POSITISM

適度に適当に。

07« 2017.08 »09
S M T W T F S
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -

スポンサーサイト


スポンサー広告

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

世界の終わりを変えるモノ - 第十七話 -


ハコニワノベル

 顔を上げると一条町の駅だった。彼が乗り込んでこないか見渡せる範囲で探してみたけれど、特にそれらしい人は見付からなかった。

(もし、ひなちゃんを助けてくれたのがあの人なら、なんだかシュバルツァみたい……)

 物語の中で太陽の姫のピンチに颯爽と現れ、何も言わず助けてくれる謎めいた剣士。きっとあの剣士は太陽の姫のことを愛していると思う。彼は自分でもその気持ちに気付いていないのかもしれない。
 隣りに座るひなちゃんは、まだ窓の外をぼんやり眺めている。私は再び、視線を本へ向けた。



   ◇



「何事だ! ?」

 揺れる戦艦スヴァルトの中に、妖精王のうろたえた声が響く。これまで神の国から反撃を食らうことなく、城の見える位置まで進軍してきたというのに、ここに来て主砲は魔法によって効果を失い、更には何らかの反撃を受けていることに、妖精王は焦っていた。

「妖精王さま! 神王です! 神王がこの戦艦に対峙しています!」

「なんだと? 神王は留守ではなかったのか! ?」

 巻き上がった土煙が収まり、妖精王の瞳に目の前のものが映った。それは左腕を失ってはいるものの、確かに神王ギュオの姿であった。ただし、見知っている神王と違うのは、この戦艦スヴァルトよりも、その姿が巨大になっていたことだった。

「くっ……、これが魔法の力だと言うのか? 認めん、断じて認めんぞ! 世界を制するのは我だ! 全砲門を神王ギュオへ合わせよ!」

 ──妖精王が砲撃を下すより先に、巨大化した神王の斧イーミルは振り下ろされる。

「よし! 撃て……」

 イーミルは妖精王ごと、戦艦スヴァルトを粉砕した。妖精王ベルルの王冠に埋め込まれたラピスラズリが音も無く崩れ去っていく。
 ──その様を、遠く離れた場所で見守る二つの影。

「王が私欲のために、王を討つ。ついに世界に影が落ちたか……。フォフォフォ!」

「世界の封印グレイプニルの鍵、ラピスラズリも崩れ去った。いよいよ、我らが世界の王になる時が来る……。フィフィフィ!」

「あの様子では神王も、そう長くあるまい……」

 崩れ落ちる戦艦スヴァルトを嘲笑い、ヨルドとトレントは再び魔方陣の中へ消えた。


 ──妖精の国、妖精王の城。


 城の地中深くで何かが目を覚ました。ソレが少し力を込めると、妖精王の城は音も無く地中へと引き摺り込まれ、跡形も無く消え去った。ソレはゆっくりと地上へ這い出ると、地中へめり込んでいる自分の三本の尾を引き摺りだした。
 ──同時に世界が大きく揺れる。
 グルガン火山が陥没し、行き場を失った溶岩は木々を燃やし始める。雪山ドゥムラも陥没し、雪や氷が溶け、雪崩が押し寄せる。主を失った巨人王の城も陥没し崩れ去った。
 引き出された尾は巨大な蛇。その大きさは世界を縛るほど巨大で、餌を捜し求めて辺りを伺っている。蛇の尾を持つソレ自体の大きさは天に届くほどの巨体。巨人の国に縛られていた蛇の口は大きく膨らみ、何者かの足がその口からはみ出ている。他の二匹がその足を発見すると、奪い合うようにそれを噛み砕き、飲み込んだ。

「お目覚めか?」

 ソレが目を凝らすと、自分の目の高さほどに小さなものが三つ浮いている。

「我は三賢人が一人、星のヨルド」

「同じく、大地のトレント」

「同じく、海のヘイルーズ」

 小さなものはそう名乗った。

「我らに従え! ガロムガンドよ! 我らが貴様の主人である! さぁ、闇の一族を操りし秘術、ナグルファルを受けてみよ!」

 三賢人がガロムガンドを取り囲んで杖を振りかざす。巨大な魔方陣が現れ、ガロムガンドを縛り付けていく。

「フォフォフォ……! さぁ、我らを世界の王にするのじゃ!」

「フィフィフィ……! さぁ、世界を制するのじゃ!」

「フェフェフェ……! さぁ、その力を世界に見せ付けるのじゃ!」

 ギュウギュウと魔方陣によってガロムガンドは縛り付けられていく。──しかし、ガロムガンドがふぅと息を吹き出すと、三賢人の作り出した魔方陣は闇に覆われ消し飛んだ。吹き出された息吹は地面にぶつかると、一瞬でその地面を闇に染めた。そこから生きているとも死んでいるとも言えない、得体の知れない者達がウヨウヨと現れる。

