POSITISM

適度に適当に。

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世界の終わりを変えるモノ - 第六話 -


ハコニワノベル

「タンクル!」

「……」

「おぉ、太陽の姫さま、ご無事でしたか」

「えぇ、ブラム。お父様の空間移動魔法でなんとか。それよりタンクルはどうしたの?」

「きっと、神王さまと、太陽の姫さまを心配し過ぎたのでしょう。ゆっくり休めば心配ありますまい」

「そう……」

「それでは、私はこれで」

「ありがとう」

 ──タンクルは薄っすらと汗をかきながら、短い呼吸を何度も繰り返している。「あなた、また魔法を……」ソルはタンクルの髪を優しく撫でてから部屋を出た。

「あら、ソルさま。お帰りなさいませ」

 羊と人を掛け合わせたような、ミール族の召使いが挨拶をした。

「ミミル、タンクルをお願いできるかしら」

「そのつもりですよ」

「よろしくお願いね」

 ミミルがタンクルの部屋に入るのを見届け、ソルは自分の部屋に戻った。甲冑を外し、倒れこむようにベッドに入った。頭の中であの剣士に受けた屈辱が蘇り、そうかと思うと剣士の腕に抱かれていた感覚が未だ知らぬ感情を呼び起こすように感じてしまう。ソルは強く首を振ってから硬く目を閉じて眠りに落ちた。

 ──神王は苛立っていた。

「ヨルド、あのシュバルツァという男、もしや……」

「フォフォフォ、察しが早いですな。いかにもあれは闇の一族でありましょう」

「その昔、ワシの祖父が撃ち滅ぼしたという一族の生き残りか?」

「それは解りませぬ。しかしあの力はまさに闇の力。神王さまの力をもってしても、純粋な力で打ち勝つのは、ご無礼を承知で言わせて頂きますと……」

「皆まで言わんでいい。して我祖父は、どうやってあの一族を打ち滅ぼした?」

「それは神王さまも、お気付きのはずです」

「……魔法か」

「フォフォフォ、本来魔法とは神族にのみ許された力。その力をもってすれば、打ち滅ぼせぬものはございますまい」

 ──妖精の国、妖精王の城。

「なに? 逃げられた?」

「一瞬で目の前から消えた。周りに居たやつら全員一緒にだ」

「……魔法か」

「フィフィフィ、妖精王さま。魔法では仕方ありません。次の手を考えましょう。弱っている神の国を叩くなら、今しかございません」

「そうだな、よし作戦会議だ。各部隊の隊長を招集せよ」

 妖精王は玉座を降りると会議室へと向かいながら、側近達に命令した。

(やれやれ。若く、知慮深さのかけらもない、形だけの王だ。まぁ、逆に事を進めやすくて助かるが)

「おい、次は何をすればいい?」

「そう慌てるな、シュバルツァ。お前はこの三賢人の一人、大地のトレントの言うことを聞いておればよいのだ」

「俺は、お前を信じる。何でも言ってくれ」

「解っておる。今は身体を休めて待機しておれ」

「解った」

(しかし、便利なものを拾ったものだ……フィフィフィ」



   ◇



 時計に目をやると十五時を少し過ぎていた。ひなちゃんが遅れるなんて珍しい。バイトが少し長引いたのかなと考えたところに、少しだけ息を切らせたひなちゃんが見えた。立ち上がって軽く手を上げる。

「ごめんごめん。変なのに絡まれちゃってさ」

「え? 大丈夫だった?」

「あぁ、平気平気。軽く捻ってやったから」

 そう言いながらひなちゃんは腰に手を置いて踏ん反り返った。褒められたことではないけど、とても誇らしそうだった。
 図書館を出ると「今日の合コン会場、一条町なのよ」とひなちゃんが説明してくれた。一条町はここから三駅隣。私達の最寄り駅である上条駅の隣りだ。──あの男の人が乗ってきた駅だ。そう思ったとき、ドキリと心臓が鳴ったように感じた。
 移動中「ひなちゃんみたいでしょ?」と来るときに見かけたタンポポを紹介したりしながら駅へと向かい、二人で切符を買って電車に乗り込んだ。乗車中、ひなちゃんは「合コンは戦争なのよ」とひとしきり熱く語っていた。そうこうして一条町に到着し、電車を降りた。

「待ち合わせは十七時だから、軽く買い物でもしよ!」

「うん、いいね」

 目的の無い買い物は楽しい。あれこれ見るだけで幸せな気分になれる。とはひなちゃんの言葉で、私はよくそんなに動き続けられるなぁと感心した。一時間以上歩きっぱなしで、やっとデパートの食事エリアにある喫茶店に腰を下ろした。ちなみに購入したものはまったくない。

「ふー、もっと見たかったなぁ」

「あの、ひなちゃん?」

「ん?」

「今日って、何人参加するの?」

「あぁ、えっとね、女が私達、それから男が2人」

「それって、合コン?」

「んーっとさ、白状しちゃうとケイのこと気になってる奴がいるんだって。だからその、なんて言うかなぁ……、ケイがその人を見て、知って、良ければ付き合っちゃえ!みたいな感じ?」

「騙したー。ひなちゃん、騙したー」

「ごめんって、悪かったよ。だけどさ、私は本当に心配なんだよ? ケイのこれからの人生が」

 ひなちゃんに優しく髪を撫でられた。だけど、なんだか今はどんな人と会ってもダメな気がする。そっとパスケースを取り出して開くと『その本、面白そうだね』と書かれたメモが見えた。──あの人のこと、もっと知りたいな。
 ひなちゃんに引っ張られながら集合場所へと向かう。「ともかく会ってみよう! ダメなら今日だけ我慢して! お願い!」そこまで頼まれると断れなくなることを、きっとひなちゃんは解ってる。ズルいなぁ。と思いながらずるずる引き摺られながら、集合場所の一条町駅の三番出口に到着した。三番出口からすぐのところに男の人が二人立っている。

「おっす、ひなた!」

「おっす! レン!」

「……ど、どうも」

「おー、景子ちゃん久しぶり! あー、紹介するね、こいつが景子ちゃんと、どーしても仲良くなりたいって言ってる、山崎」

「どうも! 山崎です。ヤマサキではなく、ヤマザキです! もう気分は春のパン祭りです!」

「……ちょっと、レン」

「え? なに?」

「いいから、こっち来て」

「なんだよ~?」

「あれはなに?」

「あれ? いや、だから山崎だって」

「いや、そうじゃなくてあの自己紹介の、一発ギャグ?」

「あぁ、あれいつもやるんだよ、初対面の人に」

「そう……、かなりマイナスポイントね」

「厳しいな、もっと大きな心で受け止めてやってよ。あいつ良い奴だしさ」

「却下」

 四人で合コン会場へ移動する。いや、既に合コンではない。レンはひなちゃんの友達で何度か会った事がある。山崎という人はさっきからしきりに話しかけてくれるけど、いまいち会話が噛み合わなくて、時折微妙な沈黙が訪れた。
 そんなピンチを何度か振り切りながら、ひなちゃんに言わせるならば戦場である、小洒落た居酒屋へ到着した。




≪第五話へ
第七話へ≫

COMMENT

店員♪

こってりしたキーワードが残ってきたな(笑)

しかし、携帯だとレスが読めないのかしら。
  • 2008.03.09[日]

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