POSITISM

適度に適当に。

09« 2017.10 »11
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -

スポンサーサイト


スポンサー広告

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

アーケードの向こう側 - 第四話 -


ハコニワノベル

「おはっよー、ユウキ。昨日はよく眠れた?」

「朝からうるせーよ。昨日、あれから夜明けまで説教だったんだぞ」

「うわー、それは災難」

「お前な…」

 ナナを家に送り届けてから家に戻ると、家の電気は付いていた。中に入ると仁王立ちのカズミが待ち構えていて、俺は玄関から靴を脱ぐことも出来ないまま説教を受けた。二時間ほどで一度解放され、風呂に入る許可が下りたとこまでは良かったのだが、風呂から上がるとビールで完全に酔っ払ったカズミに正座をしろと言われ、空が明るくなるまで説教が続いた。最初はただ怒られていただけなので、特に何も感じなかったものの、途中からカズミが泣き出したのでバツが悪かった。

「あのね、あんたと私は家族でもなんでもないの。周りの家族とは違うっていう目で見られるんだよ?」

(いや、お前が既に周りの大人と違いすぎるだろ…)

「私、ダメな大人だけど…これでもあんたの保護者のつもりなんだから…、急にいなくなったり…それで、……それ、で、ケガとかあんたに何かあったら…わ、私……。ユウキのバカー!」

(な、なんで泣くんだよ…)

 そんなやりとりがあり、後半はずっと俺がカズミをなだめているだけだった。頭を撫でていないと泣き喚くので、カズミが完全に眠りに落ちるまでずっとカズミの頭を撫で続けた。だから今日はほとんど寝ていない。

「それでさ、今日なんだけど」

「ちょっと待て、今日の夜は無理だぞ。絶対に無理。俺は眠りたいんだ」

「お二人さん、おはよう」

「あ、ミユキおはよう。ちょっと聞いてよ、昨日すごかったんだから!」

「そうなんだ。あれ?ユウキ君すごく眠そうね?」

「あぁ、こいつのせい」

「あらあら、ナナちゃんのせいで寝不足なの?うふふ」

「ミユキ!なんかそれエッチいよ」

「あら?違うの?」

「もう、どうでもいいや…とりあえず眠い」

「それよりもミユキ!昨日すごかったんだよ。『フツウのアーケード』でね……」

 テンション高いままでナナはミユキちゃんに説明を続けていた。「へぇ」とか「すごいね」というミユキちゃんの反応で、更にテンションが上がったナナが休憩時間ごとに近くで話をするので、休憩時間に少し眠る作戦は失敗に終わった。それは給食の時間になっても変わらない。

「それでさ、追いかけたんだけど誰もいなかったんだ。だけどね、ここからが一番すごいんだけどね…」

「うんうん」

「後ろから誰かに追いかけられちゃってさ、必死に走って逃げたんだよ!アーケードの奥に向かって。そしたらさ、アーケードから出ちゃったの」

(空き缶の音が聞こえただけで、誰にも追いかけられてないと思う…)

「アーケードの奥へ走っていったのにさ、気が付いたら入り口から出てたんだよ!やっぱりあそこは『フツウのアーケード』なんだよ。すごくない?」

「すごいねぇ」

 ゆるくミユキちゃんが驚いて、給食を食べてる間中その話で盛り上がった。もちろん盛り上がってるのはナナだけで、俺は給食を手早く食べ終わってから男友達からのサッカーの誘いを断って、体育館の横にある人気が無くて風が心地良い秘密の昼寝ポイントへ移動した。体育館とプールの間にあるこの昼寝ポイントは、ほとんど誰もやってこない場所で、どうしても眠たいときは昼休みをここで寝て過ごしている。腰を下ろすと体育館の壁がひんやりと冷たかった。昨日ほとんと寝ていないのと、休憩時間に眠れなかったのが響いたのか、すぐに眠りに落ちた。
 ──どれぐらい眠ったのか、いつ眠ったのかも解らないまま目を覚ますと、プールの壁沿いに咲いているタンポポが見えた。数本は綿毛になっている。座って眠ったはずなのに、自分が横になっていることに気が付くまで、少し時間がかかった。

「あれ?」

「あ…おはよう、ユウキ君」

 見上げると至近距離にミユキちゃんの顔が見えた。驚き過ぎて身体が硬直してしまう。どうやら膝枕されていたみたいだ。

「な、なんで?」

「えーっと、ユウキ君が一人でここに向かって歩いているのが見えてね。追いかけてきたらユウキ君眠っちゃってて、横に座ってたら寄りかかられて、気が付いたら膝枕になってたよ」

「え!ご、ごめん…」

「いいよー、私もゆったりさせてもらったし。それにユウキ君の寝顔見ちゃったしね」

「うあ…、それはそれで恥ずかしい」

 起き上がろうとすると「まだ予鈴、鳴ってないよ?」と言いながらミユキちゃんに頭を押さえつけられた。なんだかどんどん恥ずかしくなってくる。見上げるとミユキちゃんはにこにこと微笑んでいた。

(ミユキちゃんは、ナナと比べるとすごく大人っぽいんだよな。ナナは全然ないけど、ミユキちゃんの胸は…)

「こーら。どこ見てるんですか?」

「え!いや!その!べつに…えっと、ごめん」

「謝らなくていいよー。ユウキ君は正直だなぁ」

 恥ずかしさに耐えられなくなって起き上がろうとすると、またしてもミユキちゃんに頭を押さえつけられた。

「昨日、全然眠れてないんでしょ?予鈴鳴るまで横になりなよ」

「いや、でもさ。その、悪いよ。重たいし」

「大丈夫だから。ほら、力抜いて」

「…ありがとう」

 これがナナだったら軽く罵り合ってすぐになんとかなるものの、ミユキちゃんにはどうも敵わない。マイペースでおっとりしてるように見えて、気が付くとミユキちゃんのペースに乗せられていることが多い気がする。

「この場所、とっても気持ちがいいね」

「誰も来ないし、秘密の昼寝場所なんだ」

「私が知っちゃったから秘密じゃなくなったね」

「ミユキちゃんならいいよ。ナナみたいに言いふらしたり邪魔しに来たりしないから」

「うふふ。ナナちゃんならありえるね」

 ──しばらくそんな他愛のない会話を続けていると予鈴が鳴った。

「あらら、残念。予鈴鳴っちゃったか」

 やっと起き上がることが出来て伸びをしながら、「え?残念?」となんとなく聞いた。

「やれやれ。ユウキ君に限ったことじゃないとは思うけど、ほんと男の子は鈍いなぁ」

「へ?何が?」

「ううん、なんでもないよ。はい、気にしない気にしない。授業に遅れちゃうよ?」

「次、移動教室だっけ?ちょっと急がないとね」

「……ねぇ、ユウキ君。たまに、私もここに来ていい?」

「ここに?いいよ。俺だけの場所じゃなくなったし」

「そっか、二人だけの秘密の場所だね」

「うん…、まぁ、そういうことかな」

「うふふ。そっかそっか。ありがとう。じゃ、行こうか」

 ミユキちゃんはなぜか嬉しそうに笑って歩き出した。それにつられるように午後の授業へと向かった。




≪第三話へ
第五話へ≫

COMMENT

みゆきちゃん可愛いなあ…。


ユウキ、俺と代われ!(マテ

どう見ても恋!!!!
いやん、いいわぁぁ

ミユキちゃん可愛い!
  • 2008.05.10[土]

FC2Ad

  [D]esigned by 218*
Copyright c POSITISM All Rights Reserved.

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。