「フィフィ! ? なんと、我ら三人の魔力を使ったナグルファルが効かぬとは」

「こうなっては、仕方あるまい。トレント、ヘイルーズよ。ガロムガンドを討ち滅ぼし、我らの力だけで、世界を制するとしようではないか」

「フェフェフェ……。そうじゃな。高を括っていられると思うなよ、ガロムガンド。貴様を操れなかった時のことも、我らは考えておる。予言によれば、貴様は世界を終わりに導くだけで、世界を終わらせるのは貴様ではないのだ」

「フィフィフィ……! 受けてみるがよい、グングニルを!」

 ヘイルーズが、小刀で左手の親指の腹を切る。滴り落ちる血で右腕にルーン文字を描き、魔力を込める。すると世界中の海が荒れ、嵐が巻き起こった。トレントは右手の親指の腹を切り、その血で左腕にルーン文字を描き、魔力を込める。すると世界中の大地が揺れ、活火山がすべて同時に噴火した。ヨルドは両腕にルーン文字を描き、魔力を込めて海と大地のエネルギーを天へと導く。

「フォフォフォ……。これが、我らの導き出した世界最大の雷の槍、グングニルじゃ。貫かれよ! ガロムガンド! !」

 ヨルドが両腕を振り下ろすと同時に、巨大な雷がガロムガンドに降り注いだ。雷はガロムガンドに命中し、世界を大きく揺らし爆発を起こした。

「フィフィフィ! 雷の直撃を受けて、流石のガロムガンドも消し飛んだか……」

「フェフェフェ! 海と大地、そして星の力が合わされば、あれほどの天変地異をも巻き起こす。我らが力を合わせれば、世界を制するのは赤子の手を捻るようなものじゃ」

「フォフォフォ! 予言通り。まさに予言通りじゃな。ガロムガンドは貫か……」

 ヨルドが言い終わる瞬間に、ドス黒い蛇がヨルドの下半身を食い千切った。「ま、さ……かっ」困惑の表情に変わったヨルドの上半身を、今度は別の蛇が飲み込んだ。

「フィフィ! 蛇が生きておったか! ?」

 雷が落ち、砕けた大地の粉塵で視界の悪い場所から、二匹の蛇はうねうねと伸びてきている。トレントとヘイルーズが追撃を加えようと詠唱を始めたその瞬間、三匹目の蛇がヘイルーズの左半身を食い千切った。
 絶命の瞬間も解らぬままに、落下を始めたヘイルーズの右半身が三匹の蛇によって食い散らかされる。

「フィ……、ひぃっ!」

 ガロムガンドは目の前で起こったことに、まったく興味がなかった。そして「辞めてくれっ! 命ばかりは……」と命乞いをするトレントのことなど、まったく意に介さぬまま歩き出す。その足はトレントを踏み潰して進んでいった。トレントはそのまま息絶え、その亡骸を三匹の蛇が乱雑に食い散らかした。



   ◇




≪第十六話へ
第十八話へ≫

COMMENT

あーあ、自分の策におぼれてる、案の定w
思い上がった人は周りにも迷惑かけるんだよねぇ。。

反省 トオイメ(ぁ


毎日楽しみにしてます
すごくおもしろいよ?
てゆうか、しのめんさんの多方面のジャンルを扱う能力に
すごくびっくり&嫉妬してますw

ファンタジー楽しいo(^-^)o

操るのが失敗した時点で諦めるべきだったに違いない。
強大な敵に一撃必殺ダメなんだ。
次が続かないから。

こうして3人の悪者はヨルムガルドに食い散らされたのでした。

2,3日分まとめて読むと面白いケド、気になるから毎日読んじゃうんだな。

いやほんとに面白いよ。

毎回更新が楽しみだもん。
しのめんさん!

何かしらふぁいぉー!
  • 2008.03.20[木]

FC2Ad

  [D]esigned by 218*
Copyright c POSITISM All Rights Reserved.

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。