POSITISM

適度に適当に。

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世界の終わりを変えるモノ - 第十二話 -


ハコニワノベル

 タクシーで寝てしまい、到着してから引き摺られるように自分達の部屋に帰ってきた。無言のまま、ひなちゃんは私を浴室前に連れて行くと、そのまま服を全て脱がされた。すぐにひなちゃんも服を脱いだ。着ていた服を洗濯機の中に放り込んで、洗濯機の上にパーカーを丁寧に畳んで置いたひなちゃんに、無言のまま浴室に連れ込まれた。勢いの強いシャワーを乱暴に浴びると、ひなちゃんは浴槽に浸かった。

「ごめん……」

「ううん、いいよ。一緒に入ろう」

「うん。ありがとう」

 外にいるときは「大丈夫」と言っていたけれど、きっと怖かったんだろう。今は一人になりたくないんだと思う。軽くシャワーを浴び、ぬるま湯だったので追い炊きのボタンを押してから、私も浴槽に入った。

「……」

「ひなちゃん、怖かったよね」

「……ケイ、怖かっ……た、怖かったよ……」

 蛇口を開いたようにひなちゃんが泣き出す。普段自分の弱い部分をまったく見せないひなちゃんが、まるで子供のように泣いている。そっとひなちゃんを抱きしめた。浴槽のお湯が激しく波打ち、次第に収まっていく。お湯が温かくなり始めると、ひなちゃんも泣き止んでいた。

「良かった。ひなちゃんが無事でほんとに良かった。あのパーカーの人が、あの場所を通りかかってくれて、ほんとに良かった」

「ほんとほんと、しかもかっこよかったよー。何も言わずに颯爽と現れてさ、バシバシっと二人組みをやっつけちゃって、パーカーをさっと羽織ってくれたし。また何も言わずに行っちゃうなんてさ、まさに漫画とかに出てくる王子様だよ。……って、もしかして彼が私の王子様なのかな?」

「どうだろうね? 顔も見えなかったんでしょ?」

「うん。だけど、もしもまた会えたらさ、きっと私運命感じちゃうよ」

「運命かぁ、ちょっと素敵だね」

 髪の毛を洗って、二人で身体を流し合った。もう一度浴槽に浸かってから、浴室を出た。髪の毛を乾かしながら私はミルクティーを淹れた。「甘過ぎだよ」とひなちゃんに言われたけれど、二人でゆっくりと味わった。

「ケイ……、あのね」

「うん、なあに?」

「その、き、今日さ……」

「うん」

「一緒に寝てもいい?」

「もちろん、いいよ」

「ありがと!」

 力強くお礼を言うと、ひなちゃんは立ち上がって自分の部屋から枕を抱えて走ってきた。

「あはは。なんか、子供の頃みたいだね」

「そう言えばそうだね」

 ひなちゃんは背中を向けて「ありがと」と小さく、小さくつぶやいてから緊張の糸が切れるように眠りについた。閉め切っていたカーテンを少しだけ開いて空を見上げると、細い三日月が見える。
 タクシーで眠っていたからなのか、まだ興奮しているからなのか、どうにも眠れそうになかったので、ひなちゃんを起こさないように気を付けながらベッドを抜け出して、カバンの中からあの本を取り出した。暖めなおしたミルクティーをカップに入れ、ベッドを背もたれに深い紫色のハードカバーを捲った。



   ◇



「お姉様!」

「あら、タンクルおはよう。随分とお寝坊さんね」

 そう言われて寝癖を慌てて押さえながら、タンクルは恥ずかしそうに笑った。

「お父様は……?」

「大丈夫、みんな無事だわ。生き残った兵達もみんな、ね」

「良かったぁ……」

「あぁ、そうだタンクル」

「なんですか? お姉様」

 ソルはタンクルを優しく抱きしめた。

「お、お姉様! ど、どうされたのですか?」

「あなたが出陣前にくれたこの腕輪のおかげで、私はここに帰ってくることが出来たのよ。だから、ありがとう、タンクル」

 タンクルの顔がどんどん赤くなる。ソルの腕から解放されるとソワソワ、モジモジと落ち着かない。その姿を、ソルは優しく微笑んで見つめていた。


 ──妖精の国、トレントの書斎。


「さぁて、そろそろ次の計画に移らねば……。おるか? シュバルツァ」

「俺が次にするべきことが決まったのか? トレント」

「そうじゃ、その通り。お前はこれから竜を退治してきてもらう」

「竜?」

「そう、炎の国のグルガン火山に棲む、火竜スルートを退治してくるのじゃ」

「そいつがいると、あんたの計画とやらが進まないんだな?」

「そうだ、その火竜が……。まぁ、細かい話はいい。出来るな? シュバルツァ」

「あんたの頼みなら、なんだってやるさ」

「フィフィフィ……。頼んだぞ」

(さてと、ワシはワシで急がねばな……)


