POSITISM

適度に適当に。

09« 2017.10 »11
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -

スポンサーサイト


スポンサー広告

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

世界の終わりを変えるモノ - 第二十五話 -


ハコニワノベル

「誰だ! ? どこに居る! ?」

「ここだ、汝らの、目の前に、おる」

 辺りを探すが人影などまったくない。むしろ生き物の気配すらなかった。「まさか、木! ?」私がその木の方へ視線を移すと、また声が聞こえた。

「そう、木だ。私は、既に、木となって、おる」

 その言葉が聞こえる方へゆっくりと近付く。すると、根がせり出し空洞のようになっている部分の中に、年老いてやつれたドワーフの姿があった。しかし、そのドワーフの首には木の根が刺さり、伸ばした左腕の先からは枝を生やして──、いや枝が腕を突き破っている。身体の半分は既に木と同化しているようにも見えた。

「私の、名は、ヴォルド」

「えっ……、天才ドワーフの! ?」

「そうだ、剣士、よく、解った、な。」

「その天才ドワーフが、なぜこんなところにいる?」

「私は、この世界の、ありと、あらゆる、ものを、錬金術に、よって、加工、してきた。世界に、あるもの、すべてを、加工したと、そう、思って、いた」

 ヴォルドは詰まりながら言葉を続けていく。

「戦艦、スヴァルト。あれが、私の、最後の、作品に、なるはず、だった。これを、見付ける、までは」

 さび付いているかと思われるほどに、ギィギィと音を鳴らして右腕を伸ばしてくる。その手に書物を握り締めていた。朋章さんがそれを受け取って広げた。古い預言書のようだ。


  世界の中心に聳えし巨木。
  その名は世界樹ユグドラシル。
  その根は世界の裏側にまで届き
  その幹は炎でも焼かれず
  その葉は天体にまで届く。


「私は、世界樹を、加工して、みたくなった。しかし、世界樹は、どんな、工具でも、魔法でも、その姿を、変えることは、無かった。だから私は、世界中を、旅して、様々な、書物を、調べた。そして、見付けたのが、これだ」

 ヴォルドは不器用に腕を動かすと、半分ほど木に埋まっている鞄に腕を入れ、乱暴に探ってからその腕を引き抜いた。ミシミシと木の軋む音が響く。朋章さんがその腕に捕まれた書物を受け取り広げる。上半分が破れてしまっている預言書だった。


  ラグナロクによって
  世界樹はその姿を変える


「これも……預言書?」

「そう、世界樹と、世界樹が、姿を変える、ことを、予言、している」

「でも、これじゃぁ、ラグナロクが何か解らないではないか、ヴォルドとやら! 知ってることを全て話せ! もう時間がない!」

「もちろん、私は、ラグナロクを、探した。世界中、探し回って、やっと、この予言書の、上半分を、見つけたのだ」

 そこまで話すと、ヴォルドは上着の内側からもう一枚の書物を取り出し、それを私に向かって投げた。落ちた書物を拾って広げていく。どうやら本当にさっきの預言書の上半分のようだ。


  愛する者を貫く剣
  その名をラグナロク


「あ、愛する者を貫く剣?」

「そう、世界樹の、姿を変える、には、ラグナロクが、必要。しかし、ラグナロクは、愛し合う者の、どちらかが、愛している者を、剣で、貫く、必要がある。愛する者の、いない、私には、ラグナロクを、作り出すことが、出来ない」

 ゆっくり、目を上げると朋章さんと目が合った。それからゆっくりと視線をソルへと移していく。ソルはしばらく考え込んでから口を開いた。

「ヴォルド……、ラグナロクはどんな剣でもいいのか?」

「愛し合う者の、どちらかが、愛する者を、剣で、貫けば、その剣は、ラグナロクと、なる」

「そのラグナロクがあれば、世界樹は姿を変えるのだな? お前にはそれが出来るのだな?」

「出来る。私は、ここで、来るべき時に、備えていた……」

「……待て、来るべき時だと?」

「私は、何かを、加工、するときに、その完成した、姿を、イメージする。今まで、その、イメージ、以外の物は、出来上がった、ことが、ない」

「何をイメージしたと言うのだ?」

「私には、世界樹が、つなぎ目なく、削りだされ、その姿が、槍に、なる、イメージが、ある」

「槍! ! ……ま、まさか、その槍の名は……」

「さよう、槍の名は、グングニル」

 全員が顔を見合わせた。
 ブラムが導き出した予言の中に、世界樹が世界を救うという解釈があった。その世界樹は加工することで、グングニルとなる──。グングニルは怪物を貫く槍。怪物とはガロムガンド。つまり、世界樹を加工し、グングニルを手に入れ、ガロムガンドを貫く。そうすることで世界は救われる。
 でも、世界樹を加工するために必要なラグナロクは──。

「シュバルツァ。私を貫け」

 見上げると、背中を向けたままソルが甲冑を外し、両手を開いた。

「で、でも……」

「世界を救うためならば、喜んでこの命を捧げよう。……私に言った愛が偽りでないのなら、私を貫け、シュバルツァ!」

「簡単に、死のうとするな!」

 朋章さんが突然叫んだ。その姿は大人しそうな少女だと言うのに、その目は朋章さんそのものだった。その視線は一度も逸らされることなく、ソルへと伸びている。

「タンクル……、あなたにはまだ解らないかもしれない。だけど、あなたは生きなさい。そうだ……シュバルツァ。私が死んだら、タンクルをお願い。私の可愛い妹を護ってやって欲しい」

「そ、そんな……」

「残される側の気持ちを考えろよ!」

「それなら……タンクル。……残す側の気持ちが解る? 私が残される者達へ、どうして欲しいと思っているのか」

「くっ……」

「さぁ、シュバルツァ! 時間がない。タンクルと共に世界を救え! 私を愛し、私が愛している男なら、それぐらいやってのけろ!」

 私は気が付いてしまった。朋章さんが強く叫んでいる理由が。それは由香里さんとのことがあったから──、じゃない。
 きっと、それは──。
 考え終わるより早く私は剣を抜き、ソルに向かって走り出した。
 剣を構える。それを見るとソルは穏やかな笑顔を見せてから、再び背中を向け両手を開いた。柄を前に押し出すようにして、ソルの右手にその柄を握らせ、私は剣を自分の胸に突き刺した。

「シュバルツァ! ? な、なにをっ!」

 途中で引き抜こうとするソルの腕を掴み、更に剣を突き刺していく。ズブズブと身体へ埋まっていく。それに伴って強烈な痛みが走った。背中が寒いのは出血のせいだろうか──。私は意識が朦朧とする中で、両腕を伸ばしてソルを抱きしめた。

「あ、あと……は……、と、ともあ……き、さん……、お願いしま……す」

「景子ちゃん! !」




≪第二十四話へ
第二十六話へ≫

COMMENT

痛いよ痛いよっ、ひもじいよっ><。(給料日前です ぁ)

どうなっちゃうの!!
死んだらだめぇぇぇぇぇぇぇぇ

シュバイツァァァァァァ
そして
ヒナちゃんがドコにいるのか気になって仕方ない。

やはりグングニルは別にあったか。
  • 2008.03.28[金]

FC2Ad

  [D]esigned by 218*
Copyright c POSITISM All Rights Reserved.

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。