POSITISM

適度に適当に。

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ある、サクラの季節 - 03:三角関数 -


ハコニワノベル

「俺さ…ルティのこと、好きだ」

「へ?なに言ってるの?茂」

「そうだぞ、茂!俺だって…瑠伊のこと、す、好きだ」

「ちょっと二人とも待ってよ、そんな冗談面白くないって」

「俺は本気だけどな」

「ちょ、し、茂?」

「俺だって本気だよ」

「だ、大介まで…」

「ルティは?ルティは俺と大介と、どっちが好きなんだよ?」

「そうだそうだ、ここはハッキリさせとこう」

「は?え?んーと……さらばっ!」

 駆け出した私の背中に「待てよ」と声が響く。けれど女子サッカー部員の中で一番足の速い私に、茂も大介も追いつけるわけがない。とにかく走って走ってグラウンドまで飛び出した。

「あー!門脇先輩!」

「おーっす!みんな元気でサッカーやってるかー?」

「もちろんですよ!先輩達が抜けたから弱くなったって言われないように、私達頑張りますから!先輩も高校受験、頑張って下さーい!」

 女子サッカー部の後輩からエールを送られたものの、高校受験に自信がまったく無かったので「あはは、頑張るよー」とだけ返した。それにしても茂と大介に言われたことが蘇ってくる。中学のイベントも残すところ高校受験と卒業だけだと言うのに、このタイミングで二人から同時に告白された。一人はいつもちゃらちゃらしてる磯貝茂、もう一人は勉強も運動も出来るのに不器用で女子にモテない馬子大介。二人とも小学校の頃からの幼馴染だ。
 小学校のクラブ活動で私はサッカークラブに入った。同じく茂もサッカークラブに入ってきた一人だった。二人でツートップになり、それなりに地元では有名にもなった。特に私は女子なのにサッカーをしていて、うちのチームの得点には必ず何かしら絡んでいたので、特に目立っていたと思う。
 その当時に付けられたあだ名がルティ。私は本名である瑠伊が変化したのだと思っていたけれど、中学に上がるときに茂に言われた真相は、ペナルティエリアの女王様という異名から、ペナ・ルティと呼ばれていたのが省略されたらしい。
 大介はサッカーの練習で足首を捻ったときに、保健室で出会った。適当にテーピングしようとした私を叱ってから、「捻挫を舐めるなよ」とか言いながら素早くテーピングを施してくれた。後で聞いた話だけれど、施術者になりたいと思っていた大介は、必死に整体技術を習得するため練習し、どこかでそれを実践したくて、毎日保健室で待ち構えていたらしい。その実践第一号が私だ。
 それから茂と大介とよく遊ぶようになり、いつも三人でいるようになった。それから毎日はとても充実していたし、中学生活は順風満帆だった。ついさっきまでは。それがいきなりこんなことになるなんて。