 ──神の国、王の間。


「ヨルド、我祖父が封印したと伝えられている魔法の秘術はどこにある?」

「氷の国、雪山ドゥムラに棲む、風竜フレスヴェルクがその封印を護っておりましょう」

「ふむ、ドゥムラか。親衛隊に準備をさせよ! 我は雪山ドゥムラに赴くとな」

「神王さま、ドゥムラは寒うございます。この薬をお持ち下さい。どんな寒さでも体温を奪われない魔法の薬にございます」

「それは役に立つ。礼を言うぞヨルド。しばらく留守にするが城と娘達を頼む」

「お任せ下さい」

 神王は夜空色のマントを翻し、王の間を出て行った。

(これで残すは、巨人の国の封印のみ。上手くやれよ、ヘイルーズ。フォフォフォ……)


 ──妖精の国、妖精王の城。


「妖精王さま、わたくしめが魔法で映し出したところ、神王は今、城を空けている様子……。今こそ神の国を叩く絶好の機会ですぞ」

「先日の戦で兵力も減っているしな、確かに好機。トレントの情報も確かなものであろう。よし、戦艦スヴァルトを試してみるか。全軍へ知らせよ、妖精軍は神の国へ進軍を開始する!」

(戦艦スヴァルトか……。錬金術に長けた妖精、ドワーフ族の中でも天才と呼ばれたヴォルドが作りし空を翔る移動型兵器じゃな。確かヴォルドが行方知れずになって、完成しなかったはずじゃが……。まぁよいわ。それにしても、この国のやつらは自然の摂理を壊すばかりで見ておれんわい)


 ──巨人の国、巨人王の城。


「フェフェフェ……。巨人王さま。各国がそれぞれの思惑で蠢いておりますぞ」

「そのようだな、ヘイルーズ。そちの先見ではどう出ている」

「そうですなぁ……。まず、妖精の国が神の国へ進軍しますが、これはきっと失敗に終わりましょう。いや、ただの失敗では済みますまい。それから、暑き国と寒き国に住む竜の終わりが近付いておるようです」

「なぁるほど。つまり、敵は神の国……神王ギュオだけだな」

「はい。しかし、妖精軍の進軍でかなりの手負いを受けるのが見えております。攻め入るならばその後がよろしいかと」

「はっはっは、これで我国が世界を制するのが目に見えてきおったわ!」

「しかしながら巨人王さま」

「どうした、ヘイルーズ。遠慮せずに申してみい」

「ははぁー。あの神王ギュオが魔法を使ってくるとなると、この国では太刀打ちするすべが……」

「ないと申すのか!」

「いえ、太刀打ちするすべがあるとすれば、一つしかございません」

「それはなんだ? 早よう言わぬか!」

「それは、全てを飲み込む谷に棲む、竜王ギンヌガップが護る封印を解くことにございます」

「封印?」

「はい、その封印が解ければたちまち巨人王さまは、この世界で一番強くなられることでしょう」

「世界で一番……。ふはははは! 実に愉快! どうすればその封印は解かれるのだ?」

「私を竜王ギンヌガップの棲家へ連れて行って下さいませ。この三賢人の一人、海のヘイルーズが必ずや封印を解いて見せましょう」

「あの巨人の谷の一番底へ、お前を連れて行けばよいのだな。よかろう! この巨人王ボルソルンについてまいれ!」

「御意にございます」

(なんという単細胞じゃ。これでは騙し甲斐もないわい。しかし、我らの計画も大詰めになってきよったわ。ヨルドとトレントも上手くやっておるようだな、フェフェフェ!)




≪第十一話へ
第十三話へ≫

COMMENT

悪のトライデントだのぉw
  • 2008.03.17[月]

わるいひとがいっぱいいりゅー

また登場人物いっぱい増えたーーっΣ( ̄□ ̄;

でもまだ大丈夫です、ええ、まだ。。
それにしても三賢人は悪巧みトリオだっ><

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