POSITISM

適度に適当に。

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アーケードの向こう側 - 第一話 -


ハコニワノベル

 一緒に住んでいる保護者代わりがちょっとうるさいだけで、別に特別目立つような不自由はない。俺が住んでいる場所は遊凪市。人口、三万四千五百八十三人。生活に必要な施設、及び学校や働く場所など、全国でも平均的らしい。他の街で暮らしたことがないので実感は出来ない。平均的だというのも情報だけで知っているだけだ。

「なんでダメなんだよ!アレもダメ、コレもダメ!俺に自由はないのかよ」

「ないな。お前に自由なんてもったいない」

「あのさ、確かに俺はあんたに世話になってるけどさ、掃除、洗濯、その他家事全般を全部俺がやって、あんたは昼過ぎまでぐーたら寝てるし、夜中まで部屋に引き篭もってるだけだろ?」

「引き篭もってるんじゃない。研究だ」

「いや、部屋の中で何してるとか関係なくてさ、引き篭もってるじゃないか」

「はいはい、コーヒー淹れて」

「スルーして、しかもコーヒー淹れさせるのかよ」

「コーヒー、早くな」

「解りましたよーだ!」

 ぶつくさ言いながらヤカンを火にかける。まだ少し濡れているマグカップを準備した。「せっかく洗い終わったのに」と呟きながらコーヒーを淹れる。

「あぁ、それから、私を呼ぶときはちゃんと名前で呼ぶように言っているだろ?」

「それならカズミだって、俺を名前で呼んでないだろ」

「そうだっけ?悪い悪い。ま、コーヒー頼んだぞ、ユウキ」

「はいはい。砂糖は?」

「四つー」

 俺はこの女と二人暮しをしている。雨宮カズミ。一応、女。俺の両親はいないし、カズミとは赤の他人だけど、カズミは俺をこの家に住まわせてくれている。記憶が曖昧なぐらい小さな頃から一緒に住んでいるが、気が付けば家事全般を押し付けられるようになり、いつの間にか家事が俺の仕事になった。カズミは家事全般をほとんどせず、毎日部屋に篭りっきりで『研究』をしているらしい。本人の話では世界にも一目置かれている偉大な科学者らしいが、夜中の騒音や日中の異臭などで、世界どころか近所から目を付けられているだけだ。

「ほらよ、コーヒー」

「あい、さんきゅー」

「あのさ、この部屋もうちょっと片付けた方が良くないか?」

「え?片付いてるだろ?」

「これでかよ」

 カズミの部屋の中は大量の資料、機械、何かの部品、薬品等であり得ないぐらいに散らかっている。この部屋に毎日何時間も篭りっきりで何をしてるのかは詳しくは知らない。しかもどうやら働いてはいないらしい。その割りにお金を持っているのが怪しいが、聞いてもまともに答えてはくれないだろう。
 コーヒーを飲みながら、その資料の山を崩して「あっれ?」とか言いながらカズミは何かを探しながら聞いてきた。

「それで、なんでまた夜に出掛けたいなんて言い出したのさ?」

「は?」

 部屋の中をひっくり返しながらカズミが聞いてきた。相変わらず目の前で資料の山が崩れ、ただのゴミとしか見えない機械などがあちこちへ転がる。「あ、あった。あった」と言いながら何かを取り出して部屋からカズミが出てきた。

「まさか、言えないような理由なの?」

「いや、その…うーん。って!ちょ、なに脱いでるんだよ!」

「んー?シャワーだよ。シャワー」

「いや、そうじゃなくて…」

「やっと下着を発掘できたしな。シャワーを浴びるぞ」

「いや、どうぞご自由に」

「なにー?もしかして恥ずかしいの?見たいか?見たいなら見たいって言えよ?ほーら」

「バーカ!お前みたいなおばさんの裸なんか見たく…」

 そこまで言うと殴られていた。綺麗な右ストレートで視界が歪む。しかし目のやり場に困るのでそのまま背中を向ける。

「と、とにかく俺だって夜に遊びに行きたいんだよ!」

「ふーん、色気づきやがったか。でも却下」

 それだけ言うとカズミはシャワーを浴びに浴室へと入った。カズミの部屋からガラクタとしか思えないものが沢山雪崩を起こして溢れ出ていた。ため息を一つ出してからそのガラクタを片付ける。突然浴室から声が聞こえる。

