POSITISM

適度に適当に。

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世界の終わりを変えるモノ - 第二十二話 -


ハコニワノベル

 あの日曜日は不思議な一日だった。ファミレスで朋章さんと長く話をして、いや話をしたと言っても、朋章さんはとある事情で声が出せない人なので、ずっとメモ帳に文字を書いていたので筆談だったのだけれど。
 ひなちゃんがなぜ声が出なくなったのかをストレートに聞いたときはどうしようかと思った。でも、「太陽と月の姫」を貸してくれるなら話してもいいということになり、私も内心、どうして声が出なくなったのか知りたかったので貸すことにした。強く貸すことをひなちゃんは勝手に了承していたっけ。半分好奇心で聞きたかったその理由は、想像を絶する内容だった。
 私もひなちゃんもずっと泣いていたし、その内容をメモ帳に書いている朋章さん自身も泣いていた。他の人から見れば奇妙な光景だったと思う。私はそのちぎられた膨大な数のメモ帳を持って帰ってきてしまったのだけど、きっと二度と読むことは出来ないと思う。
 あの後、私達はお互いに連絡先を交換して、私と朋章さんは毎日メールで「太陽と月の姫」の話題で盛り上がった。朋章さんが読み進めた場所までの感想や、思っていることなど、今まであの本の内容を誰かと話題にすることなんて無かったから、会話やメールが苦手な私も、自然と話題が出てきて楽しかった。ひなちゃんはたまに、朋章さんに電話をかけて言いたいことを言うだけ言って電話を切っている。後からメールでその返事が来るのが楽しいらしい。失礼かと思ってメールで聞いてみたけれど、朋章さんは『電話なんてずっとしてないから楽しいよ』と返事をくれていた。
 一週間後の日曜日、朋章さんから『読み終えたから、返すね』と太陽と月の絵文字付きメールが届いた。

「おーいたいた! 朋章さーん!」

 下条町の駅を出て、図書館とその隣りのビルとの間に植えられた大きな木へと向かうと、朋章さんはすでに来ていて、ベンチに腰掛けたままで軽く手をあげてくれた。

「朋章さん、なんで図書館じゃなくてここで待ち合わせなの?」

 三人がけのベンチに座り込みながら、ひなちゃんは楽しそうに質問をしている。そしてなぜか私の腕を引っ張ると、私を中央に座らせた。朋章さんは本が入っているであろう紙袋を私に差し出して、『ありがとう、すごく面白い物語だった』とメモ帳に書いて見せてくれた。

「この本、人に貸すの初めてだったんです。面白かったみたいで良かったです」

『日向ちゃんは、ソルみたいだよね(笑)』

「そうですよね! 私、いつも思うんです。ソルはひなちゃんみたいだなぁって」

「えー? ソルってあの素直じゃないお姫様? こんなに純粋で素直な私のどこが似てるのよ?」

 そう言いながらひなちゃんは紙袋から本を取り出して、パラパラと捲り挿絵を見ながら「似てるかなぁ?」と首をかしげていた。その姿を見て、『そっくりだよね(これ見せなくていいから)』と朋章さんが書いて見せたので、私は笑ってしまった。

「おーい、なに二人だけの世界で楽しんでんのよ?」

「え? 別に、そういうことじゃないって……。ほ、ほら! ひなちゃんは素敵だなぁって言ってたの」

「あー、やっぱり?」

 そう言うとひなちゃんは本をベンチに置いてから、勢い良く立ち上がって朋章さんの目の前に移動した。

「朋章さんって……、私のこと好きでしょ?」

「ちょ……ぇ?」

 ひなちゃんの突然の行動に驚いた。けれど私はその答えを聞きたいような、聞きたくないようなあやふやな気持ちで固まってしまった。

「別に、無理に言わなくてもいいんですよ? 言いたいなぁ、と思ったときにサッと言ってくれればいいですから」

「ち、ちょっと。……ひ、ひなちゃん?」

「冗談だよーだ!」

「え? えぇっ?」

「ケイ、なんで焦ってんの? あれ? なんでかなぁ? なんでだろうなぁ?」

 ひなちゃんにからかわれる度に、顔が赤くなっていく気がした。

「あっれー? もしかして……」

「ばっ!……ちょ、ちょっと! ひなちゃん! からかわないでよ!」

 泣きそうになっていると、ひなちゃんが「ちょっと飲み物買ってくるから!」と言って走って行ってしまった。朋章さんとベンチで二人きりになる。変にからかわれたので余計に意識してしまい、妙に間を空けて座ってしまった。

