぐるぐる巻きにされた葉っぱを無造作に取り出した。

「それ、何ですか?」

「ん?しょうぶ」

「しょうぶってこどもの日にお風呂に入れるやつですよね?」

「そうそう、売れ残ってるんだよ。だから、ほら、買いな」

「いや、買いませんよ」

「今なら柏餅も付けてやるぞ、少年」

「いや、こどもの日は随分前だし、その柏餅も大丈夫じゃないでしょ?」

「頭いいな、少年」

 そう言うと黒尽くめの女の人は「はっはっは」と愉快そうに笑った。

「私の名前はジュジュって言うんだ。覚えときなよ、少年」

「はぁ…」

「今度会ったら絶対何か買わせてやるからな」

「いや、結構です」

「ま、覚悟しとくんだね」

 そう言うとジュジュさんはくるりと背中を見せて店の中に戻っていった。その背中を見た瞬間に衝撃が走った。黒いエプロンを付けている正面からは解らなかったものの、背中は首から腰、いやほぼお尻まで開いている服で、紐で編み上げてあるだけだった。見てはいけないものを見た気分がして首を無理やり捻るように動かして視線を逸らした。

「なにやってんのよ?」

「え、いやべつに」

「ほら、さっさと行くわよ」

 戻ってきたナナに連れられて商店街の中へと進んでいく。

「そう言えばさ、動物園の噂知ってる?」

「動物園?それにしてもほんとに噂好きだよな、ナナは」

「何でも被せてくるパンダがいるらしいのよ」

「なんだよその何でも被せるってのは」

「いや、よくは知らないんだけどさ、飼い主も驚くほどの被せ上手らしいよ」

「よく知らないのかよ」

「だからさ、今度確かめに行かない?動物園」

「はぁ?それよりさ、豚丼屋はどこにあるんだよ」

「うー…、この商店街を抜けたとこにあるわよバカ!」

「なんでバカ呼ばわりされないといけないんだよ」

「あんたがバカだからよ」

「意味が解らねーよ」

 目の前に『フツウのアーケード』が見えた。なんとなく不安になってナナに聞いてみる。

「もちろん、豚丼を食べたらすぐに帰るんだよな?」

「もちろん」

「そうか、それなら良かった」

「だから食べる前にちょっと寄り道」

「ちょ、お前な!」

 いつの間にか組まれていた腕を引っ張られて『南凪町アーケード』と書かれた看板の前に辿り着いてしまった。

「今日はまだ明るいし、人通りも多いから安全でしょ」

「そういう問題かよ」

「ちょっと通り抜けてみるだけよ。『フツウのアーケード』なのかを再確認したら、豚丼食べて帰るの」

「……解ったよ。どうせ言っても聞かないんだろ?一回だけだからな」

「それじゃ、出発!」

 そう言いながらもナナの腕は力が入り、恐る恐る歩いている。『フツウのアーケード』の中はこの前よりも明るとはいえ、南町商店街と比べるとかなり薄暗かった。開いている店もなければ人通りもまったくない。このアーケードは随分昔にアーケードとしての役目を終えているのかもしれない。
 しばらく歩くとあの場所に辿り着いた。小さな商店らしい店を境にアーケードがY字で左右二手に分かれている。一昨日は左側の道を進んで、奥へ奥へと走ったら入り口に戻っていた。

「どっちに行く?」

「私、左に進むから、あんた右側に進みなさいよ」

「なんで別々に進むんだよ?」

「そしたらこのアーケードの秘密がもっと良く解る気がしない?」

「まぁ、いいけどさ。お前一人で大丈夫なのか?」

「あ、あんたこそ怖がってんじゃないの?」

「…いや、ナナがそう言うならいいけどさ。でも、何かあったら大声で俺を呼べよ?」

「あんたも何かあったら大声で『ナナ様助けて下さい!』って言いなさいよ」

「絶対に言いたくないな、それ」

「じゃ、突き当たるか通り抜けるか、入り口に戻されるかしたら、さっきの看板のところで待ち合わせね」

「はいはい」

「『はい』は一回」

 誰かと同じようにそう言うと、ナナは軽く手を振ってから左の道を進んでいった。俺は右の道を進んでいく。薄暗いアーケードには相変わらず人通りも人気もなく、ただ薄気味悪かった。




≪第七話へ
第九話へ≫

COMMENT

・・・・・・( ̄∀ ̄*)
ちょっと、下着専門店にひとっ走りしてきます
黒の編み上げケツ出し「カモン♪」ボンデージ風ですね
判りました

何でも被せてくる被せ上手なパンダってもしや…(笑)

せ、せくしぃだっっww

一人でそんなとこうろつくなんて無理。。
好奇心があってもむり><

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