「ユウキ!一緒に入るか?昔みたいに」

「ばっ!あのな、俺はもう十一歳だぞ?そんな歳じゃねー!」

「昔はいつも一緒に入ったじゃないか」

「うるせー。一人で入ってろ!」

 片付けるのが馬鹿馬鹿しくなって、リビングに飛び出したガラクタを適当にカズミの部屋に押し入れて、強めにドアを閉めてから自分の部屋に戻った。いつも学校に持って行っているカバンが目に入る。今日学校で聞いた噂話を思い出した。



   ◆



「ユウキ、通り抜けられない商店街の話知ってる?」

「え?南町の商店街の中にある『フツウのアーケード』のこと?」

「そうそう。あそこにさ、ここんとこ泥棒が出るんだって」

「ナナは本当に噂が好きだよな」

「いや、それがただの泥棒じゃないんだって」

「泥棒に種類なんてあるのかよ?」

「どうやらさ、窃盗団みたいなんだよ」

「窃盗団ねぇ」

「私もその話、聞いたことあるよ」

「ほら!ミユキだって言ってるでしょ。これは益々本当なんじゃないかな!」

「本当でもなんでもいいけどさ、まさか確かめに行きたいとか言うんじゃ…」

「さすがユウキ!話が早い!じゃ、今夜七時に駅前に集合ね!」

「勝手に決めるな。俺は行けないぞ」

「あっれー?あんたまだカズミさんに怒られるのが怖いんだ」

「そんなんじゃねーよ」

「ナナちゃん、私も辞めておいた方がいいと思うよ」

「私はもう行くって決めたもん。あぁ、かよわい女の子が夜に一人で出歩いたら危険よねぇ」

「いや、ナナなら大丈夫。みんな安心して送り出せるぞ」

「ユウキ…?」

「ちょ、首絞める…な……」

「ユウキ君も、ナナちゃんも気をつけてね」

「ミユキちゃん…こいつの…腕を、は、離し……て」

「うふふ。二人とも仲良しだよね」

「……た、たすけ」



   ◆



 思い出したら冷や汗が出た。意識を失う寸前までナナに首を絞められていたからだ。ナナとは幼稚園からの幼馴染で、思い立ったら何も考えずにすぐ行動を起すので、周りがいつも巻き添えになってしまう。おてんばと言えば聞こえはいいが、あれはただの傍若無人だ。ミユキちゃんは小学校に上がってからの友達で、ナナとはまるっきり正反対の女の子らしい女の子だ。消極的であまり前に出るタイプではないけれど、頭がよく、いつも落ち着いている。
 三年生のころからずっとクラスが一緒なのもあり、よく三人で遊ぶことが増えた。周りの男子連中からは「早くどっちを取るかを決めろ」など言われるが正直な話、恋愛感情を二人に持ったことはまだない。

「ナナに呼び出されてるんだよなぁ…」

 独り言をこぼしてから、首を絞められたことを思い出して冷や汗が出る。

「行かないと明日は命がないな」

 浴室からはシャワーの音が聞こえている。カズミに頼んでも許してもらえるはずがない。行くなら今だ。




第二話へ≫

COMMENT

あれ?

小学生なんだ?ww

なんかたのしそう♪

って、誕生日の日中に引きこもってるおばさんが来ましたよ~www

うわー、小学生目線だ!新鮮!!

どんな話になるんやろぅ。。ワクワク

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