『仲良しだね、二人とも』

 そう書かれたメモと可笑しそうに笑う朋章さんを見て、少しだけ力が抜けた。
 それから「太陽と月の姫」についていろいろ感想を話した。私は話すだけで、朋章さんはメモ帳に自分の感想を書いてくれた。共感したり、朋章さんの感想が、今まで自分が思いもしなかった部分に及んでいたりして、なるほどなぁと思ったりした。
 物語の最後で世界の終わりを描いていく場面の話題になると、今まで以上に会話が盛り上がっていく。

「私もあのラストは納得いかないんだよねー。というかラストしか知らないんだけどさ」

 いつの間にか戻ってきたひなちゃんがベンチの裏から覗き込むように言ってきた。そして私の耳元で「いい雰囲気じゃない。頑張りなよ」と小声で言われた。

「ほら、ケイもっと詰めてよ。いくらスレンダー美人な私でも、これは狭すぎるから」

 と半ば強引に朋章さんの方へ押された。朋章さんとの距離が、あの図書館で接近したとき以上に近くなる。心臓が物凄い勢いで高鳴っていく。

「あっれー?」

 急に間抜けな声が聞こえて振り返ると、ひなちゃんが本を開いて首をかしげている。

「どうしたの? ひなちゃん」

「いや、もう一回さ、ラストの部分を読もうと思ったんだけどさぁ。ここから先って真っ白だったっけ?」

「えぇ?」

 驚いて確認すると、ガロムガンドが解き放たれた後のページが全て真っ白になっている。私が訳したメモなどはそのまま張り付いているので、元から白紙だったなんてことはなく、そこらから先のページには世界が終わっていくさまが描かれていたはずだ。朋章さんも身を乗り出して確認する。『ここって全員がカオスに飲み込まれていくとこだよね?』とメモを見せてくれたので、間違いないはず。

「ちょ、ちょっと貸して、ひなちゃん!」

 手に取り、真っ白なページを指で触る。無理やり消された痕跡なんてまったくないし、まるでインクが消えてしまったかのようになっているだけだった。そのあとで本を閉じたり、開いたりを続けていると、急に本が光りだした。表紙に描かれていた魔方陣が目の前に浮かび上がり、そう思っているうちに身体が空白ページに吸い込まれていく。

「うわっ!」

 ──目をゆっくりと開くと、何度も何度も読んで鮮明に覚えている、あの本の挿絵と同じ場所に私はいた。




≪第二十一話へ
第二十三話へ≫

COMMENT

ぇえええ!?

なんか昨日は泣かされたのに、今度はまたわくわくしてきました!

ほんと、どうなるのか、すごい楽しみ♪

すごいことになってきたなぁ~
これを仕組んだのは誰だ~?

まーじーでーすーかー!!
ん?どうなるんだ恋の行方?
気になる事だらけだー!

えぇぇ!? そぅなの!?
こぅくるとはまったく想像してなかったー
頑張れ3人!!!!!

きゃああああああああ!
すごいーーーーーーー!
なんかネバーエンディングストーリーみたい!
どうなるんだろうワクワク♪

えぇぇぇぇ?!
そう来たかー!!
すっげー!
わくわくわく♪

ぎゃあああああああああ


鳥肌たちまくり!ゾクゾクしますっ(いい意味で)

ふしぎ遊戯(笑)

まさかまさかな展開だ!

面白い(笑)
  • 2008.03.25[火]

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