「いや、でもさ、確かに私は魅力的だと思うよ?でもなぁ、茂も大介も恋愛対象にならないんだよなぁ」

 トイレの鏡に向かって満更でもない顔をしながら独り言を吐き捨ててみるけれど、決まりが悪い。そのうち、うだうだと考えるのが嫌になって、バシャバシャと顔を洗った。

「茂がいきなり告るから、瑠伊は逃げたんだぞ」

「なんで俺の責任なんだよ!大介だってどさくさに紛れて告白しやがったくせに!」

「はーい、そこまで」

「ルティ!」

「…瑠伊」

「それで、どっちにするんだ?」

「あのね、私考えたんだけど、どっちとも付き合えないよ」

「えー、なんでだよ…俺、勇気出して告白したんだぜ?この男心をどうしてくれるんだ?」

「俺だって、一生懸命に告白したのに…」

「いや、もう受験シーズンだしさ、恋愛よりも今は勉強かなぁって…」

「…つまりそれは、高校生になったら恋愛解禁なんだな?」

「なるほど、つまり瑠伊と同じ高校に行ければかなり有利だな」

『瑠伊、どこの高校受けるんだ?』

「ハモるなよ…、それに恋愛解禁とか言ってないって」

「それで、どこの高校を受けるつもりなんだ?」

「ふっふっふ、茂君。君はもっと焦らないといけないんじゃないかい?」

「なに急に笑ってんだよ、気持ち悪いな…」

「いやぁ、なぁに、君の成績を心配してあげてるのだよ」

「げ…、あ、でもな、俺とルティどっこいどっこいだぞ?」

「あ…、そうか、瑠伊が選べる高校なら、茂もいけるのか…」

「それよりルティ、どこの高校受けるんだよ。まさか女子高とか言わないよな?」

「えーっと…、桜花坂?」

「おー!あの坂道の上の高校だろ?共学じゃん。いいねー、俺も桜花坂にしよーっと」

「二人ともちょっと待て」

「なんだよ大介、俺は今からルティと二人で桜花坂を目指して勉強すんだから、ガリ勉くんはとっとと有名進学校の受験対策でもしてろっての」

「あのな、かなり甘めに考えてだぞ?お前ら二人の成績で、桜花坂は無理だろ」

「へーそうなんだ…」

「って、ルティ知らずに言ったのかよ!」

「うん。なんとなく…三人で通うならあそこがいいなぁって」

「あれ?それに桜花坂って女子サッカー部無かっただろ?」

「いや、なかなか女子サッカー部なんて無いって。ここに入学したときも無かったから作ったじゃん。高校でも作っちゃえばいいかなぁって…」

「君達。それはつまり、この大介さまに勉強の特訓をしてくれと、こう言っているんだな?」

「おい、大介。いや大介君。ちょ、ちょっと待とうか…」

「思い出すなぁ、小学生の頃…。俺はサッカーだけはお前らより下手くそでさぁ、毎日毎日サッカー特訓とか言われて夜遅くまで練習させられたんだよなぁ…」

「あれ?なんのこと?ね、ねぇ茂?」

「お、おう、そうだなんのことだそれ?」

「覚悟しといてもらおうか…ふっふっふ」

「茂、私達生きて受験できるかな?」

「解んねぇ…」

 それからの毎日は大介による受験勉強の特訓の日々で、教師達も驚くほどに私と茂の成績は上がっていった。桜花坂高校の入学試験が終わったとき、解けた満足感よりも大介の特訓が終わったんだということの方が嬉しかった。その苦しかった特訓のおかげで私も茂も奇跡的に桜花坂高校に入学できたのだった。



   ※



「磯貝茂」

「はい!」

「門脇瑠伊」

「はぁい」

 ──。

「馬子大介」

「は、はい!」



   ※



「大介、なに緊張してんだよ、マジだせぇ」

「うるせーよ。新しい門出に緊張して何が悪い」

「でもさー、本当に三人一緒の高校になっちゃったね。私、大介はもっとガチガチの進学校に進むと思ってたよ」

「あー、俺も俺も。わざわざ俺とルティの恋仲を邪魔しに来てくれちゃって…」

「いや、そうじゃなくて…俺さ、施術者になりたいのよ」

「施術者って整体とかする人のことでしょ?」

「そうそう。で、この桜花坂高校はさ、あの藤山国立病院との提携で医療関連の就職にも進学にもに強いんだよ」

「へぇ、そうなんだ。小学生の頃からずっと言ってたもんね」

「んー……大介ってさ、ちゃんと調べてるよなぁ」

「お前らが何も調べなさすぎなんだよ!」

「まぁ、それなら、ますます三人一緒で良かったね」

「…ぉ、おう」

「大介、なんで照れてんだよ?」

「うるせーよ」

「しかも一緒のクラスだって、運命の赤い糸かなぁ?」

「それどっちと繋がってる?なぁ、ルティ!どっちだよ」

「ば、ばか、俺と繋がってるに決まってるじゃねーかよ!」

「なんで、ここぞとばかりにでしゃばるんだよ、このガリ勉!」

「お前こそチャラチャラしやがって、瑠伊に釣り合うわけがない!」

「意外と、茂と大介が結ばれてたりして…」

「ないないない、絶対ありえない」

「あたりまえだ!茂となんて結ばれてたまるかよ」

「あははは…おなか痛い…ひっひっひ…」

 私達は三人で変わらないからいいんだろう。もしかしたら茂か大介のどちらかを好きになるかもしれないけど、私達は三人がそれぞれを大切にしていけると思ってる。新しい季節、新しい環境。周りにも沢山の仲間がいる。高校生活は大いに楽しいものになりそうだ。

「ちょっとごめんよ、君さ、彼氏とかいる?」

「へ?私?」

「そう、そのただ細いだけじゃなくて、運動して引き締まった身体とスラリと伸びる手足。日焼けが逆に綺麗に見えてる、君のことだよ」

「んー、彼氏はいないなぁ。でもなんで?」

「そんなの決まってるでしょー、僕とお友達から始めませんか?僕は北島。出席番号で言うと君の後ろさ。門脇瑠伊さん…いや、瑠伊ちゃん」

「おいおいおい…北島だっけ?ルティは俺とアツアツなの。だから残念でしたー」

「はぁ?なんで茂となんだよ。瑠伊は俺とあ…あつあ…つ……」

「言えないのに無理すんなよ、大介」

「で、瑠伊ちゃん。よろしくね」

「え?あ、うん、よろしくー」

 いきなり火種が転がり込んできたような気がする。北島という男子はそれだけ言うと別の席で話しているグループの輪の中に入っていった。隣りで茂と大介が威嚇する犬みたいになってて可笑しかった。




≪02:一番目と二番目へ
04:数学的ナンパ術へ≫

COMMENT

RUTYちゃんいいなー。いいなー。(羨望のまなざし)

2人同時に告白されて、さらにもう1人・・。
いいなー。(しつこいww)

んーーーーーーーーー。青春だねえ・・・・・・・(遠い目

早速登場させてもらってありがとーごじゃーまーす!
俺は男子校だったから、こういう男女のやり取りに憧れたものです。しかし、不器用で女にモテないってところがリアルに自分と被るのが痛いわ・・・・・w

あの、、、ヨダレがとまらないのは
昨夜抜歯したからであって、
嬉しすぎる設定のせいではありまs・・・

(≧ 3 ≦)  うれしーーーっ


なにげにプシャ国立病院が出てきたのも感動しました!

先生っ、モテ女子がいますっ><@通報


なんかいろんな人の紹介とあらすじが垣間見れておもしろいなぁw

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